表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第四章 転移者と接触せよ
115/170

#111 気配と違い

「魔王ツトム・エンプティがどうやってこの地下牢に侵入したのかは全くの謎だが……奴がヒロ・ペインとタカオ・ディザイアを連れ去ったのは、マコト君の話からしてほぼ確定だな」


 もう転移者は俺しかいない地下牢の廊下に、エバーグリーンと俺は座っていた。

 外を見回っていた騎士とも話したが、街で不審者の目撃情報とかは挙がってねぇとさ。エバーグリーンも気配を感じないらしいし王都にはもういねぇんだろう。


「今、君から色々と聞けて良かった。まさか森で倒れている少年が『魔王』だなんて、誰も気づけるはずがないな」


 隣の騎士王は俺が罪悪感に囚われがちなタイプだと知ってか知らずか、俺を励ましてくれる。

 自分の生涯の目標を逃がしたり、息子を負かした犯罪者どもを世に放たれたりと踏んだり蹴ったりなのに。


 今は罪悪感に囚われるというより、脳が混乱してるぜ。エバーグリーンがいるこの状況で頭を整理させねぇと。


「なぁエバーグリーン。あんたが十年前に倒した魔王は、ツトムじゃなかったのか?」


「ああ違う。先代魔王の名は『ギルバルト・アルデバラン』。私との死闘の末に敗北し、若かりし頃の魔術師マゼンタによってムーンスメル帝国の地下深くに封印された。奴が復活したものかと勘違いしていたが……どうやらそう単純ではないようだ」


 ツトムはどう考えても転移者だ。しかも若い。そういえばいつしかルークが「マコトさんと会った日の一週間前から魔物が増え始めた」と言ってたな。

 俺が女神様と初めて話したあの日から一週間前の辺りで、ツトムや先代魔王ギルバルトに何かあったんだろう。


「まぁ魔王達にどんなドラマがあったかはわからんが、ともかく今の魔王はツトムだもんな」


「そうだ、難しく考える必要は無い。ところで何故彼が魔王だと勘づいたのだマコト君?」


「最終的にはあいつが自白したんだが……」


 他の転移者や俺の能力のことを的確に聞いてきたこと、そしてもう一つが、


「あいつに触ると……なんつーか、嫌悪感を感じたんだ。イライラするっていうか」


「本当か、魔王の『闇』を感じたと? 君には魔法の適性が無いと聞いていたが」


「ルークによると『俺と魔王は相性が悪い』らしいんだ。俺にもよくわかんねぇが」


 この状況ならもしかすると、魔王ツトムが同じ転移者だから相性が悪いのかもなぁ。ん? そうなると、


「じゃああんたは? さっきは助かったがあんたも『気配を感じた』とか言ってなかったっけ、魔法使えたのか?」


「私も適性無しだ。先代魔王ギルバルトと剣を交えたからか、魔王の気配を敏感に感じとってしまうのかもしれんな」


 おいおい、まさかのここで俺とエバーグリーンの共通点発見かよ。お互いに魔王が天敵ってか。


「流れをまとめると……あのツトムがどうにかして魔王となり、ムーンスメル帝国と同盟を結び、魔物を増やしたりドラゴンを仕向けたりしたのだろう。そうなるとやはりヒロとタカオも元々ツトムの手下だった訳か」


 そう言うエバーグリーンだが……あの二人が誰かに従うとは思えねぇし、ツトムも二人のことをよく知らなかったようだった。その辺は今後わかってくるのかな。


「それにしても、想像以上に大変なことになってきたな。犯罪者二人を解放されてしまった。そして魔王ツトム……奴は本気を出していなかった。先代のギルバルトよりも力と闇を増している……私は奴を倒さねば」


「……敵だ敵だ倒さねぇと、ってみんな言うが、魔王の目的ってどんなのなんだ?」


「目的はそれぞれの代により違うだろう。例えばギルバルトは『世界を手に入れること』だった。支配欲の塊であったよ」


 転移者であるツトムは何の目的があって、どんな方法で『魔王』になったんだろう。良からぬことを考えてねぇなら魔王になんてならないはずだ。

 やっぱ、あいつと戦わなきゃならねぇのか……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ