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四獣の魔聖剣  作者: ゼティゼア
1/5

第一章ノ一 孵化する終焉

今回の小説が初投稿となります、ゼティゼアです。

変な所とか色々あると思いますが、よろしくお願いします。

ある時代のある場所で


カタッ


「それ」は目覚めた


カタカタ


永遠に続く


カタカタカタカタ


死の恐怖と


ガタガタガタガタ


絶望と地獄とを


パキッ


共にして――


パキパキパキ


バリッ…






「?」

 何だろうか。

 いま、とてつもなく嫌な予感がした。

「ん?どうかしたか青刃?」

 隣にいる俺の友人が心配してくれたのか、声をかけてくれる。

「いや、なんでもない」

「ふーん、まあどうでもいいけど」

「……!おい朱羅、ちょっと止まれ」

「何だよ青刃、やっぱなんかあったんじゃ」

 ボトッ

 朱羅のすぐ前で何かが落ちる。

「……ナニコレ」

「鳥の……フンだな」

「あっぶねぇ~……」

「良かったな、フンまみれにならなくて」

「ほんとだよ~、いやーありがとな!」

「ったく、とっとと帰るぞ」

「おう!」

 今の悪い予感が、この事ならいいのだが…


 俺の名前は「蒼空青刃あおそらせいば」、『大陸』の東端にある「イーステル村」で生活しているただの17歳だ。身長は175。髪型も顔も、色々な部分もこれと言った特徴もない、地味なとある能力を持つだけの普通な青年。因みに11歳の妹がいる。

 今、隣にいるのは俺の数少ない友人の「赤岩朱羅あかいわしゅら」。

 こいつとは幼馴染でもあって、俺が子供のころに最初に友達になったやつでもある。

 尖った感じの髪型、この村によくある黒い目。

 性格は気さくな感じで、単純なところもあったりする。

 身長が少し高めなところと性格以外には、あまり特徴が無い。強いて言うなら茶髪なことぐらいだろうか。

 今は村の近くの森に散歩に行ってきて、そこから帰るところである。そろそろ村に着くころだ。


 村に着くと、俺のよく知るもう一人の人物が近寄ってくる

「おっ、二人で何してんのー?」

「よう明理~、ってお前は相変わらず暇そうだな?」

「おー、よくわかったねー。つーわけで暇だからあそぼーう!」


 朱羅の問に堂々と「そのとおり」とこたえる人物。

 こいつは「白浜明理しろはまあかり」、朱羅と同様に俺の幼馴染で、兄がいる。

 白く短い髪、緑色の瞳。細くしなやかに見える肢体。

 割と、と言うか普通にアホであり、前に五回ほど旅の商人の詐欺に引っかかりそうになったことがある。

 のくせに力は強く、前に一度ナイフ持った強盗相手に正面から戦って無傷で勝利したことすらあるという強さを持っている。

 尚、白浜家は何か知らんが由緒ある家系らしく、対立的だった黒浜家というものもあるが、今ではそんな因果関係もなくなり、割と仲良くやっているらしい。


「遊ぶっつったって何するんだよ?昨日かくれんぼとかしたばっかだろー?」

 朱羅がそう問いかける。

「だって昨日はずっと負け続きだったんだもん!」

 正真正銘、言葉どおりそのまんまの『頭隠して尻隠さず』を見たときは言葉を失った。

「はあ…じゃあなにがしたいんだよ?」

「ふっ、またかくれんぼしよー!今回は私が鬼!」

「……まあいいけど……」

 ちなみに、今まで明理が鬼のかくれんぼをやったときは毎回日が暮れる、ということがおこった。恐らく、今回もそうだろう。

 しかし、17にもなってかくれんぼ……考えてみると、結構なことをしているのだ。

「さて、今回はいつまで続くかな……」

 明理と遊ぶ時の嫌な予感を感じつつも遊びに応じる。明理はああで負けず嫌いなところがあるからな……


 その翌日の朝に、俺は何故か村長に呼び出された。

「それで村長、一体何の用事ですか?肩は揉みませんよ?」

「誰もんなこと頼まんわい!ったくいきなり失礼な…ゴホン、とりあえず本題に移ろうか」

「腰痛の相談だったらお断りします」

「だから違うわい!!いやまあ、それはそれで困っておるが……」

 では何だろうか。まったく心当たりが無い。

「コホン……青刃、お前さんは昨日『何か』を感じなかったか?」

「……!」

 そうだ、確か俺は昨日の散歩の帰り道で何かを感じ取った。やはり鳥のフン程度では終わらなかったか…だがそれよりも…

「何故、村長がそのことを?それに、村長も感じたんですか?」

 村長も実は俺と同じ能力を……?

「ふふ、儂は今でこそ老いぼれだが、ただの老人ではないということじゃ。昔はよく旅に出たりしてのう。それと、お前さんは昔から悪い予感を事前に察知できたりしていたからの、このことももうすでに感知していると踏んでいたが……間違いではなかったようじゃな」

「村長のことは割りとどうでもいいけど……それで、何が言いたいんですか、村長?」

「お主とゆーヤツは……いやそれより、もう少しで巨大な『何か』が来るかもしれん。その『何か』は儂にも分からん……だが、気をつけるのじゃぞ、青刃。これから先、何が起こるか分からないからの……」

 険しい顔で村長が答える。

「分かった」

 そして、再び険しい顔で、村長が言う。

「あとせっかくじゃから肩もみを」

「じゃあ俺帰るわ」

 そう言い放ち、村長に背を向けてささっと帰路につく。

 そのとき、後ろで村長の腰あたりのグキッて音と村長のものらしき謎の叫び声が聞こえた気がしたが、無視して帰った。


「お兄ちゃーん、お帰りー!」

「おう、ただいま海美」

 帰って来て家のドアを開けると、小さな何かが突っ込んできたので、それを体で受け止める。

「あら、お帰り青刃。もうすぐお昼ご飯出来るから、ちょっと待っててね」

「りょーかい」


 先ほど帰ると同時に突っ込んできたのが妹の「蒼空海美あおそらみみ」。茶色のツインテールに、輝く黄色い瞳が今日も元気であることを告げる。

 少し遅れて『お帰り』と言ったのが俺の母親の「蒼空澪あおそられい」である。髪は長めの黒色で、同じように黄色い瞳を持つ。まあ、普通の母親だ。

 父さんは俺が物心つく前に死んだらしい。海美は生まれてすらいなかった。俺は父さんの顔も覚えてない。

 たまに母さんが父さんのことを話してくれるが、普通にいる平凡な人だったようだ。

 ただ、困っている人を放っておけない、というところがあり、母さんは何回も助けてもらったらしく、それで惚れたそうだ。

 だが、話を聞くたびに、妙な違和感を感じることもあるが、気にしないようにしている。


「ねえねえお兄ちゃん、みてみて!」

 そう海美が言いながら、手を出してきて、その小さな手を開く。そこには有名な一本角の昆虫がいた。

「お、カブトムシか。それにけっこうでかいな」

「えへへ~。でしょ?」

 海美が嬉しそうに笑う。

「今日友達と森で遊んでたら見つけて、友達になったの!」

「にしても、よく素手で触れるな」

 実は、虫はあまり好きじゃない。どちらかと言うと苦手だ。

「えー?可愛いよー?」

 カブトムシに『可愛い』……うちの妹も妹だな……

「海美ー、後で森に返しておくのよー」

「わかってるよー」

 みると、カブトムシが海美の手のひらの上で少し動いているのが分かる。つまり、生きている。しかも、どう見ても死にかけでも何でもない。逃げよう思えば逃げれるはず……なのだが、まるで逃げる気配もなにも感じない。


 海美には、不思議なところが多い。

 前に一度、ピクニックに行った時に熊と出会ったが、熊が海美を見た瞬間、敵意がまるで消え失せたようになり、さらに海美が『背中に乗せて』とお願いをすると、海美を背中に乗せたのだ。

 今のカブトムシにしても、普通手のひらの上に置かれたなら、すぐに飛んだりして逃げるはずなのだが、海美といると、まるで逃げるという選択肢が無いかのように大人しくなる。

 他にも、海に行ったとき海美が何故かイルカに股がっていたり、森の中で寝ていると、何故か猫とかリスとかスズメとか、時にはトラとか鷲とかヘビとかの猛獣すら周りに集まって寝ていることがある。

 どうやら、海美は動物と『お話し』ができるらしく、海美本人はこの特殊な能力的なものについて最近になって自覚してきている。特に村の他の子供たちにも気味悪がられてないようだ。


「あとね、今日はねー……」

 海美の話が続く。

 こうして聞いていると、本当に不思議な話ばかりである。


「ほらー、もうご飯出来たわよー」

 そうこうしているうちに昼ご飯ができたようだ。

「だってさ、お兄ちゃん!早くしないと冷めちゃうよ!」

 海美がてを引っ張ってくる。

「はいはい…っと、その前に手、洗うぞ」

「はーい!」

 ご飯を食べる前には手を洗う。これ、基本。


「はいじゃあ手を合わせて~」

 母さんが手を合わせるように言う。

「はい!」

「ほい」

「「「いただきます!」」」






 そんな日々が続いた


 バキッ


 きっといつまでもそんな他愛ない日々が続くと思っていたんだろう


 パリパリパリ


 でもそれは


 ドスン


 あの『何か』を感じたときに


 ポタ…ポタ…


 もうすでに壊れていたんだ


『グォォォン…』


 これから俺達は


『ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』


 戦いの渦に巻き込まれることとなる。






 その日、俺は海美と朱羅と明理で村の外れにある、石で出来た祠に来ていた。

 そこには、もう元の形の面影すら無くなるほどに錆びた剣がある。

 村長ですらその剣の元の形を知らないため、相当古い。

 今日ここに来たのは、散歩ついでに村長から供え物を置いてくるように言われたからだ。


「しかし、本当に何年前の物なんだろうな、この剣」

「確かに、ここまでさびっさびだと逆に気になるねえー」

 朱羅の発言につられ、明理が言う。

「手でちょっと触っただけでもすごく汚れそう…」

「確かにな…」

 海美の言葉に俺は同意を示す。

「まあ何にしろ、供えるもんも供えたし帰ろうぜ」

「ああ、そうするか」

 そうして帰ろうとしたところで、海美が口を開く。

「うーん…お兄ちゃん、私眠たくなってきちゃった…」

 突然海美が眠いと言い出した。

「いいんじゃないかな~。まだ暗くもないし、時間もあるし…ぶっちゃけ私もちょっと眠たくなってきちゃった。てへへ…」

 明理もそんなことを言ってきた。

 だが、明理のいう通り、昼寝をするぐらいならちょうどいい時間だ。

「そうだな、じゃあちょっとだけ寝ていくか」

「ふあ~、何か俺も眠くなってきた…」

 朱羅も眠くなってきたようだ。まあ、天気もいいし、暖かい日だから仕方がないかもしれんが…

 ……実を言うと俺もちょっと眠りたい気分だ。

 と、言うわけで、皆で昼寝をすることになった。


 草の上に寝転がっていたら、何だか心地よくなってくる。

 すぐ隣では、海美が俺にくっついた状態で寝ている。

 気がつけば、もうすでに周りに小さい動物が何匹かいる。流石とでも言うべきか…

 海美とは反対方向に朱羅が近くで寝ている。だいたい1メートル位だろうか…

 朱羅のすぐ隣で明理も寝ている。ずいぶんと気持ち良さそうな顔してんなあ…

 そろそろ俺の意識も遠ざかってきたな…

 まぶたを閉じるとすぐに寝れた。

 だが、まぶたを閉じる瞬間に目の前を横切っていった巨大な影に俺は大きな不安を感じたが、そのまま寝てしまっていた…






「?」

 ここは何処だろうか。

 周りは暗めの青色に包まれている。

「夢……か?」

 ぼーっとしていると、突然目の前に青い竜が現れた。

 長い蛇のような体をしており、翼はない。

「誰だ……?」

「我ハ『青龍』、四獣トヨバレルモノノヒトツダ……」

 四聖獣、その青龍だと?

「……それが本当だとして、何故その四聖獣さまが俺に話しかけている?」

「キサマハ英雄ノ血ヲツイデイル……キサマナラバ我ノチカラヲツカイコナシ、コノ世界ヲ救エルト……ダカラキサマヲ選ンダ……」

 まて、なんだと……?

「世界を救う?つまり、世界に危機でも訪れると?」

「ソレ以外ニナニガアル?」

 なんだと……!?

「……それに、英雄の血を継いでいる、とかいったな?」

「ソウダ、ソレニキサマニハアル能力ガアルハズダ」

「能力…?まさか俺の予知のことを言っているのか?」

「アア、キットソレダロウ……」

「それが英雄の力…?にしても少しショボいような……」

 それに俺の予知は悪いことしか予知できず、良いことの予知はできなかったりする。

「マアスゲー前ダシシカタ無エンジャネエノ?」

「誰だお前」

「オットスマナイナ、ツイツイ本音ガ……」

「うおい」

 コイツ……ホントに四聖獣何て大層なもんか……?

「んで、ここは何処だよ?」

「ココハ……ソウダナ、キサマト我ノ精神世界ガ融合シタ場所、トデモ言ウベキカ……」

「ふーん……精神世界、ねぇ……」

「……キサマ、ヤケニオチツイテイルナ?」

「……」

 実際はそうでもない。

 いきなり世界が滅びそうだから世界を救えとか英雄の血を継いでいるとか精神世界の融合だとか、わけのわからないことばかりで頭がこんがらがっている。

 だが一つ、これだけは質問して、答えを得たかった。

「要するに、俺に世界を救え、と?」

「一言デ言ウナラソウナル」

 ふむふむなるほどよ~くわかった。

「面倒くさいんで他の人に頼んでください」

 と言うわけで俺は帰ろうとするが、

「マッテー!!」

「えぇ~」

 服の襟に噛みついてきた。

「イヤイヤイヤ、普通ソコハ『俺に任せとけ。世界なんて、ちゃちゃっと救ってやるよ……☆』トカ言ウトコロジャネェノ!?」

「つっても面倒くさいもんは面倒くさいし……」

 だって……ねぇ?

「ツーカオマエ今ドウヤッテ帰ロウトシタ!?」

「どうにかして」

 あてはないが。

「スゲーヨ!ソノ考エニイタルトコロガスゲーヨ!」

 なんかもう鬱陶しくなってきた。

「はぁ……と言うか、それよりもお前そのキャラ崩壊どうにかしろ」

「ウルセー今ハソンナコドウダッテイインダヨ!」

 うわあ…

「ツーカナンナンダヨオマエ!世界ガ滅ンデモイイッテノカ!?」

「だから他の人に頼んでくださいって」

「テメーオレノ話シ聞イテマシタカ!?オマエナラ俺ノチカラヲゾンブンニフルエルト」

「ちっ」

 いい加減にうざくなってきた。

「ウワァ~ン、シタウチシヤガッタコイツ~!」

 うるせぇなあ…コイツ本当に四聖獣とか大層なもんか?疑わしくなってきたぞ……

「ユルサン…マジデユルサン…チョウユルサン…」

 そろそろ殴りたくなってきた。

「我ガチカラヲ知レ!!」

 噛みついていた襟から口を離し、青龍の目が光る。

「!?」

 すると、何処からともなく大量の水が現れ、それが無数の水でできた剣になる。

「フハハハハ、見タカ!我ガチョイト本気ヲ出セバコノヨウナコトゾウサモナイ!死ニタクナケレバ我ト契約ヲ結ブガイイ!!サモナクバ――」

「いい加減ウザいパーンチ」

 顔面目掛けて殴ってやった。いやー、スッキリ。

「ガハァッ!」

 おお、以外ときくもんだな。

「…?」

 かすかに誰かの声が聞こえる。

『お……ん………や………き…!』

 これは…海美の声だ。

『おに…ちゃん!…や……きて……』

 何だ?

『お兄ちゃん!早くおきて、村が!……』

 ……何だと……!?村がどうしたんだ!?

 異常なまでに悪い予感が全身を駆け巡る。

「グフウ、キ……キサマ、コノ我ニパンチヲクラワセルナド……」

「おい、青龍!早くここから出せ!」

「ナンダト……?ナラバ我ト契約ヲ……」

「うるせぇ、さっさと出せ!」

「ソレナラバ我ト契約ヲ結ブトイウコトダナ?」

 くそ、面倒くさいが背に腹は代えられん……!

「それでいいから、さっさとしろ!」

「マッタク、セッカチダナ……ナラバ、ドチラデモイイカラ手ヲ出セ」

「何だよ!」

 とりあえず、右手を出す。

「受ケ取ルガイイ……コレガ我トキサマノ契約ノ証ニシテ、キサマノ新タナルチカラノ証ダ!」

 突如俺の手首に青い光の粒が集まったかと思うと、それは青く光る腕輪となり俺の手首についた。

「これでいいのか!?」

「アア、コレデ契約完了ダ……ダガ、契約完了トイッテモ今ハマダ仮契約ノヨウナモノデ、現実世界デ俺ノチカラヲ使エバ完全ニ契約完了ト……」

「いいからとっととここから出せ!早く!」

「ソウ急グナ……ッタクホントニセッカチダナ~」

「うっ……?」

 視界が歪む。

 意識が遠のく。

「マア、マタアトデナ……」

 その言葉を最後に、俺の意識は途切れた。


「モウ動キダシタカ、終焉ヲ告ゲシ存在……イヤ、『魔王』ノノコシタ『卵』ヨ……」

「……フン、ヤツデ本当ニ大丈夫ナノカ?」

 突如として赤い光が現れ、光が声を出す。

「……大丈夫ダ、ソレニヤツノ先祖……アノモノハ我ラノ使イ手ダッタデハナイカ」

「ダガ、ソノ素質ガマダノコッテイルトハ思エンナ……」

「ソレデモ、俺ハヤツヲ信ジル。次コソアノ『魔王』ヲ……繰リ返サレル歴史ニ終止符ヲウツト……キサマモソレヲ望ンデイルダロウ?……『朱雀』ヨ……」

「……フン……」

 赤い光が消える。

「素直ジャナイワネ~、アノコモ」

「マア、ソウユウモノダロウサ」

 そして、黒い光、白い光が現れ、それぞれが声を出す。

「キサマラモ久シイナ、『玄武』、『白虎』……」

「フフ、ヒサシブリ。ナンビャクネンブリカシラネ?」

 黒い光が答える。

「フッ、元気ダッタカ?『青龍』」

 続いて、白い光も答える。

「ソレデ、ナニヲシニキタ?『朱雀』ノヨウニ文句ヲ言イニ来タンジャナイダロウナ」

「ソンナワケナイジャナイ、失礼ネー」

「タンニ祝イニ来タダケサ……」

 二人とも否定を示す。

「ナラサッサト帰リヤガレ、イマチョト心身トモニ傷ツイテンダカラナ!?」

「スゴカッタワネー、アノコ。『青刃』ッテイッタカシラ」

「サスガハ『アノヒト』ノシソンダナ……」

 あの人――

「サテ、ジャアソロソロ私タチハ戻ルトスルワ。ジャアネ」 

「次ハ、近イ内ニマタ会ウコトニナルダロウ……サラバダ……」

 そうして、黒い光と白い光は消えていった。

 そして、青龍は上を見上げ――

「……タノムゾ、『英雄』ノ血ヲ継グモノヨ……」

 ――そう、一人呟いた。






 目覚めたとき、空をみると、村の方向から赤い光と大量の煙が上がっていた。

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