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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第一章 異世界で生き延びろ
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#18 明日からやること

 リンリーン♪ リンリンリーン♪


「……んぁ? なんだ、ベルの音か?」


 プラムとの話が終わってもまだ一日目の夜だ、さすがに疲れちまってソファーでうとうとしてた俺。若かったらしっかり起きていられたのか。それは永遠の謎だが、突然鳴り響くその甲高いベルの音に起こされた。

 ……あ、プラムのヤツも俺の隣で寝てやがる!


「おい、おい! なんか鳴ったぞ、起きろ」


「え〜……あとちょっと〜……」


「今の音、何かを知らせたんじゃねぇか!? 俺わかんねぇんだよ起きろバカ!」


「……はっ! そっか『夕食の鐘』だ!」


 名前が安直すぎだ。緊急事態かと焦ったが、ただ単に夕食の時間を知らせたってことじゃねぇか。

 それに気づいたプラムは焦ったように飛び起き、部屋着のままドアへ。


「ちょっと食堂行ってくる!」


「その格好のまま?」


「いつもやってるし、いいの! じゃ!」


「……あ……プラ――」


 ばたん、とドアが閉じられる。俺の夕食はどうするのか聞こうとしたのに。よく考えたら明日の朝もどうするんだこれ。

 団員にもバレちゃいけねぇって大変だな。おかげでどこにも動けんぞ。参ったな。



▽▼▼▽



 プラムが走っていってから数分後、突然ノックの音が響く。


「誰で……いかん、答えちゃダメだった」


 うっかり大声で返事するとこだったが、自分の口を押さえてギリギリで止める。

 この部屋は本来、プラム一人しかいない部屋。当然誰かが訪ねてくるとき、目的はプラムだ。知らないおっさん出てきたら大混乱になるぞ。


「マコト様、いらっしゃいますか」


「ん? あぁ、どうぞ」


 ドアの向こうからの声に安堵。俺の名前を知ってて、しかも様付けするなんて、さっき会った彼女しかいないからな。

 ブロンドヘアにメイド服のミーナは音を立てないようにドアを開けて入り、そして閉める。


「秘密、とおっしゃっていたので夕食の一部をこっそり持って参りました。てへ。余計なお世話でしたか?」


「バカ言うな、どうしようかと思ってたとこだ。助かったよ」


 お盆には、見覚えのあるスープと、サラダ的なやつ、それから何かの肉が並ぶ。

 スープはルークが持ってたやつと同じ見た目だ。あれちょっとコンソメスープにも似た味でうまいんだよな。一日に二回もお目にかかれるってことは、王都では一般的なスープらしい。


「ありがとう。いただきます」


 ローテーブルに乗せて、遠慮なくがっつく。しかしミーナは部屋から出ていこうとしない。どうしたんだ。


「……マコト様は、この国の方ではないので?」


「ああ。外から来たがルークに助けてもらったんだ。今は実質不法入国者の俺だが、あいつが国民証を作ってくれるらしい」


「ふふ、やっぱり。服装も不思議ですし……」


 ちなみに今の俺の格好はスーツにサングラスのまんま。転移したときから一度も変えずにここまで来ちまった。ああ、サングラスはオークに殴られてから付け始めたけど。


「ルーク様がお認めになったのなら、私ももちろんあなたを信じますが……ずっとここに住むのですか?」


「正直考えてない……もしそうなったら嫌か?」


「いえ、そういう訳では」


 何度でも言うが、俺は魔術師団に入る気もないただのよくわからないおっさんなんだ。みんなが嫌がってもおかしくはない。だから責める気も毛頭ないんだが。

 ミーナは本当に思ってなさそうだな……ってか、俺のことそこまで気に留めてなさそう?


「でもなミーナ君、これからどうするか全く考えてないワケじゃねぇぞこのおっさんは」


「え?」


 そう。このままプラムの部屋でゴロゴロして一生を終わらせるなんてあり得ない。明日から俺がやろうと思ってること……それは。


「仕事を探すぜ」


「なるほど。候補はあるんですか?」


「ない」


 はっきり言ってなんの情報もない。でもまぁ、言葉は通じるんだし、なんとかなんだろ!



▽▼▼▽



 その後。軽く話すだけで会話は終わり、早めに食べ終わった俺の食器をミーナが運んでいった。


「ふぅ〜、なんとか腹が満たされたな」


 これでひとまず夜は越えられるだろう。そういえば、夕食の鐘からもう二時間くらい経った気がするが――


「おいしかった〜!」


 噂をしようとすれば……陽気な少女が帰ってきた。まぁ、とりあえずこいつにも仕事のアテについて聞いておこうか――


「おやすみ〜!」


「ああ、おやす――嘘だろもう寝たのか!?」


 少女はものすごい勢いでベッドに飛び込み、そしてあっという間に寝ちまった。マジかよ早すぎるよ……それぐらい疲れてたんだろうがな。


「……おやすみ。プラム」


 さっきの俺が考えてたように、言葉が通じるんだからなんとかなる。どうとでもできる。そう考えれば、今悩むのは無駄でしかないよな。

 この子の寝顔を見てると、しっかりとそう思えてきた。


 ――それにしても濃かった。振り返ってみればドタバタと戦ってばかりの一日で――マジか、転移したの今日の朝だ。それで住むとこ確保、仕事を視野に入れるって。すごくね? ほぼ全ての出来事が俺の力じゃないけど。

 電気を消して俺もベッドに入る。その瞬間、睡魔に襲われた。だが襲われるまま、俺は意識を闇の中へ……

一章終わりです。

後半暴れてなかったけど、二章からきっとまた暴れます。

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