表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第五章 ドラゴンを討伐せよ
123/170

#119 苦労のルーキーズ

今回はジャイロ視点→ルーク視点と変化します。でも短めです。



 馬にまたがったオレは、ドラゴンが出てくるであろう北の森へと一直線。いや、一応王都周辺を確認してから行く。

 この三日間死ぬ気で鍛えたんだ、その成果を発揮する時が来やがったぜ!


 目の前に王都を囲む壁が現れ、そして――それに近づいていく魔物の大群も現れた。超巨大規模の群れだ。スケルトンにオークやリザードマン、オーガとか混じってて全部で三千体はいる。


「な、なんだコリャ聞いてねぇぞ! えーい、王都ではヒョロ青髪とかがなんとかしてんだろ、構わねぇ突っ切ってや――」


「待てぇい!」


 ん? なんか若い女の声がした? と左を向いた瞬間、黒いローブを羽織った奴がオレに飛びかかってきた。

 もちろんオレは落馬、二人して草原に転がる。黒髪の女がガバッと起き上がり、


「きゃー! ジャイロのエッチ! 無抵抗の女にいきなり飛びかかってくるなんてアンタどんだけ元気あり余ってんのよ!」


「飛んできたのあんただろってか、ドラコかよ!? さっきまで王都にいたじゃんお前……」


 女の正体はついさっきマコトとプラム共々入信させようとしてきたドラゴン教の教祖、ドラコだった。


「いやはや、ドラゴン様の警報を聞いてね! そういえば()()()()()が釣りに行くとか言ってたから釣りだったらフェルト村かな〜て思っちゃって! とりあえず東に進んでみたらこの通りよ! あ、すぐそこの魔物の群れ? それなら得意のナイフ術で切り抜けたのです!」


 言いながらドラコは素早く血まみれのナイフを取り出し、指先で器用にクルクルと遊ぶ。近くで見守ってたフェルト村の馬がそれにビビり、あらぬ方向へ逃げてった。


「あっ馬が!! ちくしょー借り物なのにっ……まぁいいや。どうしてマコトを追いかけようと思ったんだ!?」


「マコトっちじゃなくてアンタを追いかけたの! アンタは真っ先にドラゴン様を殺そうとするだろうから、アタシが先にアンタを殺す!」


「はぁ!?」


 それが目的か。今、馬を逃がしたのもわざとだったのかこの女! しかもマジでナイフ構えてる、本気でオレを殺す気だ!


「お前と()る気はねぇぞ! 頼むから邪魔しないでくれねぇ!?」


「や〜だねっ! ドラゴン様だけは殺させない、他に何が殺されようとも……アハハッ、アーハハハ!」


「怖いぞお前、ついに狂ったな! ふざけんなオレの手柄がまた潰れるぅ!!」


 ナイフを振り回す教祖さんから全力で逃げるオレ。馬がいなくなって絶望的だがしゃーねぇ、このまま魔物の群れを横から強行突破して、ドラゴンへ突撃してやる。


「どけどけぇ! 炎の大剣の威力、とくと見やがれ!」


 今のオレは燃え上がってんだ!



▽  ▽


▽  ▽



「これは……僕の予想を遥かに超える量です……」


 門の外に出ると、すぐそこに三千体ほどの魔物の群れが。僕の言葉に、隣のマゼンタ団長が反応する。


「ふふ、そんなこと言って、これで怖気づくあなたじゃないでしょ? 魔術師団の有能な二番手ルークなんだから♡」


「もちろんですよ団長。それに、今の僕にはこれがありますしね」


 僕が取り出したのは、綺麗な花が付いたお守り。作ってくれたのはメイドのミーナさんだ。そのことは内緒にしてるけど――


「あら、かわいいわね。ミーナちゃんに作ってもらったの?」


「へ!? どうして知ってるんですか!」


「何でもお見通しなのよ私には……というのは嘘。あなたがタカオさんに負けてから、ミーナちゃんと仲良しになったのは団員達の良いネタになってるわ」


「そんな。噂話って恐ろしい……」


 さすがは団長。僕のことを知りすぎて、僕の取り乱す『ぽいんと』や『たいみんぐ』までよく知っているんだよな、この人は。


「あと、これも聞いたわよ。あなたが影で猛特訓してるって噂――――やっぱり悔しかったのね」


「はい。笑っちゃうくらい悔しかったです。だから僕なりに最上の努力をしました。これからも、続けますが」


 団長と二人で、目前に広がる魔物の群れと対峙する。


「じゃ、見せて。成長したあなたの姿を♡」


「喜んで!」


 自身の周りに吹雪を起こしつつ、僕は迷いなく群れへと突撃していった。



▽  ▽



 ――その後。

 魔物の巨大な群れは――半分が氷に飲み込まれ、半分が炎で焼き尽くされたという。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ