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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第二章 冒険者となり大暴れせよ
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#44 魔術師団長、登場

 完治だ、とだけ言われた俺は診療所をもう出るようだ。入ったの昨日だよな……記憶があんまりねぇんだけど、そんなに早く治るもんなのか?

 出口に向かって歩いていく中、俺に「退院おめでとうございます」とか「お大事に」とか言う暇もなさそうにドタバタ動く医師(?)や看護師(?)。しょうがねぇけどさ、この受付の前の患者の数……


「お前ら全員、本当に診療所来る必要あんのか!? 医師達忙しいんだから、ちょっとしたことだったら帰れよ暇人ども!?」


 なぜかイラついて、さらに未だ入院中のブラッドのことも思い、そう叫んだ。

 案の定みんなから白い目で見られたけど。



▽▼▼▽



 一日ぶりに外に出た。やっぱり空気がおいし――


「あっ、『英雄』のムコトさんだ!」

「そうね、『英雄』さんね」


「"マ"だよ! "マ"!」


 道行く親子に急に声をかけられた……『英雄』だと? なんか俺今イライラしてるからツッコんじまったが、本当に『ムコトさん』って人がいて、俺と間違えてるんじゃねぇの?


「あらあら♡ 珍しい格好かと思えば、噂の『英雄』さんじゃないかしら」


 親子が通り過ぎていって、今度は後ろから声をかけられた。いやに艶めかしい声だな。

 振り向くとそこにいたのは、一見すると若い女。大きなとんがり帽子を被ってるから顔が陰ってよく見えんが。豪華なドレスを着ていて、色は濃い赤ってとこだ。帽子も同じような色。髪は銀色っぽい。

 一般人にしちゃド派手な格好だ。


「ええっとお名前が……何だったかしら、私としたことが……」


「俺はマコトだ」


「あん♡ そうそうマコトさんよ」


「やっぱり『英雄』はマコト・エイロネイアーか」


「そうだけど……あら、自分でわからないの?」


 女から説明を受けた。騎士団の悩みだった危険な魔物"ジョーイ"を討伐し、少女を傷付けることなく救出したってことで、街で俺は英雄と呼ばれるらしい。

 なんか、色んなことが納得いかねぇんだよな。イラついてる理由もこれか?


「実際は俺だけの力じゃねぇのに」


「人生ってそういうものよ、マコトさん。甘んじて受けなさい。あなた今、良い立場に立ってるのよ?」


「まぁな……それは後で考えるとして、あんたは何者だ?」


 鋭い目つきと口元のほくろ、豊満な胸が印象的な美女は、どうやら三十歳前後みたいだ。前後どっちにしろ俺より若い。パッと見で誰にでもわかることだ。

 なのにこの女は上から目線の態度で接してくる。俺はそういうの気にしないから良いけど、他の人だったら生意気と思われてもおかしくない。なんでこの女、こんなに自信満々なんだ?


「あら、知らなかったの……ごめんなさいね、私はマゼンタ・スウィーティ。魔術師団の団長をやっているわ」


「だ、団長!?」


 ルークなら知り合いだが、あいつは二番手。なら一番手は必然的に団長で、目の前にいるマゼンタになる。


「ルークやプラムがいつもお世話になってるわね」


「は、なぜそれを……まさか!」


「ウチの寮で生活もしてるんでしょう? 知ってるわよ」


「なにぃーッ!?」


 マゼンタ団長によると、俺の存在はルークからもプラムからも話は聞いておらず自分で観察して気づいたんだそうだ。

 二人共バレてないと思い込んでいて、それを感じる度にくすくす笑っちまうってよ。普通にバレてる。


「でも特別に許してあげる。ルークが私に隠すなんて……きっと事情があるんだろうから」


「そうか……すまねぇな」


「もう行くわね。話せて良かったわ。うふふ、英雄さん♡」


 からかうように笑って、マゼンタはブーツの音を響かせどこかへ去って行った。俺より年下のクセに……

 何にせよ、あの女は地位でも強さでもルークを上回ってるに違いない。問題はルークの強さがイマイチわからねぇとこなんだけど。


「おい! マコト・エイロネイアー!」


「あ?」


 次々と人が現れるな。


 ぜぇぜぇ言いながら全力で走ってきたのは、迷子捜索の時に見かけた、赤髪の男ジャイロ。

 面識無いこいつがなんで……絶対タダじゃ済まねぇ。なんて日だ。

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