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お茶と猫と遣隋使

作者: 猫乃つづり

時は飛鳥時代、ある男が一人ため息をついて出立の準備を終えて、役目を果たすために外に出ていた

ある日の朝、朝廷からこんなことを命ぜられることになったわたくし千明日姉子せんあけびあねごはとてつもなくため息をついていた。


今日の朝のごはんがまずかったから?ー違う


今日の朝の便の調子が悪かったから?ー違う


それのどれでもないもので、それはある日の夜に命ぜられたのだった。

今日も俺は退屈な天皇のための会議に出家をするため、今日も後方であくびをこきながら、ながめているに近い感じでいたのだった。


「あぁ~暇だぁ~」


小声でそんなことを天皇に気づかれないように口にしてみる


「おっ……おい……天皇様に失礼だろ!」


焦りながら生真面目に様なんてつける隣の同僚の聖徳太子しょうとくたいしが俺の情けなさを天皇に気づかれないようにこそこそと注意してくる。

別にそんなにおそれなくても気づかれないっつーのに、とにかくコイツはthe真面目なヤツなのだ。


「はいはい、わ~たよ」


小声でそういいやめることにした、後から面倒くさいことになるからだ。

しばらく、見つめていると何だか今回は箱のようなものを天皇の家来たちが準備しているのだった。

いつもは情報交換と確認だけだっていうのが、習慣化しているのに……また、めんどくさいことが目の前で起こるとなると思わずため息をつきたくなる俺

そんな俺の予感は当たっているかつ目の前で家来たちが準備をし終わると早速天皇は俺の思いとは裏腹に意気揚々と尺を持ってこんなことを言った。


「今回は~我々はね~新しいことをしたいのだよぉーだから~マンネリ化っていうのかなぁ~うん。つまりは~今回それは 打開するために中国と交易行っちゃ行っちゃお!?的な流れにしようってママに言われたわけだよぉ~」


甘やかされて育てられたのか、天皇が本当に神なのかと疑いたくなる俺である。

これが俺にとってなぜ、退屈かつ早く抜け出したいのかの原因である。

はぁーと外ではめんどくさいために心の中でため息をつく。

聖徳太子はというとため息どころか目を輝かせている、やめてくれ眩しいからこんな後方とかにいないで前方いけよ。


「でぇー早速だけど誰かさぁ~隋と交易を行う遣隋使になってくれないかなぁ~、はい!早速なりたい人をぉ~」


天皇は気だるそうに誰であるか手をあげるポーズをとって聞いてみる、だが、皆誰も手をあげる様子がない……一人を除いてだが……。

例外を除けば俺と同じ考えなのだとわかる。

そりゃ当然だ、それには命の保証というものは皆無に等しいからだ今の国はの船ではあの大海原をこえることは到底確率として低いわけで、良くて漂流、悪くて遭難と言ったところである。

結果、死ぬ確率がたかいため、わざわざ危険をおかしてまでいく必要など無いに等しく、行こうと思うヤツは命知らずのバカである。

周りの空気をおしのけてそのバカが今。隣にいるわけであって……


「はい!この任!私めにお任せください」

「おぉ~」

「ふわぁっわ!」


周りは命知らずのバカが引き受けたことに安堵したのか周囲からは自分じゃないありがとうという意味の込められたのも含む称賛の声があがってくる。

俺も思わず命知らずのバカが突然声を大きくあげているものだから、あくびしてしまいそうになった口を手でふさいだ。

天皇はそれに感心したのか


「おぉ~!そなたがやることでいいよねぇ!?本当にいいの!?」


しばらくかかりそうなのが思いのほか決まったことを喜んでいるのか感激で冷静さを失っている。

まぁ確かにこんなめんどくさいことがすぐに決まったら後は遊び三昧だしな天皇……実際は知らないけど、言動、性格から判断できる。


「はい!もちろんです!」


聖徳太子はいかにもというようにはっきりと答える。そのせいで、うるさい、耳が痛くなるほどだった。でも、これで会議はおわり、後はまた昼寝ができるそう思っていた。しかし……


「いやぁ~ごめんねぇ~それはできないのよぉ~」

「えっ!?」


聖徳太子は驚く、なぜそう言われたか理解ができなかったようだ。

それに続いて、周囲もどよめきが伝わってくる、俺は変わりにどよめきに乗じてあくびをだした


「いやね!本当ね!今までだったらそれで即おけしたかったんだけどねぇ~今回はこうもいかないんだよねぇーはいこれ!」


チャラい天皇がそう言うと、側近たちはなにかを運んできたのだった。

遠くからだったが箱のような形をしたものが見える。


「はい!皆さんちゅうーもーく!今回はこれで決めたいと思いまーす」


天皇の指してる方向に皆目線を向けるそれはなんの変哲もない箱でこれで何をするのだろうか?


「今まではやりたい人達でやらせてたけどさ~、それだと、なんかさぁ~あれじゃん!?マンネリ化しちゃってんじゃん、やる気があるヤツとやる気がないヤツの差があるわけだから、ちょっと今回は平等で決めたいと思うわけだよ、みんなどう思う?」

「おぉ~」

「はぁ~」


他の奴らは感心したように見せかけての歓喜で天皇の提案に納得した形を見せる。

この時点で何が平等だと思ってしまう。

そして、多面的に見て納得してるようだったので天皇はニコニコしながら話を進める



「よし、それじゃ決まりなようなので、引いていこうかなぁあー楽しみだなぁよし、最初は天皇ちゃんが引きまーす、ひこうっと」

「あっ……」


周囲のそして俺までもこの場にいた人達の空気が一段と重くなる。

そして、天皇はそれとは裏腹にしてはじめてのくじ引きをして、早く引きたくてうずうずしているのが見てとれた。


「あー楽しみだなぁ楽しみだなぁ、早く引きたいな~もう楽しみすぎて胸が爆発しそうな気分だな~」

「あっあの天皇……」

「うん、な~に~耳がくすぐったいからやめてくれよぉー」

「コショコショ……」


天皇の側近が耳元で近づけて皆の多分俺も含む思いを言ってると思う。

そして、それを言われてどう反応するかというと


「あっ……」


さすがの天皇も事の重大さに気づいたようだ。

顔にも表れてるからよくわかる。

何せ、これは当たった人が幸せになるとかそんなものじゃない、なんせこれは……


「えっ別別に僕もねみんなと同じ平等な立場で参加したかったからね~どっどうだ天皇凄いだろ!?」

「おっおぉ~」


さすがの側近達でさえも天皇の言い訳にはちょっと見苦しかったようだ。

多分あれだろう、好奇心ゆえの弊害を隠したかったのだろうと思う。


「そっそれよりもさっさぁ皆も引かないと売り切れちゃうよさぁ買った買った!さぁそなた達も買った買った!」

「あぁ……」


あぁ焦って天皇、しどろもどろになってるよ。

周りはもう苦笑いしかできなかったのであった。


そして、しばらくして天皇のメンタルも回復し、側近達や身の回りの世話をする人達まで投票券が回ってきて、最後の人が引いたのを確認すると


「それじゃ皆引いたようだから~紙をオープン僕の紙も……オープン!」


それに続き各々紙を開ける、当たった人はどうやら赤字で「当」と書かれており、外れた人は黒字で「外」と書かれているらしい。

俺は当たってほしくない、だって危険なことで命かけて死にたくないからだ。


「やったぁー!!」


天皇は「外」らしかったので本当に心底喜んでいるらしい。それに続いて、皆喜びの声多数、これがお金だったら逆だが、今回は命をかけた任務となってるので外れた方が当たりなのだ。だから、当然そうなるわけである。

だが、例外もいる……外れたことに対して落ち込む人物が


「はぁ、神はなんで、僕に当たってくれなかったのかなぁはぁ~……行きたかったのに……」

「げっ!?」


その人物は不気味なオーラを纏いながら、多数派とは違う反応を見せて足をがくりと落として本気で落ち込んでいるようだった。

本当に行きたかったんだなぁ、聖徳太子……てか、怖いよ……もののけレベルだね。

だが、所詮これは運命によって決まるもの、これに何かの罠とか細工をしない限り変わらないものである。

そして、人は欲しければ欲しいほど手に入らないことも世の常であることを俺も実感してるからだ。

例えば、今の時間も眠りたい時間とか


「まぁ、ドンマイそんなもんだよ聖徳太子」


俺は聖徳太子にそんな言葉をかけて、自分の紙を開くことにした。

幸い今回は1つしかないのだ。

これが、5つだったら話は別だが

確率的には低いわけで、それは相対的に俺の当たる確率も低いということに繋がるのである。

よって、俺は当たらないと余裕で開いてみる。


パラリ


紙の開く音と共に俺は目線を文字の色に向ける


パシャ


すぐに閉じた、なぜなら開いた直後に色が赤だったからだ。

えっ?マジでこれ俺が?

試しにもう一度


パラリ


……


パシャ


正解は


当でした!



じゃねーよ!何、喜んだ風になってんだよ!喜んでたらあかんだろ!

とっとりあえず、俺のすることそれは……隠す!


「えー誰かぁ当たった人いない~怒らないし処刑もしないから手を上げてね~」


これを天皇は軽く言うから怖いよねどうしようか、嫌でもそこまで天皇は徹底的にそれを実行するということは滅多にしないのでするといったら反逆者とかだけだから大丈夫だろうということにして俺は裾の中に隠すことにした。

よし、これでバレない俺はこれでバレずに命を生き延びることができる。


「え~何で隠すの姉子くーん?」

「うわっ!?おっお前いつからここに!?」


俺は突然後ろに聖徳太子がいたことに驚く。

驚いて、失神しそうだった……てか、いつ!?そして、聖徳太子顔怖いわ!?本当に祓ってもらったら?紹介してやりたい……てか、知り合い少ないしいないか


「いや、なんかさぁ~姉子君がどうかなぁ~って見に来たっていう親友的な行為かなぁ」

「いや、こういう時だけ親友を使うのやめましょうね聖徳太子さん……」



これが親友的というのなら、お風呂も除いてもいいのか、そんな恥ずかしいことも考えしまう


「ていうか、よく見えなかったのだからぁ……みせてくへれよ!」

「いや、ちょっまっ!?」


聖徳太子が突然なにも言わずに素早くとるものだから俺が言葉をあげるのも虚しく意味もないものとなる。そして……


パラリ


あぁ、どうしようか、どうしようもないそれが開かれた。

もし俺に時を止める神がかり的な力があったら奪って取り替えっことかすることが出来ただろうがそれは現実には虚しく終わるだけで


「えっ……えっ姉子く…えっ?えっ?えぇぇぇー!」

「おいバカ!そんなに声あげるな」


それをいっても遅く、聖徳太子の心からの衝撃を聞いて、周りがざわめきだす。


「えーとなんだいなんだい、向こうの方から声がするなぁ~ってもしかして当たったのかなぁ~おーいさっき進言してくれた人なのかなぁ~?」


おいおい、まずい、天皇までこっちに向けてきたよ、多分それは聖徳太子に対してだが……

それと付随して天皇が指差して聞いてこようとする方向に向けようとするものだから、周囲の人がその方向に目を向けるのは当然である。


「うわっえっ?えっ?」


俺の言葉から出てくるものはしどろもどろになるだけだった。だが、考えろ!まだ俺がいかなくてもいい方法があるんだ。

俺は焦りながらも必死に考えた……結果……


(聖徳太子の袖の中に入れれば案外ばれないものじゃね?)


そうだ、まだやれることはあるんだ、その方法は至って単純、俺はそれを実行することにしようと聖徳太子の手を握ろうとした……しかし


「いいえ、私ではありません、当たったのは親友である姉子君です!」

「はっ!?」

「ほほぅ」


俺が握るつもりだった手は逆に手を握られて手をあげさせられる形となってしまった。

天皇はふんふんと顎の髭をなぞるようにかいた。

俺は計画通りうまくいかなかったので焦ってしまっている。

どう言おうか、どうすることもできない俺はこう言った


「まぁ……はい、この私、姉子が当たりました……」

「ふーん君が当たったんだね、それじゃ~決まりということで、よろしくね!姉ぇ~妹子君か?とりあえず、君を遣隋使に任命することで決まり、それじゃ解散」

「まぁ……はい……承知しました……」


そして、天皇はやっと遣隋使が決まったのかと思うとさっさと解散させて、夜中飲み食いに明け暮れる生活か夜遊びとかをするのだろうと思う。

何が天皇だ……ただの家畜と同じじゃねーか、俺はそう毒づきながら一人、了解したのだった。


そして、現在に至り、今日が出達の日である

今にして思えば、聖徳太子と同じように当たって欲しい当たって欲しいってあえて欲しいオーラ出しながらやれば当たらないんじゃなかったのかとか色々考えてしまう俺である。

それに反して天気は雲ひとつない絶好の晴れびより……


「はぁー、空はこんなにきれいなのに何でこんなにすがすがしくないんだろうなぁ」


心の中はくもばかりと思わず詩を書きたくなる気持ちを抑えて外をでる


「はぁーはぁー」


ため息ばかりをつく俺、ちなみにいまだに嫁と子供などいない独身貴族である。

一応の平等に決めた結果としてもまさか俺だとはつくづくついてないと思ってしまう


「はぁ~、ついてない……いや、待てよ」


これはこれで生きて帰ってこれりゃ俺昇進できて、天皇の右大臣、左大臣級の位にあがって、聖徳太子を濃き使うこともできるんじゃないか?

俺はそう思うとニヤッとさせて


「待ってろ隋、俺は絶対成功させ……」

「あっ……あの、天皇陛下の使いのものであなた様を港までお連れすることになりました 、時間はありません、早急にお願いします」

「あっ!はい只今……」


うわっ、どうやらいつのまにか天皇の側近の一人である誰かにこんな独り言じみたことを聞かれちゃったよ!俺の顔は恥ずかしさで赤くなってしまった。

そして、どうやら俺を牛車にのせて運ぶらしいようだった。

急がなきゃ、俺は早速牛車に向かうことにしたそのときだった


「ニャーオ」

「猫?」


俺はふと足を止めるとそこには猫がいた


「かわいいな」


猫は他の野良とは違って汚れひとつない白く純白な毛でおおわれて、気品がありそれでいて神々しかったのだろうか。

俺は一目惚れ的なことを猫の前で考えてしまった。

ただでさえ急がなきゃいけないという時に場違いなことを考えてしまっている


「急いでください、時間がないですよ姉子様!」

「飼おう」

「えっ?」


俺は飼うかそのままでいくかで考えた際、飼うということを決めた、即決だった。

周りからしたら場違いなことを口にしたのか、使いの者は目を真ん丸くさせていた。

俺は構わず猫の方に意識を向けていた


「猫の名前はそうだなぁ、隋といえば茶だから…茶!……でいいか?」

「ニャーオ」


どうやらその名前が気に入ったように見えた。

でも問題は隋に連れていっても問題ないかということだった


「あのぉこの猫連れていってもいいですかねぇ」

「ダメです!」


断られた、どうにかして連れていきたい俺は猫がオスではなくメスだということに気づく。

あっそうかこれなら!

俺はこんなことを口にしてみた、俺だから言えることを


「あのぉちなみにこの猫うちの嫁なんですけど、離れてしまうとお互いに死んでしまう病というものにかかってしまって……」

「……」


絶句してるのだろうか、だが気にしない、俺は茶とともに俺はこれから遣隋使として大海原をいくのだから!……実際は猫だけじゃなく、人である嫁が欲しい……


でも、これで成功したら嫁ができるのだろうと今は猫を嫁にして一人の寂しさを紛らそうとする俺であった、


そして、その後はどうなったかというと無事、遣隋使としての任務も果たし、茶のご利益もあったのだろうか、どちらの国も一時的にではあるが猫ブームを広めることになったのだが、聖徳太子の伝説の方が強く残ったために歴史の中に塗り潰されたというのは悔しいながら当然だと思った。

だって、聖徳太子ってすげー人になったんだもんな!

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