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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第二章 冒険者となり大暴れせよ
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#19 冒険者とは

 ここは、魔術師団の寮。窓から注ぎ込むのは爽やかな朝日。まだ昇ったばかりの新鮮な光だ。


「ふぅ、ミーナにも世話になってばかりだ」


 一人静かに廊下を歩く俺が小さくそう呟いたのは、メイドのミーナに「団員たちが起きる前に起こしてくれ」と頼み、彼女がしっかりと実行してくれたからだ。

 ああ、でも……あいつは一応魔術師団の使用人だし、いちいち恩とか感じねぇ方がいいよな。


 早朝から行動開始する理由は二つ。一つ目はもちろん団員共に起きられたら動けなくなるから。二つ目は……


「お邪魔しまーす」


 寮内の『食堂』へ忍び込むためでした。厨房の料理人達は居眠り中だぜ。しめしめ。


「悪いが……スープいただき」


 どうやら俺は朝あんまり腹が減らないタイプみてぇだ。という訳であの美味なるスープのみを腹へ流し込む。少しだけ、少しだけ……


「……フガッ? だ、誰かいるのか」


「気のせいだぁ〜!」


 目を覚ました料理人の男に見られる前に走って逃げ出すことに成功。スープは結局たらふく飲んで、十分に堪能した。さらばだ。



▽▼▼▽



 走って正面玄関から庭園へ出る。ああ、この芝生。昨日は暗くてよく見えなかったが、やっぱ明るいと綺麗さが違うな、マジで絵本の中みたいだ。


「マコトさんおはようございます、ちょうど良かった」


「おはよう。なんかあったのか?」


 駆け寄ってくるのはルークだ。花壇の花に水やりをしていたように見えたが、No.2だしプラムから『天才』とか呼ばれてたくせに偉いな。

 何か要件がありそうな顔。ん? というか、「もう忘れたんですか?」とでも言いたそうな顔だな。


「あなたの国民証です。できましたよ」


「えっ、もう?」


 なんだ。今日ルークと一緒にどっか役所みたいなところ行って、顔写真とか撮ったりして手続きするもんかと思ってた……俺が考えてるのは、なんだ? パスポートとか作る時か。


「僕の地位だと国王からも信頼されてるくらいなので、名前さえわかれば発行してくれるんです」


「いらねぇのか……ほら、写真とか」


「しゃ、しん? ってなんです?」


「あっ……なんでもねぇ。ありがとよ」


 写真ねぇのか、この世界。まあいいや。俺はピンク色の国民証をルークから受け取った。何か書いてあるが面倒だから見なかった。

 どっちみち国民証無いと仕事も探せんし、ルークとはこれの件で会う予定だったから手間が省けた。


「しかしお早いですね。てっきり今日は一日中プラムの部屋で休むのかと思ってました」


「それも魅力あるけどな……一応俺一人でも生きれるように、仕事を探そうとしてんだ。頼ってばかりですまんが何か良いのないか?」


 プラムの命を助けた俺だが、そのお返しが住まいの提供に国民証無償で発行。釣り合ってねぇだろ。向こうは釣り合ってるつもりでいるのは、雰囲気でわかるが。

 だから仕事くらいは自分の力で手に入れる……ために、ルークから情報を貰うんだ。参ったな、釣り合わないままの無限ループだ。


「魔術師団には興味ないですか?」


「ごめんなさい」


「あはは、冗談ですよ。ルール多いですもんね、わかってますって。う〜ん……農家や商人では……あなたには退屈ですかね……騎士団もなんだかんだ縛りが多いし」


 おいおい、俺のために結構考えてくれるじゃねーか。魔術師団断ったのがジワジワ申し訳なくなってくるんだが。


「マコトさんは自由がお好きで、戦闘が得意でしょうから……やっぱり、『冒険者』になりますかね」


「ぼうけんしゃ?」


 ()()()とは違うのかな。職業が冒険て……俺ごときの想像力じゃイメージも沸かん。


「まずは冒険者ギルドで登録をして、その後はギルドに集まる色々な依頼を好きなように受けて、こなして、報酬を貰うんです。かなりざっくり言うとこんな感じです」


「ふ〜ん……よくわからんが、興味は湧いてきた」


「良かったです。じゃあギルドへの地図を――」


「遠慮しとく。見つけるくらいは自分でやるさ。情報助かった、またなルーク」


「あ、はい。お気をつけて」


 ルークのその優しさに甘えちまう前に、申し訳ないが背を向け、軽く手を振った。その『冒険者ギルド』ってのを目指して進む。



 住まいに国民証に仕事の情報。この借り、いつか返さなきゃな。

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