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勇者一行は俺1人  作者: 河流
1/37

ステータス:転生

 #01 


 〔おめでとうございます!志賀 一( し が  はじめ) 様、あなたは勇者に選ばれました!!〕


 目の前にでかでかと映し出された蛍光色の文字に、俺は目をぱちくりさせて凝視する。

 仕事中に急に眠気に襲われたと思ったら、次の瞬間にはこれだ。

 俺はスペックの低い脳みそをフルに回転させるが答えは出ない。


「よくわかんないけど・・・夢、だよな」


『おっそいなぁ!そのリアクション!!』


 後ろから響く大声に俺は腰をぬかしそうになりながら振り返る。

 そこには俺より頭一つ分小さな女性が頬を膨らませてこちらを可愛く睨みつけていた。


「えっと・・・どちら様ですか?」


『どうも!ボク、神様です』


「・・・はい?」


『ボク、神様です!!』


「あ、はぁ・・・ハハ」


 彼女の答えに俺は引きつった笑みを浮かべることしかできず、2人の間に気まずい沈黙が流れる。


『・・・コホンッ。無理に笑わなくていいです。すぐに済ませますから。はい、ステータス:勇者』


 女性は俺の狼狽えた態度を見ると、つまらない男と判断したのか、すっかり白けてしまった様子で、俺の額に手をかざす。


 すると、俺の視界の端に【ステータス:勇者】の文字が現れる。


『勇者サマの誕生デース。おめでとうございマース』


 女性は露骨すぎる棒読みで勇者誕生を祝う。


「え、これで勇者になったんですか?なんか儀式とかしないんですか?」


 俺の質問を無視して女性は淡々と事務的に説明を続ける。


『それから、本来はボクが選ぶのですが、勇者一行もあなたの好きにしてください。

 ボクと同じように相手の額に手をかざすと勇者一行の資質を与えられるようにします。』

『勇者一行でハーレム築こうと一人寂しくソロボッチ勇者としての道を行こうと私には関係ありませんが、目的は魔王討伐なのでそれだけは忘れずに』


 女性が再び俺の額に手をかざすと、再びステータスが現れる。


【ステータス:勇者 魔法使い 剣士 格闘家 僧侶 ・・・・】


「うわっ、こんなにたくさんの種類があるんだ・・・」


『一般にジョブと呼ばれるものです。あなたが気に入った方にお好きなジョブを与えてください。

 説明は以上となります。あなたの幸運を祈りましょう』


 俺が増え続けるステータス欄に気を取られているうちに、女性の姿はどこかへと消えてしまっていた。


「え、ちょっと神様さん?!俺、まだ冒険の事とか何も聞けて・・い・・・のに・・・」


 神様を名乗る女性の姿を探しているうちに、段々と世界が色を失い、混ざり合い、ぼやけていく。

 どうやら、次の世界に旅立つ時が来たらしい。

 俺は霞む世界の中でゆっくりと目を閉じ、流れに身を任せた。


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