表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第四章 転移者と接触せよ
110/170

#106 新たな力

「ニ日、ねぇ」


 そう、ニ日だと聞いた。ニ日間も俺は眠っていたらしい。もちろん診療所のベッドの上でだ。起きてからも丸一日安静にして、今日やっと退院できた。

 大げさに世話になるのは、これで三回目だよな。だが今回はイビキすらかかなくてみんな心配してたそうだ(看護師談)。


「今回のは特別ブチのめされたからな……」


 タコ足で散々振り回され叩きつけられた挙げ句、あの《エネルギー波》で丸焼きにされた。


 ――が、最終的には焼き尽くされた直後に、俺はもう一度立ち上がって『白い煙が出る拳』でタカオをぶん殴って勝利したらしい(昨日、もう完治したからとお見舞いに来たルーク談)。

 信じられん。なんとなく起き上がった気はしなくもねぇが、そりゃほぼ無意識状態だ。


「『白い煙』となると、やっぱどう考えてもアレだよな。オーラのことだよな」


 今まで白いオーラってのは何回か見たが、それは全身から湧き上がるようだった。だがこの前のは『拳』限定なんだ。

 随分と強力だったって話だからな、使いこなしてみてぇ。また化け物みたいな転移者が来ないとも限らん。


 それを確かめるため、そして放置中だったランクアップの依頼を完了させるため。ガーゼに包帯に縫われた針だらけの俺は今、


「外出するなって言われてるが、三日間も病院詰めで体がなまっちまうぜ。一石二鳥なんだし許せよ?」


 北の森へ歩いている途中だ。



▽▼▼▽



 北の森へ踏み込んだ俺を、初っ端から歓迎してくれたのは一体のリザードマン。マジで魔物だらけだな。この森いつもこんな物騒なのかよ。


「シャアアッ」


「拳に……力を……溜める感じで……」


 向ってくるリザードマンの方向へ、右の拳を振りかぶる。『ため技』のイメージで力を入れ、放つ!


「シャガッ!」


 顔面にヒットしリザードマンは転がっていく。振り抜きっぱなしの拳を見てみるが、オーラも煙も無しだ。

 いったいどういう条件でできるんだろう。体の調子がまだ整ってねぇのかもしれんしな。


 そうこうしてると、


「ゥゥオオオオ!」


 お目当てのオーガ登場だ。そうなんだ、ヒロとタカオにめちゃくちゃ時間取られちまったが、ずーっとこの依頼受けっぱなしだったんだよ。

 俺を見つけた途端に咆哮を上げたオーガは、それ以上の予備動作も無しに突っ込んで来やがる。


「ちょ、待て待て! お前気が早いぞ!? ほら俺まだなんにもやってな――」


「ゥオオオッ!」


 振り上げたでっかい棍棒を、上から思いっきり振り下ろしてくる。


「やめろってこの野郎!」


 たった今俺の体の左側にあった右腕を、腰を捻って右へ大きく振るう。ヤケクソだ。

 すると白いオーラを纏った拳槌が、棍棒を木っ端微塵に破壊した。


「オォッ!?」


「あれ、できた!? ヤケクソで今できた!? なんだよこれマグレじゃねぇだろうなぁ!」


 真面目に取り組んだらできなくて適当にやるとできちゃう。あるある、だよな?

 だがなんとなく、もうヤケクソでやっても成功しない気がする。一度それに気がついちまったからな。


「だったらクソ真面目にいくとするぜ」


 割れた棍棒を捨て、素手でかかってくるオーガ。俺はそれを睨みつつ、何度もやったことのある『全身にオーラを漂わせるヤツ』を実行。

 そして出てきたオーラを、全身から徐々に拳一点へと流していく。オーラの動かし方なんて知らねぇからイメージでなんとかするしかねぇ。


「手に集まり始めた! もう少しだ……もう少し!」


 イメージ通りに流れていってくれる白いオーラ。《超人的な肉体》は俺に忠実なんだか反抗したいんだか、わからん。


「ゥオオオオオオ!!」


 走ってきて、目の前で跳び上がるオーガは両手を頭の上で組んでて、それを着地と同時に叩きつけようとしてるらしい。


「やってみろよ。俺も準備万端だ!」


 ヤツに対抗して俺も跳び、


「ヒロとタカオの憂さ晴らし……くらえ、怒りの鉄拳!!」


 オーラを纏った右拳がまっすぐ発射される。軌道上にあったオーガの頭は、何の抵抗もなく弾け飛んだ。

 首なしになった巨人は落ちて地面に叩きつけられ、対して俺は華麗に着地。


「よし! まだ準備に時間がかかりすぎるが、鍛えればこりゃすぐモノにできるぞ!」


 さて、これにて依頼完了ってワケだが。

 長いこと放置した罪滅ぼしじゃねぇけど、もう何体か魔物――できればオーガを狩りたい。


「練習もまだしてぇし……ん?」


 酷使した右腕を回していた俺が見つけたのは、森のド真ん中で倒れている少年だった。どうしてこんな危険な所に?


 しかも。


「まさかあれって……メガネに、学ランか!?」


 またもや日本人っぽいぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ