表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第四章 転移者と接触せよ
111/170

#107 森の中の少年

 こんな魔物だらけの場所で堂々と寝てて大丈夫なのか。ってか生きてるのかよ、あの少年。

 ひとまず駆け寄って意識があるか確かめようとするが、


「うぅ……ん? あれ、あっ、ここは……?」


「起きたか。ここは北の森だ。お前、何者だ?」


 予想以上に早く目覚めた……ふぅ、死んではいねぇか。ここの場所がわかってねぇってどういう状況だ。


「僕は……あれ……? 名前がわかりません、ごめんなさい」


「なに、わからないだと? また新たなパターンだな。女神様は何やってんだよ……」


 もうリアクションからして記憶喪失っぽい。女神様と話してすらいない感じなのが、どうにも不可解だな。


 見た目は十七か十八歳ってとこでヒロと同じような歳。学ラン着てるから学生は確定。黒髪でメガネを掛けてるが、ガリ勉とか優等生とかの真面目タイプだったんだろうか。


「まぁお前もどう見ても日本人だわな。俺はマコト、お前と同じ国で生まれた。だがここは別世界らしいぜ」


「べ、別世界ぃ!?」


 その新鮮な反応、初めてここに来た頃が懐かしくなってくるぜ。



▽▼▼▽



 思えばこの少年が三人目に出会った転移者だな。前の二人はどういうワケかどっちもやべーヤツと化してたから、まともに話ができて嬉しい。

 が、日本で生まれたってことさえ覚えてないから、地元トーク的なのはできない。俺はそういう星の下に生まれたってのか。


「別の世界……この僕が、別の世界に……どうしても信じられないなぁ……」


「最初はそんなもんさ。とりあえず立てよ」


 少年に手を差し伸べる。彼は俺の手を掴み、割とスッと立ち上がった。




 ――ん? 何か、違和感が……!?




 いやいや、気にする必要はねぇだろう。まずはこいつをどうするかだな。サンライト王国には俺の紹介で入れるのか?


「えぇっと……『にほん』? って言いましたっけ? で、ここは別世界で……あなたも飛ばされてきて……?」


「あ〜、後にしよう。この森は魔物が多いから長居するべきじゃねぇんだ。俺もちょうど用事が済んだし、安全な所に行く。それから情報を共有し合おう」


「まっ、魔物? もう訳がわかりませんって……」


 そりゃそうなるわな。慣れってのは恐ろしい。俺は強引に少年の腕を引っ張り、森を出る。王国の方へ向かえば、何とかなるだろ。




 ――やっぱり、変な感じがする……!!




 さっきから感じるこれは……少年に触れると毎回感じるこれは……なんだ? よくわからないが、変な違和感を覚える。

 いやいや、気のせいだと自分に言い聞かせる。そう。気のせいだ。俺はいつも考えすぎなんだよ。バカ。


「すみませんマコトさん。今どこに向かってるんですか?」


 ほら、手を離してもちゃんとついてくる。ヒロとは全然違って、素直で礼儀正しい良い若者じゃねぇか。


「今な、サンライト王国って国に向ってる。壁に囲まれてて安全なんだ。俺もそこに住まわしてもらってるんだけどな」


「へぇ〜……そこに住んでる人達は、『にほんじん』じゃないんですか?」


「違うんだよなぁ。ここは異世界だから、俺達とは顔立ちとか名前が全然違う。科学技術も発達してないが、代わりに魔法とかファンタジー要素がある。ありまくりだ」


 まぁ日本とか名前とか科学技術とか、この少年は何も覚えてないらしいから、何だろうとウェルカムな状態だろうけどな。


「じゃあマコトさんが出会った『にほんじん』は、僕だけってことですか?」


「いいや最近会った。二人な。でも話が全然通じないサイコパスどもだったから、実質お前が一人目みたいな気分だが」


「話が通じない……ですか? その二人はどうしたんですか?」


「ああ、仕方なく俺が倒した。んで今は王国の地下牢に入っちまってるよ。自業自得なんだけど」


 他の転移者に随分と興味があるようだな。もっと他に聞きたいことありそうなもんだが……


「さ、もうすぐだ。腹減ってねぇか?」


「今のところは……」


 高い壁がだんだんと迫ってくる。門番がこいつ入れるのを許してくれりゃいいんだがなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ