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締め切りだったことを思い出した。僕の電車はとっくに発車していて、もうどんなに足掻いても間に合わない。
仕事をクビになった。次の仕事はみつかりそうにない。妻には逃げられた。
子供たちには蔑まれ、唾を吐きかけられた。家族を養えない男に存在価値はない。
空中図書館に僕の明日を調べに行った。片足の図書館司書の女の子はすまなさそうにそんな資料はございませんと答えた。
「だってまだ生きているじゃありませんか」
僕はむきになって言いつのった。
「申し訳ありませんがどのような資料にもそのような記載はございません」
僕は傘を差して川底を歩いた。
おたまじゃくしたちがラインダンスを踊っている。
「諦めちゃえばしあわせになれるよ」
無邪気ににっこりと笑いかけてくるおたまじゃくしたちに苛立ちながらも僕はどうすることもできず無言で歩きぬける。
いつしか海までたどり着いていた。ヘドロの溜まった海底で腰の曲がった車掌役のはぜが言う。
「旦那。電車はとっくに行きましたぜ」
見上げた運行掲示板にきょうの運勢が表示されていた。
それは、