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マインド・クロス  作者: 留菜マナ
魔術深淵編
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第三十九章 根本的に焔の灯し⑦

「舞波。調査を終えた後、通信制の高校に転校する際の説明を改めてするからそのつもりでな」

「我は納得いかぬ!」


1年C組の担任が挙げた確定事項に、昂は憤慨し、己の心をさらけ出す。


「 不可解な件の謎を解くのに忙しい身だというのに、何故、この我がまた、通信制の高校の説明などを受けねばならんのだ!」

「それだけ、転校手続きを急ぐ必要性が出てきたのからだ!」


昂の抗議に、1年C組の担任は不愉快そうに言葉を返した。

それでも、昂は揺るぎない信念を示す。


「先生、何を言っているのだ! 我がいれば、通信制の高校への転校手続きなど、あっという間にしてのけるのだ! なにしろ、我は偉大なる未来の支配者なのだからな!」

「……まあ、舞波は存在自体が謎だからな」


昂の我田引水な意見に、元樹はもはや理論というより、直感でそう告げるしかなかった。

改めて、意識を切り替えた元樹は、重大な疑問点を口にする。


「舞波、携帯で綾と連絡を取り合ったんだよな? 何処で携帯を手に入れたのか、本当に覚えていないのか?」


元樹の疑問は、昂からすれば愚問だった。


「うむ、当然ではないか。我はそもそも、このような謎めいた代物など、受け取った覚えはないのだ!」

「受け取った覚えはない。つまり、誰かから受け取った自覚はあるんだな」


元樹は訝しげに、拓也と顔を見合わせる。


「自覚はあるのに、誰から受け取ったのか、分からないのか……」

「どういうことだろうな」


拓也の問いにもならないようなつぶやきに、元樹は怪訝そうに眉を寄せた。


昂が携帯を入手した場所は、少なくとも昂の家から綾花のマンションまでの道沿いに限られてくるはずだ。

そして、昂の分身体達を追跡しながら、昂が携帯を受け取れる場所だろうと目星をつける。

途中で魔術で移動した可能性も否めないが、それでもその道途で携帯を渡してきた人物と遭遇したーーその蓋然性が高かった。


拓也は昂の真意を掴むために、さらに言葉を連ねる。


「なら、おまえは昨日、ペンギンの着ぐるみのまま、構内をうろついていたのか?」

「ペンギンの着ぐるみという目立つ格好で構内をうろついていたら、魔術の関係者達に自身の存在を気づかれるよな。誰か、接触してこなかったか?」


再び質問を浴びせてきた拓也と元樹に対して、何を問われるのかある程度は予測できたのか、昂は素知らぬ顔と声で応じた。


「誰も接触などしてこなかったのだ。ただ、駅員達に注意喚起を受け、我の正装であるペンギンの着ぐるみが没収されてしまったのだ! もっとも、その後、父上にお願いして、新たなペンギンの着ぐるみを購入してもらったがな」

「なるほどな。つまり、おまえはあの後、騒動を起こしていたんだな」


そのもっともな昂の説明に、拓也は呆気に取られたように何とも言い難い渋い顔をする。

元樹はホームを背景に視線をそらすと、不満そうに肩をすくめて言う。


「誰かが舞波の失態を見ていた可能性は高いな」

「うむ、確かにな」


苦虫を噛み潰したような元樹の声に、不遜な態度で昂は不適に笑った。


「ーーむっ?」


しかし、そこでようやく、昂は自ら自白し、自身の落ち度を認めていたことに気づく。

混乱しきっていた思考がどうにか収まり、昂は素っ頓狂な声を上げた。


「……お、おのれ~、井上拓也! そして、布施元樹! 貴様ら、我に自白させるのが目的だったのだな!」

「おまえが勝手に話しただけだろう!」

「ああ」


昂が罵るように声を張り上げると、拓也と元樹は不愉快そうにそう告げる。


「……おのれ」


昂が次の行動を移せずに歯噛みする中、元樹は核心に迫る疑問を口にした。


「もしかしたら、その駅員の人達が魔術の関係者だったかもしれないな」

「なっ!」

「ーーっ!」

「むっ!」


元樹の正鵠を射た発言に、拓也と綾花、そして義憤に駆られていた昂は目を見張る。

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