#24 初、依頼受注
「おめでとうございます。これであなたは『Eランク冒険者』です」
受付嬢から青いカードを手渡される。
これは『ギルドカード』とか言うらしい。このギルドで冒険者をやっていると証明するための物……と言ってたが使う機会あんのかね。とりあえず持っとかないといけないらしいが。
「どうします? 何か依頼を受けてみますか?」
「ん〜」
早速か。どうするかな。特に腹も減ってねぇから受けるのはいいんだが、問題は……
「ウェンディ。お前これからどうするつもりだ」
「もちろん、マコトに同行し手助けする。さあ依頼を選んでくれ。なんでもいいぞ」
「だよなぁ」
わかってた。何でかって、ウェンディは俺に色々と感謝してるようだが、向こうは俺に何一つ返せていない……と勝手に思ってるようだ。俺としてはどうでもいいけどな。
「騎士団の仕事はいいのかよ、本当に放っておいても」
「今日は王都内の巡回の予定だったがな。他に何人もいるし、なによりこの国は平和だ。少しくらい平気さ」
言い方としては本当に大丈夫そうなんだよな。ま、気にしなくていいんだろ。彼女を信じよう。
あ、信じる前にもう一つ。
「受付さんよぉ、ギルドって国の公認とかじゃなさそうだよな、なんとなく。騎士団とか魔術師団が介入? しても問題はないのか?」
「はい、許可さえ取っていれば」
「団に直接か!?」
「はい」
おい普通にダメじゃねぇか。騎士団に許可取らねぇとじゃん。そう思いつつウェンディを見ると、
「……二人ならすぐに済むから、報告しなくても問題ない」
「降参だ」
粘り強すぎ……俺は肩を落として了承した。
ってかウェンディお前、クールでキツい性格かと思ったら、そりゃ見てくれだけじゃねぇか!
「では、とりあえず選んでみてください。EランクにはEランクの適した難易度の依頼がありますので、あちらの中から」
受付嬢はたくさん紙が貼り付けられた掲示板を指差す。言われるがままその前まで向かい、掲示板とにらめっこ。
と言っても文字が読めません。
「騎士的には、どれが最適だと思う」
「食材調達……とかでは物足りないか貴様には。だったらこの……『ゴブリン討伐』とかがいいんじゃないか?」
「ゴブリンて、魔物だよな」
すごく聞き覚えのある名前だ。前の世界でも有名だったっけ。詳しくは思い出せねぇ、興味が無かったのかな俺。
そんな童話とか伝説にだけ出てくるようなモンスターが、この世界じゃ実在しちまう、というか当たり前なんだよな。まだ慣れない。
「一個体なら全く強くない。だが集団で来ると厄介だ。まあ、我々が共に行くなら恐れる相手ではあるまい……おっと、そうか貴様は文字が読めないんだったな可哀想に……『依頼者:木こり。最近近くの森にゴブリンが増えて手に負えない。十体くらいは討伐してほしい、あとは何とかする』という事だ」
「なるほど、んじゃそれにするか」
その紙を受付へと持っていく。
「承りました、受注ありがとうございます。この森へは……王都を出て、まっすぐ歩くとすぐに着きます。ゴブリンはあなたにとっては強くないでしょうが油断は禁物です。いってらっしゃいませ」
受付嬢はにっこり笑っていた。




