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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第四章 転移者と接触せよ
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#110 魔王と騎士王と、おっさん

 エバーグリーンは剣を握る手に力を込める。ぎゅっと、血がにじむほどに。

 バーで話してた。彼の目的はもう一度魔王を討伐すること。ツトムが本当に魔王なら、ターゲットは目の前だな。


 黒き翼で宙を舞い、剣に闇を纏わせるツトムもまた、エバーグリーンを睨み続ける。

 さっき「奴を倒した」みたいに言ってた気がするが、奴ってのは魔王か? どういうことだろう。


「せっかくだし……あんたの強さも見てやるとしよう、エバーグリーンとやら」


 ――ふと、ツトムは急降下し、地面スレスレを這うように飛行したままエバーグリーンに斬りかかる。

 エバーグリーンも剣を振るい、互いの斬撃がぶつかり合う。


「うおぉ!」


 刃のぶつかり合いによって生じた風圧が、俺や周りの植物を吹き飛ばした。すげぇ迫力だ。

 エバーグリーンはバックステップ、同時にツトムも再び空へ。


 魔王は闇の球体を空中に五つほど生み出し、手を横に振るえば全てエバーグリーンに向けて発射される。


「――小賢しい!」


 が、投げられた彼は軽く全部斬り裂いちまう。そのまま大ジャンプしてツトムの元へ一直線。

 空中で縦に振られる剣。ツトムも剣でガードするが、エバーグリーンの斬撃の重みに耐えかね、地面へ叩き落とされた。土埃が豪快に舞って何も見えん。


「お、やったか!?」


 ……ってヤベッ! 土埃からの「やったか!?」の流れで敵死んだことねぇよ! 俺フラグ立ててんじゃねぇか!


 俺のせいかは知らんが案の定、土埃の晴れた草原にツトムの姿は見えなかった。


「とりあえずこの場はなんとかなったが……あいつ、たぶんまだ生きてるよな?」


「ああ、近くに気配を感じる。だとすると、王都が危険だな。急ごう」



▽▼▼▽



 門番に事情を伝えないまま門を二人でくぐり、王都内をひた走る。俺には心当たりがあった。


「あの野郎、俺を騙してヒロとタカオの居場所を聞き出しやがったからな。きっとあいつらを解放しに行くんだ!」


「ヒロとタカオ……というのは地下牢に最近入れられたあの二人のことか? 確かヒロはジャイロを、タカオはウェンディとルーク君を負かしたというが……」


「そう、そいつらだよ。チクショー! あいつが魔王だとすぐ気づければ!」


 完全に俺がやらかしたミスだ。ヒロとタカオを生かしたのも俺の判断で、ツトムを助けようとしたのも俺。最悪だ。


「誰にでも失敗はあるさ、マコト君。終わりが良ければ全て良しだと言う。だったら終わりを良くしようではないか」


 エバーグリーンの言う通り、今ウジウジ考えてても仕方ねぇな。その言葉は真摯に受け止めよう。


 走りに走ってどうにか地下牢まで辿り着いた。


「あ、そうだ外の扉に鍵が――」


「ぬぇぇいッ!!」


 まだツトムが中にいるかもわからねぇのにエバーグリーンは床の扉をぶち破り、強引に侵入。

 手前から二番目の檻に入ってたはずのヒロは、



「クソ、遅かったか……」



 既に消えていた。

 その後どこを探しても、氷漬けだったはずのタカオの姿もなくなっていた。

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