漫才 塩素水
二人「どうもー、俺たちです」
ボケ「ちょっと聞いて下さいよ。僕ね、凄いビジネスを思い付いたんです」
ツッコミ「お、景気がいいですね。聞かせて下さいよ」
ボケ「余り大きな声で言いたくないんですが、……塩素水を売るってどうですか」
ツ「はい?」
ボケ「あっ、そこのお前。今パクろうとしたな、許さん」
ツッコミ「お客さんに絡むのはやめて下さい、心配しないでもそんなの誰もパクりませんから。だって塩素水ってただの水道水ですよね?」
ボケ「あれですよ、思い込みで健康になれるプラシーボ効果って奴です。塩素水! って凄くインパクトあるじゃないですか、健康になりそう!」
ツッコミ「逆に不健康なイメージしか無いですけどね。やっぱりちゃんとした科学的な根拠が必要だと思いますよ?」
ボケ「じゃあ僕が実証してみせますよ。塩素水を売って金持ちになって、幸せな気分になって健康になりました!」
ツッコミ「それ塩素水関係ないですよね。ただの金の力です、金の力でハッピーになってるだけです」
ボケ「そう、そこですよ問題は」
ツッコミ「何がですか?」
ボケ「今の世の中、お金に振り回されてるこんちくしょうばかりじゃないですか」
ツッコミ「うん、ずっと金の話しかしてないあなたも相当のこんちくしょうですけどね」
ボケ「どいつもこいつも金! 金! 金! ほんと腐ってますよね」
ツッコミ「その中でもあなたはドこんちくしょうですよね、腐った臭いまでして来ましたよ」
ボケ「もうインスタに札束の画像アップしてやろうかと思うんです、フォロワー増えるでしょ」
ツッコミ「いや、逆に減ると思いますよ。何これ?ってなると思うので」
ボケ「揃いも揃って金に振り回されやがって……」
ツッコミ「あれ? 今更自己紹介ですか? 最初にすれば良かったのに。どうもー金の亡者でーす! って」
ボケ「だってあれですよ、お金なんてフィクションじゃないですか。ただの紙切れですよ? それを皆が色々な物と交換できるって信じてるから成り立ってるだけですからね」
ツッコミ「……何か急にまともな話してますね、ちょっと乗り遅れましたよ」
ボケ「だからもう、皆で捨てたらいいと思うんです。こんな物もう要らない! って皆で破り捨ててしまえばいいんじゃないですかね」
ツッコミ「んー、でもそれをすると世の中混乱すると思いますけどね」
ボケ「じゃあ僕だけでもやりますよ! この自前の諭吉さんを、こうビリビリっと……」
ツッコミ「え、本気ですか?」
ボケ「……無理だー! 僕には出来ないー!」
ツッコミ「まぁもったいないですからね」
ボケ「好きだー! ユッキー、愛してるー!」
ツッコミ「え、ユッキーってもしかして福沢諭吉?」
ボケ「1835年1月10日大阪堂島で下級武士の子として産まれるが生後18ヶ月で父の百助が亡くなる」
ツッコミ「それ、もしかして福沢諭吉の──」
ボケ「その後、大分県中津市へ引っ越すが貧しいながらも腕白な子で、しかも当初は読書嫌いであった。だが一度勉学を始めるとメキメキと実力をつけ漢学者の前座ぐらいは勤まるようになっていた。とこれは本人が自伝にそう書いている。その後、あれこれあって学問のすすめを書いてこれが大ヒットの大ベストセラーになり、調子に乗って一万円札の顔になりました!」
ツッコミ「かなりはしょりましたね、最後の方は全く愛情を感じませんでしたけど」
ボケ「それに一万あったら吉牛で超得盛りが13杯と並盛りが一杯食べられる、並だけなら29杯で一週間以上食い繋げる」
ツッコミ「急に俗っぽくなりましたね。というか他の物も食べましょうよ、さすがに栄養偏りますよ」
ボケ「映画なら5本観れてお釣が来るしレディースデイなら8本観れる」
ツッコミ「あなたにレディースデイは関係ないですけどね」
ボケ「やっぱり好きだー! ユキピー!」
ツッコミ「さっきと呼び方変わってますよ。ユッキーって言ってましたよね、ユキピーってカキピーみたいじゃないですか」
ボケ「……」
ツッコミ「ごめんなさい、そんなに睨まれるとは思ってなかったです」
ボケ「人の愛を笑い物にするなよ」
ツッコミ「はい……、って僕ら芸人なので笑いを取らないとダメなんですけどね」
ボケ「そんな事に囚われていてはいけない!」
ツッコミ「いや、でも笑いは取っていきましょうよ」
ボケ「今こそ問わないといけないんだ!」
ツッコミ「何をですか」
ボケ「僕らが何の為に生まれてきたのか」
ツッコミ「また面倒な話を……」
ボケ「幸せになる為じゃないんですか!」
ツッコミ「まぁ確かにそうかもしれないですけどね」
ボケ「お金はその為の道具ですよ!」
ツッコミ「余り説得力はないですけどね」
ボケ「目的と結果が逆になってる。お金に振り回されたらいけませんよ皆さん」
ツッコミ「まずは鏡に向かって言ってあげて下さい」
ボケ「だから皆で幸せになりましょうよ、……僕の作った塩素水を買って」
ツッコミ「あなたが幸せになるだけでしょうが」




