第2話 、 日常の崩れる音と、異形の者
突然現れた12体の異形の者達は、空高くへと上がって、何かを話しているようだった。
何なのだろう、と登校の途中にも関わらずそれを見つめていると、その中の一体…白い衣を纏い、緩くカールした髪の、一般的に見れば、絶世の美女という感じの者が、僕等の街へと降りてきた。
「?」
それはにこりと微笑むと、くるりと一回転してから…僕以外の人間を、全員殺したようだった。
殺したといっても、首を跳ねたというのが近いだろう。
どうやったのかは分からないけれど、その時、あいつの手に持っている、先端にハートのついたステッキが煌めいたように見えた。
「…」
辺りを見渡すと、それまで生きていた人間…肉塊が散らばっていた。
僕の制服に血がついていない事を確認すると、僕はほっと溜息を吐いた。
まわりに人の死体があるのに、こんな事を考えていられるから、僕はきっと忌み嫌われていたのだろう。
そんな事を考えて死体を眺めていると、それは、何時までも死なない僕に気がついたのか( いや、慈悲でもあって殺さないでくれたのかもしれないけれど )、僕にふよふよと浮きながら近付いて来た。
「…あっれぇ~?生き残りィ?」
首を傾げながら奇妙に高い声でそれは僕にそう問いかける、生き残りということは、僕も殺すつもりだったのだろう、多分。
こくりと頷くと、それは、不思議そうにんんー?と唸り、数秒後、まあいいか、と去っていった。
…何だったのだろう。