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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
エピローグ
170/170

#166 能力ガチャを引いたらーー

武器ガチャ、再始動ーー!!

マコト「エイプリルフールだが、嘘じゃないぜ?」


能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑×2)〜こう見えて異世界の救世主なんです〜


という続編を投稿し始めました。と、一応告知しておきます。よろしくお願いします。










 騒がしい演説と野原での日なたぼっこを終えて、翌日。

 俺の目の前には長い金髪を揺らして驚いている美少女が立っていた。


「え、マコトもう戦えないのにギルドで馬車の護衛依頼を受けたの!? 頭おかしいの……? 魔王との戦いの後遺症……?」


「本気で病気を疑うなクソガキ。実は女神様から連絡が入って、もしかすると戦えるようになるかもしれねぇんだ。それが失敗した場合のために、お前も連れてくワケよ」


「じゃあ失敗したら私が全部こなすんだ! すごい責任重大だね!?」


 ここはサンライト王国の王都、外に出るための門の前だ。とりあえず何も要件を伝えずプラムをここまで連れて来たんだが、突然始まった質問攻めに答えたらこのザマ。

 久々にDランク冒険者として受けた依頼は、『帝国から王国へやってくる馬車の護衛』だ。その馬車は帝国でしか採れない鉱石なんかを届けに来て、代わりに王国の資材や食料を貰って帰るそうだ。

 面倒だが歩いて帝国まで向かい、帝国から王国まで、そして王国から帝国まで守ってやるらしい。まぁ面倒だから低ランクの冒険者に丸投げするんだろうけど。


「でも護衛って今日でしょ、早く行かなきゃでしょ? いつ女神様と会うの?」


「壁外を出てすぐのところで待ってるらしいぜ。詳しいことは不明だが」


 何日かぶりに人間界に降りてくる女神様は、どうやら俺のために『能力ガチャ』を持ってきてくれるらしい。テレパシーでそう言ってた。


「とにかく行こうぜ。善は急げだ」


「う、うん!」



▽▼▼▽



『マコトさんにプラムさん。来てくれたんですね――ここは本当に美しい世界です』


「そりゃ来るだろ……」


 王都から出て少し歩くと、いた。その辺の岩をイスにして座ってる女神様は、ヒラヒラと羽ばたく蝶と戯れてる。

 女神様は自分がワガママだと思ってんのかな。俺だけにメリットがある話なんだから、来て当然なんだが。


『改めまして自己紹介を。私は女神・ミネルバ。この世界とマコトさんの住んでいた世界を管理する――』


「女神様ぁっ!」


『う、えっ? プラムさん……?』


「元気そうで良かったよ〜!」


 自己紹介の途中なのに、プラムが女神様の胸に飛び込んで抱きしめる。ミネ……なんだっけ? とにかく女神様はプラムの頭を撫でつつもタジタジ。こういうのに慣れてねぇんだな。

 それにしても普通に草原の真ん中にいる彼女だが、


「あんたアレなんだな。けっこう簡単に神の世界とこっちとをウロチョロできるんだな」


『ええ、本来は。ただ私はこの世界の管理者として深刻な問題を起こしました。恐らく()()()()()


「まさか……ここの管理をか?」


『恐らく、です。まだ決まってはいないのです。それに私がいなくなってもすぐに後継の神が管理に就きますから、ご心配なさらないでください』


 決定はしてねぇと。だが、どうリアクションしたらいいのかわからんな。

 神が変わると世界もどれくらい変わるのか……そんなの予想もつかんし、女神様がそのまま管理してたってどれくらい会う機会があるんだかな。


『しかし外される可能性の方が濃厚。だから私、その前に思い切って"能力ガチャマシン"をこちらに持ってきてしまいました……ルール違反、なのですけど』


「違反!? わざわざ何でそんなことを!」


 思わず叫ぶ。

 持ってくる、ってのはそういうことかよ。本当は持ってきちゃダメなんじゃねぇか。マジで俺にしかメリットが無い話だった。

 座る女神様の後ろを覗き込んでみると、そこには赤いガチャマシン。古き良き、何度も見た覚えのある形だった。


 ――ふいに、女神様の胸の中のプラムが口を開いた。


「ねぇ、ひょっとして私、邪魔? あっち行ったほうがいいかな?」


 ああそうか。プラムはずっと不安だったろうに、また置いてけぼりにしちまってたか。


「邪魔なワケあるか。ガキが気ぃ使うな。俺はいつも真剣な話になるとお前を遠ざけたり、わからないように話したりしてた。でもそれはもう辞めにしよう。ここで聞いててくれ」


 どこか安心したような顔のプラムに頷いて、女神様と目を合わす。


「怒鳴って悪かった。だがどうしてわざわざ違反を犯してまで持ってきたんだ? 理由がわからねぇんだ」


『それは、貴方が私の恩人だからです。ツトムさんに操られてしまった愚かな私とドラゴンを救ってくれた。私の能力を使って異世界のバランスを大きく崩し、滅茶苦茶にしようとしたツトムさんを止めてくれた。なのに私は貴方に何も返せていません。このくらいは当然だと、そう思ったのです』


「俺の……ため?」


『そうです。貴方の考えは分かっております……まだ日本へは帰らないのでしょう? だから能力を失ってしまった貴方へ"能力ガチャ"を二回引く権利を与えます――それとおすすめはしませんが、もしよろしければ貴方の日本での記憶の一部をお見せします。その二点が恐らく私にできる最後です』


 本当に俺のため『だけ』にそんなことを……ったく、バカが。


「こっちの世界に来てから俺が出会うのはバカばっかりだ。クソ、俺みたいなクズを助けてくれやがってバカどもが! どいつもこいつも、バカばっかりだ!」


 ちょっと目から塩水が。とっさに後ろを向いたからバレずには済んだと思う。


「だって、マコトがバカなんだもん。そりゃーみんなついてきちゃうよ」


『うふふ……ええ、お馬鹿さんです』


「ほら女神様だって言ってるよバカ。バーカ、バーカ!」


 プラムお前、バカの()()()()のクセに、


「クソガキうるせぇぞコラァ!!」


「いた、いぃったい! 頭ぐりぐりは痛いぃぃ!」


 他に誰もいない草原にプラムの絶叫と女神様の笑い声が響いた。



▽▼▼▽



「過去の記憶は当然見たいが……それはもう少し後でもいいんだっけ。とにかく今だ。二回ガチャを引けるんだよな。当然、何が出るかは予想もつかねぇと」


『ええ。流石に"能力ガチャ"の在り方までは捻じ曲げられませんからね……記憶についてはまた別の機会で良いでしょう。ある日突然管理を外されるなんて思えませんし』


 今はもう無いあの二つの能力、もはや自分の一部みたいな感覚だったのに。今回はあれが出るとは限らん――いや限らねぇどころか、可能性としてはめちゃくちゃ低いだろう。

 俺が思ってるよりたくさん種類がありそうだもんなぁ、能力ってのは……


「ところで、どうして転移者に能力ってもんを授けるんだ?」


『もう察しはついている事でしょう。転移者は基本として魔法が使えないので、魔物の存在するこの世界では生き残れないのです。だから第二の人生を楽しんでいただく為、適度に力を与える目的で――しかし今回のように最大限まで悪用されてしまうと、もうどうしようもなくなってしまうのですけど』


 ツトムその他のことだな。確かにアレのことを考えると、異世界転移と能力ガチャの仕組みはずいぶんといい加減なクソシステムだ。

 能力を分け与えた後の転移者の行いは、本人の正義感・倫理観に『おまかせ』するしかねぇんだから。

 だがデメリットしか無いワケじゃないよな。ひでぇ人生を送ってたヤツが異世界で成功するチャンスを得られるんだ。そいつの性根が悪人でなけりゃ、良いシステム。そこが逆に厄介か。


「……まぁ他にも聞きたいことはあるが、落ち着いたからとりあえず引いてみるとするか。二回な」


 ガチャマシンのレバーを二度回す。

 二つのカプセルが現れる。

 もう引き直しはできん、どちらもフタを開けた。

 カプセルが光り輝き、眩しさに目を閉じる。

 目を開けたときにはもうカプセルは消えて無くなっていた。


「ど、どうなんだ」


『貴方は二つの能力を得ました。片方は《超人的な肉体》。そしてもう片方は――』


 俺の右手から、フライパンが現れる。

 思わず呟いちまう。



「久しぶりだな。おかえり、『武器ガチャ』」



 運命と呼ぶべきか。数ある能力の中から、俺はあの二つを引き当ててしまったのだった。

 また能力ガチャを引いたら――また武器ガチャが出ました。



▽▼▼▽



 「護衛依頼を受けてるから」と女神様に別れを告げた俺とプラムは、草原の中の道を歩いていた。

 いや〜内心は嬉しくてしょうがねぇ。ガチャリザルト的には、元の俺に戻っただけってことなんだから。

 自分の引き運に惚れ惚れしちゃうぜ――


「マコトさっきからニヤニヤしてて、きもちわるいよ?」


「そんなことばっかり言ってっと、ぐりぐりするぞ」


「やだっ!」


「じゃ、こちょこちょにするか?」


「やだっ!!」


 ぐりぐりもこちょこちょも、本気で怖がってるプラムだ。やっぱガキはガキだ。

 ってか俺、そんなにニヤニヤしちまってたか。もっと気をつけよう。


「……あれ? 馬車があるよ」


「どうした。馬車? ほんとだ、あるな」


 いきなり言ってきたプラムは、何百メートルか先にある馬車を見つけてた。


「依頼の馬車じゃないよね? だって帝国で私達を待ってるはず……よく見たらあれ、やっぱり全然関係ないやつだよ」


 プラムによると運んでる物がどう見ても場違いなんだと。王国のでも帝国のでもないそうだ。よくそんな細けぇの見えるな。

 確かに方向も明後日の方向。王国にも帝国にも間違いなく関係ねぇだろう――



「うっうわあああ――もうダメだぁ! 殺されるっ誰かぁ!」



 おいおい、あの馬車リザードマンに襲われてるじゃねぇか。あーあー、オークまで出てきた。しかも二体セットときてる。


「え、マコト、行くの!? ちょっと! 依頼と関係ないんでしょ!?」


「おう行くぜ。久々にカッコいいとこ見せてやるから、そこにいろプラム!」


 ちょっとした丘になってた場所から駆け下りて問題の馬車へ一直線。

 『異世界の救世主』でもあり、『ただの冒険者』でもあり、『プラムの友達』でもある俺、『普通の男マコト・エイロネイアー』は今日も勝手に知らない人を助ける。


 ――『武器ガチャ』を引っさげて。











はい、終わりです。こうしてプロローグの#0に繋がったわけです。読んでくれた皆様ありがとうございました。

第一章なんかを書いてた頃は、ここまで続ける気はなんとなくしかありませんでした。そう考えるとこれも意外と良作に見えてくるでしょうか。


しかし「この作品はクソである」ということは僕が一番、重々承知しております。誤字・脱字や書き忘れも後々修正すると思います…。


続編がありますので、まぁお暇な方はどうぞ。ゆったり更新でしょうけど。

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