後編
白夜ちゃんはその次の日も休んだ。
ようやく学校に一緒に行く日、白夜ちゃんのケガは、増えていた。
「白夜ちゃん…」
「おはよう。行こう。」
白夜ちゃんは笑っていったけど、笑えてなかった。
学校の帰り道、うちは公園へ行こうといって白夜ちゃんを連れて行った。
「ねぇ、白夜ちゃん…なんか、あった?」
「……」
うちはブランコに座りながら聞く。
「…夏澄は、さ。」
白夜ちゃんもブランコに座る。
「ママが怒ること、ある?」
「え?お母さんが?あるよ。そりゃあもういつでも。」
「そっか…。その時、……――――?」
白夜ちゃんは下を向きながら言う。
声も小さくなって、よく聞こえなかった。
「ごめん白夜ちゃん。なんて?」
「…ううん、なんでもない。」
朝と同じ笑顔で、白夜ちゃんは言った。
白夜ちゃんの座った姿を横から見ると、足にも、ケガみたいな、痣みたいなものがあった。
公園に赤い太陽の光が差し込む。
白夜ちゃんの青い目が、赤く染まりそうだった。
その日の夜、うちはお母さんに今日のことを話した。
白夜ちゃんがケガをしてること、
それが増えてること、
元気がない、こと。
笑顔じゃないこと。
お母さんは少し黙って、「わかった、もう寝な」といった。
次の日、隣から白夜ちゃんの大声で目が覚めた。
「どっかいけ!!!こっち来るな!!」
うちは慌てて家を飛び出す。
白夜ちゃんの家の前には、大人がたくさんいた。
「お願い!!!!ママは悪くないの!」
大人が白夜ちゃんのお母さんをエレベーターのほうへ連れて行かせる。
「ママ!!ママ!!!」
「お願い…!ママを…連れて行かないで…」
そばにいたお母さんに 止めてよ、 と言っても聞いてくれない。
暴れて泣きわめく白夜ちゃんをうちはただ見ることしかできなかった。
数日間、学校は白夜ちゃんの話で持ち切りだった。
「白夜ちゃんが、」
「白夜ちゃんの、」
その後、白夜ちゃんと一緒に学校へ行くこともなかった。
静かになった隣の部屋の表札に、
水樹
の文字はなかった。
あの日うちがお母さんに言ったことは、あってたんだろうか。
うちがお母さんがに言わなければ、白夜ちゃんはお母さんと一緒に入れたんだろうか。
高校生になった今でも、白夜ちゃんのことを忘れたことなんてない。
白夜ちゃんと、白夜ちゃんのお母さんに何があったかなんてうちにすべてはわからんけど、もう、会うことはないと思う。
もし会ったとして、白夜ちゃんは前みたいに笑ってるんかな。
入学式でお母さんと写真を撮った後、うちは教室へ行く。
廊下で、白い髪の子がいた。
白夜ちゃんが頭によぎる。
ふと振り向いたその子は、前髪がながくて、目が見えない。
でも、はっきりとわかった。
「白夜、ちゃん。」
目の前の子は、少し笑っていう。
「久しぶりだねー、夏澄。」
前髪の隙間から青い目が見えた。
後半が前編に比べて多くなりました…。(?)
誤字脱字報告してくれるとうれしいです。




