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勇者一行は俺1人  作者: 河流
7/37

ステータス:状況確認

#07 

最悪の誕生日から一か月が経過した。

パーティ会場での戦闘では、招待客と使用人から幾人の負傷者が出たが幸いにも死者はいなかった。

招待客の中には父と仲の良い貴族や名士が数多くいた。

今回の騒動でブルーブラッド家が貴族の集まりから爪弾きにされるのではと恐れたが、俺の考えは杞憂に終わった。


父 ゼオン・ブルーブラッドの冷静かつ迅速な指揮。

そして、幼いながらにオオカミの群れと対峙し、勝利を手にしたアレックス・ブルーブラッドへの賞賛が上回ったらしい。

そのためか、両親は様々な社交界に引っ張りだこになり、家を空けることが多くなった。

少し寂しい気もするが、お陰様でゆったりと羽を伸ばして貴族ライフを堪能できる。


人が少なくなった屋敷の中を散歩していると、中庭の一画にローザの姿を見つける。

俺はニンジャへと切り替えると、気配を殺してローザの背後に忍び寄る。

難なくローザの後ろに回り込むことに成功した俺は、背後からローザの視界を塞ぐ。


「だーれだっ!!」


ローザは突然の事に、体をビクッとさせると、小さな悲鳴を零す。


「キャッ!・・・もう、アレックス様でしょう?」


そう言ってローザは肩を撫で下ろすと、後ろを振り返り、分かりきった正解を確認する。

しかし、そこにはローザの愛用のホウキが直立した状態で置かれているだけだった。


「えっ?・・・どうしてホウキが?」


俺は不思議そうにホウキを眺めるローザの耳元で声を出す。


「バア!!どう?ビックリした?」


「キャアアアアアアアアアアア!!!」


ローザはお化けでも見たように驚くと、耳をつんざく様な大声で叫ぶ。

俺はその様子を見て、芝生の上を転げまわって笑う。

ローザは怒りで顔を真っ赤にすると、ホウキを手に持ち、殴りかかって来る。

俺はそれら全てを軽々と見切ると、一本の木に登り、ローザの追撃の手から逃れる。


「コラーッ!今日という今日は許さないんだからっ!!」


木に登ることのできないローザは健気にも届くことのないホウキをこちらに向けて振ることしかできない。

木々の枝を足場に、俺は森の奥深くへと向かう。

頭上には相変わらずステータスが表示されている。


【スキル:変わり身】

【スキル:シノビの歩法】


これはオオカミとの戦いの後のレベルアップで入手したニンジャの新スキルだ。

他のジョブも同様にスキルを獲得したと思うが、余りにも情報が多く、確認作業は停滞気味だ。


森の深く、秘密の特訓場所として切り開いた一画に降り立つ。

他にもこの能力について分かったことがある。


「ステータス、踊り子」


俺の声に反応し、ジョブがチェンジされる。

つまり、音声認識だ。


【ステータス:踊り子】


俺が踊り子へとジョブチェンジすると、俺の手には血が滴るナイフが握られている。

あの日、オオカミと戦った際に使ったナイフだ。

これがあらわす事は恐らく、ジョブごとの装備の保有。


「ステータス、盗賊」


【ステータス:盗賊】


まだナイフは握られている。


「ステータス、ニンジャ」


【ステータス:ニンジャ】


手の中のナイフは光の粒となり、消えてしまう。

再びニンジャから盗賊へと戻すが、ナイフはない。

踊り子へと変えると、ナイフが握られている。

このことから、各ジョブの適正武器が同一である場合は武器の引継ぎが可能だが、適正武器の異なるジョブへと変わると、武器は最初に所持していたジョブへと戻る仕組みらしい。

武器が手元を離れた状態でジョブを変えた場合は、放棄したとみなされるのか、武器はその場に留まる。


「現状、俺の力について分かったのはこれくらいか」


「今後の課題としては各種ジョブの能力の把握、および武器の獲得だな」


勇者には俺の剣を、踊り子にナイフを所持させるとして、あと3、4種類の武器は欲しいところだ。

近接戦の剣とナイフなら、中距離と遠距離の武器だな。


「遠距離は狩人の弓でいいとして…中距離は魔法使いの杖がいいな!」


そうと決まれば街に行って買い物としよう。

俺は再びニンジャへと変わると、大地を蹴りあげ、高さ2mはある枝へと軽々と飛び移る。



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