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主人公?私はそんなの知りません!

作者: 八月葉月

流行り+ノリ=で出来た作品。

単純に笑って下さい。



よくある女の子が主人公の恋愛シュミレーションゲーム、通称『乙女ゲー』。

私はサークル活動で5人のサークル仲間と共に乙女ゲーを創る側にいた。

イベントへの積極的な参加と地道な布教活動、加えてサークル仲間の一人が売れっ子絵師なお陰か、アマチュア集団が創ったにしてはそれなりに人気があった。



サークル内一番の人気作【蒼天風翔そうてんふうか】。



それはサークル仲間の欲望と妄想を詰めに詰め込んだ、学園恋愛ファンタジー。

はっきり言って馬鹿だろうと断言できる内容だ。ご都合主義万歳萌万歳な中身だ。

しかも創作にも馬鹿みたいな時間をかけた。

他の乙女ゲーは三ヶ月~半年、どれだけ時間をかけても一年が限度であるのにも関わらず、【蒼天風翔】には三年半もの時間をかけている。


クオリティにはかなりのムラがあるが、膨大な量の登場人物とそれに伴うシナリオとエンドの多さに、コンプリートが死ぬほど大変だと賛否両論されたほどだ。

私としては否を唱えたい。テストプレイは死ぬほど辛かった。

(欠片も興味はない、あるいは嫌いな相手を延々と攻略していく様を想像して欲しい。)

黒歴史も相まって思い出したくもない記憶だ。



それは兎も角、【蒼天風翔】は学園モノと謳っているだけあってその舞台は一つの学園だ。

しかもそこは学園都市と呼ばれる一つの都市型学園で、魔法や召喚術、妖術などの術力に力を入れている国内屈指の術系統学園である。

そこには国内外のありとあらゆる秀才凡才が集まり、ゲームの主人公が学園に入学する所から物語は始まる。


物語の結末は千差万別、それ故にストーリー展開も馬鹿みたいにたくさんあり、学園に同時期に在籍していれば必ずや主人公のゴタゴタに巻き込まれるだろうことは想像にかたくない。









そんな学園トコに誰が行くかっ!!!!









何の因果か、己が創ったゲーム【蒼天風翔】の世界に私は転生した。

生まれた時は前世の記憶などなくのびのびと過ごしていたのだが、転機が訪れたのは僅か三歳の頃だ。

平凡な日常が去るのはあまりにも早かった。





グッバイ平穏、こっちくんな厄介事。





ゴホンッ。えーと。

転機となった三歳の時、私は一度死にかけた。

元々生まれた時から私の魔力は高かったらしいのだが、高い魔力は幼い体躯にはただ危険でしかない。

だからこそ生まれた時から魔力の大半を封印されていたらしい。


そんな事を知らない私は、母と母の侍女で友でもある女性と三人で幸せな日々を送っていた。

だが、馬鹿な女が嫉妬のあまり私と母に暗殺者を送り込んだ事よってその日々は脆くも崩れ去った。

突如起こった己と母の命の危機に、恐怖に引きずられた魔力が暴発して封印具が粉々に壊れてしまったのだ。

当然、抑えられていた魔力が一気に噴出し、恐怖によって更に膨れ上がった魔力を三歳児がコントロールなど出来るはずもなく、それでも死にたくないと願った私には前世の記憶が必要だった。

強い精神力と、何より精神をコントロールするために必要な理性が。




死ぬ程苦しかったけどね!




考えてみて欲しい。

ただでさえ恐怖と魔力でパニックを起こしている三歳児の脳に、突然約二十年分の人間の記憶が流れ込む。

しかも前世の記憶と自我の方が強いから、としては、気付いたら突然頭は痛いは吐き気は止まらないは(というか実際吐いた)で散々な上に、訳がわからない状況下に置かれているのにこれをどうにかしないと自分が死ぬ事だけは分かっているのだ。

今思い出しても泣けてくる。

なんだその崖っぷち。



兎も角、大量の空気を飲み込む感じでなんとか魔力を己の身体に収めて私はブッ倒れた。

その後は昏昏と七日間も眠っていたらしい。


漸く私が目覚めた時は、真っ赤に目を腫らした美幼女にぎゅうっと抱きつかれた。

眠っている間に現世の私と前世の私は記憶を整理して融合していたので、美幼女が己の母である事は分かっていたのだが、驚いたと同時に引いた。


おいおい父よ。ロリコンか?


まぁ、実際はそういう種族というだけで母は結構な御歳だった。

というか父よりも年上らしい。

思わず内心で合法ロリ! と叫んでしまった私は悪くないと思う。うん。





まあその後なんやかんやありつつ、無事十歳になった。

そこに舞い込んできたのが問題の話だ。


【蒼天風翔】の舞台であった都市型学園【混沌恋狂カオスラヴクレイジー】への入学。


皆様には分かってもらえるだろう。

学園の名前を聞いた時の私の反応を。

その後は周囲の視線と腹筋が痛かった。

だが冷静になった時には頭が痛かった。

何が恋狂いだ。現実で学園にそんな名前付ける奴こそ頭が狂ってる。

まぁ、お陰でこの世界が【蒼天風翔】の世界なんだと気付けたが、それが良かったかどうかは分からない。

主人公が入学する時期かどうかも知らんし、そもそも主人公がいるのかどうかも知らん。

だが、危険は犯すべきではないだろう。

というかこれ以上の厄介事はいらん。





という事で、私は今から身体を鍛えます!





はい、ついてこれなかったそこのアナタ!

よく思い出して欲しい。

国内屈指の学園とは言え【混沌恋狂(CLC)】は国内最高峰の学校ではない。

そして何より術系統学園なのだ。

そう、術系統! 大事なので二回言いましたよ!

つまり術系統一本に絞らなければいい。

一番良いのは国内最高峰の学校【情熱魔法騎士パッションマジックナイト】に入る事だ。

……ぶふっ。ゴホンッ。

あー、最高峰だけあって天才非凡の人間が集まるセキュリティーのしっかりした学校だ。名前はどうかと思うが。

まぁ情報が漏れる事はないし、何より、学校としての格式が【CLC】より高いので、もしもの時に無理難題や厄介事を突っぱねられる。

それだけに入学基準が厳しすぎるのだが。



私の場合、魔力値が異様に高いがこれだけだと基本的に【CLC】への入学を勧められる。

実際にもう勧められたんだが。

それ以上の異常というか非凡さも持ってはいるが正直公にしたくない。

公にしたら今度は監禁とか幽閉とか戦争とか暗殺とか物騒な言葉がまとわりつく未来しか見えなくなる。

というわけで、魔力の使い方を魔法に活かすのではなく身体能力に活かせばいい。

何故なら【情熱魔法騎士(PMK)】の名から分かるように、この学校は特別枠以外の一般入学生には魔法と武術の両立が求められる。

というよりも、どちらかというと武力の方に重きを置かれている。

武に優れていれば魔法を一切使えなくても入れるほどだ。

なのに魔法に優れているだけでは入れない。そういう人間は【CLC】に行く。

だからこそ私も【CLC】への入学を勧められた。




そんな訳で私は死に物狂いで鍛えた。

知り合いの騎士にお願いしてコーチをしてもらい特訓を重ねる日々。


結果、二年後に見事【PMK】へと入学を果たした。

平均的な入学時の年齢は十三~十五歳。

一年早いくらいなら特別目立つ事もない。






――――と思っていた私が馬鹿だった。






ただでさえ少ない女子入学生の上に母親似の童顔が災いした。

母を見ていたせいで自覚がなかったのだが、私の外見はどうやら八歳くらいにしか見えないらしい。

それより幼く見える母は………………恐っ。


ゴホンッ。

兎も角、ちっちゃい女の子が何故にここに? という視線があちこちから。

しかも巡り合わせが最凶に悪かった。

なんだこの目立つ天才非凡者たちは。

周囲を取り囲むな! 目立つだろう!

というかお前ら厄介事の塊だろうがあっち行け!!

爽やかイケメンとか地味ながら最強の男とかお色気ムンムン最凶男とかそんなんいらないんだよ!!

あ、筋肉ムキムキはいるからどっか行かないで!

脳筋じゃない所がまた素敵だよね!

戦闘では地味男に負けるけど。

でもその後にショボーンとしてるのは可愛いと思う! むふ。




まぁ、何故そんな奴らに囲まれているかと言うと。

奇人変人ながらも基本的に自分たちの力に絶対の自信を持っているという点で共通していた奴らは。

存在が気に食わない、どんな能力保持者か興味津々、ただのチョッカイ、研究バカ、戦闘狂など、要するに私が気になったらしい。

何の因果か最初の授業の戦闘訓練で奴らと同じ班になってしまい、いつの間にか総当たり戦になって一人残して惨敗してやった。もちろん故意に。

だが今思うとあれはまずかった。

一番勝ってはいけない人間に勝ってしまったのだ。

後で負けてもあまり意味がなかった。というか逆に興味を引いてしまった。

でもあれはマグレなんだよ!

一人目じゃなければ負けてたんだって!

ってお前ら撫でるなつつくな私の話を聞けーーーーー!!!!!






あー、そんなこんなで地味男(最強)に勝ってしまったものだから奴らに気に入られた。

地味男も何で私以外の全員に勝つかな。

誰か一人にでも負けてればこんな事にならなかった(かもしれない)のにーー!!

そもそもお前ら単純過ぎない?

お前頭いいんでしょう?

何その自分より強い奴は認めるって。

その割にはなんだかペットかマスコット扱いされてる気がするんだけど。

というか、近寄ってくる人間を威嚇しないでよ!

お前らが威嚇するせいで女の子の友達が出来ないじゃない!!

ちょっと待ってそこの女子!!

あのさ――――って何で私が話しかけただけで青褪めるの?!

近寄ったら白くなるの?!

ね、ねぇ、私ってそんなに怖いの?!?!

泣きながらごめんなさいって叫んで逃げられたんだけどなんで?!?!

流石の私もちょっと半泣きだ。

うう、悲しくなんか……。

泣いてなんかないもん…………!

気になんかしてないもん………………!!








グスグス。

いつの間にか寝てた。

久々に泣いたから疲れたみたいだ。

うう、目が腫れぼったい。

しかも奴らに慰められてしまった。

何かぬくいと思ったら地味男に抱き込まれてるし。

しかも団子のようにぎゅうぎゅうと固まって他の奴らも寝てるし。

なんだかんだ言って奴らのする事を許してしまうのはこういう所があるからだ。

だから嫌いになれない。






……


…………


………………って!!


何か恥ずかしい思考回路になってた!!


こんなの私のキャラじゃないし!!








まぁ、でもこんな感じではあるがこの世界で初めて出来た友で。



同年代の人間と過ごしたのも初めてだし、騒がしいけど楽しい日々だ。






こんな日々がずっと続くなら、それも悪くはないと思う。
















………………主人公どこ行ったかって?



そんなん知らんわ!!





 



 

「私」は溺愛されてます。主に男子から。

でもそれは、クラスに一人いるちっちゃくて不器用だけど一生懸命頑張ってる子を見ると微笑ましい、とか頭なでなでしてあげたくなる感じの愛です。

庇護欲、父性愛、可愛いもの好き、慈愛に目覚める男子たち。

そして、愛でる対象を女子に取られないように威嚇。笑。

女子は女子で虎視眈々と可愛いものを愛でるための奪還?作戦を練っていたり。

母性VS父性。果たしてどっちが勝つのか?

乞うご期待!(←嘘)



完全にゲーム関係なくなりました。アレ?

名前が出ないのは仕様です。

決して名前決めてないからではないですよ~

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― 新着の感想 ―
[良い点] ちっちゃい主人公の空回り具合が好きです。母性vs父性が今後どうなっていくのか見逃せませんね!
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