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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第一章 異世界で生き延びろ
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#9 王都へ潜入

 青いマッシュルームヘアの若い男。身長は俺より少し小さいくらいだ。俺自身がどのくらいかよくわからんのが辛いところだけど。

 その男の顔付きは優しく、門番達に怒っているっぽいがどこか愛があるような表情。

 気になるのは、腰に携えたデカい木製の杖。先端に青紫の宝玉が付いてるが、ありゃ何だ。


「あなた達、今その人に何しようとしたんです!?」


「い、いやその……怪しかったし国民ではなかったし……なんと言うか……」


 レオン先輩さんよ、さっきまでのデカい態度はどこ行った。あいつは上司なのか? 俺倒れたまんまだけど、どうしたらいいんだ?


「ルーク氏、俺だってやられたんです! この男俺達に暴力を――」


「本当に悪いのは彼だけですか? あなた達も何かしようとしたのでは?」


「しかし危険人物です!」


「恐らくですが、まともに話もしてないんでしょう」


 ルーク? に突っかかるアーノルドだったが自分達の行動を言い当てられちまって、黙り込んだ。

 若きアーノルド君は優しいのかと思ったが、自分が殴られたからか先輩が蹴られたからか、けっこう怒ってたな。あ、こんな理由じゃ誰でも怒るか。すまん。


「すごく顔色が悪そうですし、僕が彼と一緒に入国します。全責任は僕が負いますから」


「ル、ルーク坊っちゃん!? 良いので!?」


「大丈夫ですよ。怪しい事をしたら僕が一瞬で」


 ……「消します」とか言うのかと思ったが、後に何も続けない方が恐ろしいな。レオンもそれ以上否定しないとは、あの若者間違いなく強いじゃねぇか。

 えーとつまり、俺はこのルークと一緒に王都に入れるってことか。


「はあ……今回の件がどれだけマズイことか、あなた達の指導役にはキッチリ言っておきますから。あなた達も誠実に丁寧にしっかりと仕事してもらえると嬉しいです」


「「はっ」」


 それだけ言ったルークは俺を脇に抱えて馬車の荷台に乗せてくれた。笑顔が似合う男だぜ、羨ましいなぁその若さ。



▽▼▼▽



「今、回復魔法をかけますので……あれ、傷は無いようですね」


「怪我じゃなくて貧血だ。実はしばらく何も食ってなくてな……あんたがいなかったら怪我じゃ済まなかっただろうけど。ただの腹ペコ野郎で、すまん」


「謝らないでくださいよ」


 青くてふわっふわのマッシュルームヘアの若者ルークは、どうやら俺を怪我人と間違えてたようだ。だったら普通傷を確認してから乗せるだろ? という質問はやめておいた。

 ただの腹減りオヤジってことがわかってもルークは一ミリも態度を変えない。いいヤツ。


「あの門番は部下か? あんたとは性格が違いすぎる気がするんだが」


「いえいえ彼らは『騎士団』の兵士で、僕は『魔術師団』に所属してます。だから直接的な関係は無いです」


「じゃあ何で言うこと聞いてたんだ?」


「あはは、それは僕が魔術師団の二番手なので、顔が知れてるってだけですよ」


 二番手ってNo.2って解釈でいいんだよな。地位的には高いみたいだが、


「あ〜、その魔術師団ってのは何だ?」


「国王も認めた、魔術師達が魔法を使って国を守る正義の機関です。騎士団も同格ですね」


「魔法……!」


 この世界には魔法って概念があんのかよ。騎士もそうだし、ほんとにファンタジーだな。魔法は俺も使えるのかな、なんて言ったら女神様から能力も貰っといて欲張りだけど。ってか別にできなくていいけど。

 じゃあ腰の杖は魔法の杖か。言われてみればあの先端の宝玉からは何か飛び出しそうだ。


 あと、国が認めた団体って……それの二番手のルークって実は半端なく偉くて、死ぬ程強いんじゃねぇのか!?

 なにげに凄いこと言っといて、当のルークには自慢げな感じが一切見られない。器の大きさってヤツよな。


「あ、申し遅れました。もう知ってるかもですが、僕はルークと言います。よろしくお願いします」


「マコト・エイロネイアーだ、よろしく。助けてくれてありがとうな」


「マコトさん……へ〜、珍しいお名前ですね。おっと、何か食べる物を買ってきますね」


 馬車が止まり、お互い改めて自己紹介した。ルークは俺のために町へ買い物に出かけていった。

 まず間違いなくここはもう王都の中だな。腹減ったし、大人しくあいつを待っとくか。とりあえず荷台からチラッと外の景色を覗いてみる。


 行き交う住民は多く、黄色や白など明るい色がよく目につく町並み。みんな木造か石造りの家。綺麗だなぁ――


「あっ!」


 ――そして、少し離れた薄暗い路地に、走って入って行く金髪のクソガキと三人の男。


「……はぁ、行くか」


 ルークを待たねばと思いながらも、俺は気づいた時には腰を上げていた。

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