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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
最終章 大暴れして、異世界の救世主となれ
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#132 【魔王ツトムの過去⑤】女神の抵抗

趣向を変えて、今回は女神様の視点です。




〜マコトが目覚める九日前〜




 ――意識の大部分を支配されていても、少しだけ意識は残っており抵抗ができるという事がわかった。きっとそれは私が『女神』だからだろう。


 昨日ほど酷い一日があっただろうか。

 初めて転移させた日本人が能力を使って自殺未遂、仕方なく私の元へ来させたら彼はガチャを不正に引いて、挙げ句の果てに能力で私を操作する事が可能となってしまった……その後も何とかモニターで彼の様子を見ていると、彼は多数の帝国兵のみならず皇帝や皇子や皇女を虐殺、魔王ギルバルトをも殺害し、新たな魔王となってムーンスメル帝国を支配してしまった。


 これは『神界』史上最低最悪にして最大規模の事件だろう。一年目なんてまだまだ新人だ、そう言われていたのに……こんな事に……


『女神、おい! 様子がおかしいし波長が大きく乱れているぞ、何かあったのか!?』


 これはドラゴンの声! 大昔から『神』のサポート役として異世界を監視してくれていたドラゴン……合わせる顔が無いから、正直テレパシーで安心した。

 彼と話したいけど、問題は私を蝕む《操作の鎖(ブルーチェーン)》だ。本来は鎖を刺されるとその瞬間に能力者の『操り人形』でしか無くなる。意識を保っていられるのは奇跡。


 少しでも私の感情が乱れると、ツトムさんに知られてしまうかもしれない。

 いや、感情が動かないなんて不可能。だったら徹底的に彼と戦う他に選択肢は無いと思った。


『ドラゴン、私はムーンスメル帝国にいる転移者ツトム・エンプティさんに操られています。彼は違反者、そうでなくても危険人物です。彼を倒し、可能なら保護して欲しいのです』


『操られているだと……了解した。儂は帝国へ向かう』


 鎖が刺さっているのにここまで丁寧にテレパシーで話せる。ならば簡単なら他の行動もできるはず、ツトムさんに気づかれる前に色々な手段を試そう。

 ……例えば……例えば……? 誰かを転移させてその人にも任せるとか?


 いや、いやいや転移者の行いでこうなっているんだ。事態がもっと悪化したらどうする。

 しかしドラゴンがあのツトムさんに勝てるかどうか……帝国兵や一人の転移者も今や彼の味方、辛い戦いになる。


『こうなったら――勢いで!』


 きっともう気づかれている、時間が無い。ならば、と私は『転移者ファイル』へ手を伸ばす。

 一番上の紙を掴み取って大きく息を吸い、唱える。



『"異世界転移:マコト・エイロネイアー"』



 私の人生で二人目の転移者。すぐにモニターで彼の様子を窺う。どうやらそこは『サンライト王国』の近辺らしい。

 ドラゴンが気に入っていた国だ。良かった。

 すぐに能力ガチャを二度回して能力を授ける。出たのは《超人的な肉体》と《能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)》だった、くしくもツトムさんと同じ能力だ。

 二人して同じ能力……ただの偶然とは思えない、きっと二つとも何か特別な力を持っているに違いない。特に『武器ガチャ』。マコトさんが能力を使いこなせれば、ツトムさんにも勝てる筈――


 でも、どういう事? マコトさんは木の根本で眠っていて、全く動く気配が見えない。

 そういえばドラゴンは『波長が乱れている』と言っていた。もしかすると鎖の効果で私の身の回りが全て不安定になっているのかも。


 ――何でも良いから、お願い。魔王を倒して。彼にそう声を掛けようとしたその時。



『何か企んでいるのか? 女神』



 脳内に響いたのはツトムさんの声。その瞬間から私は、完全に意識を失った。

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