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他の人と違う

「うう、お恥ずかしいところを見せました」


 突っ走るセシルをなんとか止めて、ノエルは街の人たちを一休みしていた。

 どんなに大丈夫だ、元気だとセシルに訴えても一応休めと何度も念押しされてしまう。妥協案として、今日は外に出ず、教会内で安静にすることを約束させられた。


「ノエル様のことになると牧師様って過保護気味よね」

「ね、ノエル様は子供じゃないのにね」

「いえ、セシルは私のことを心配してくれているだけです」


 最初出会ったときのこともあるのだろう。力尽きて倒れていた私を見たからもうあんなふうに苦しんでほしくないんだと思う。セシルは優しいから。

 セシルの助けになりたくて家事を手伝ったこともあったけれど、包丁で指を切りかけるし、洗濯は自分が泡だらけになるし、とたくさんミスをしてしまった。

 そのせいで私はセシルからみればお世話しなければいけない対象になってしまった。


「それにしてもノエル様は初ね」

「本当に!かわいいすぎるわ!」

「初ですか?何に対してですか?」


 ポカンとしていると、街の人たちは驚く。


「牧師様のことよ!もしかして本人さえ気づいていないの?」


 セシルのこと?

 心当たりがないわけではない。セシルが近くにいると顔を見れないくらい恥ずかしい気持ちになること。でも遠くにいると寂しくなること。


「セシルが遠くにいたら寂しくなったりしますけど、でもこれはセシルとずっと一緒にいてそして助けてもらった安心できる人だからじゃないんですか?」

「う、うん?そうかもしれませんね?」

「つまり恋じゃないんですね?」

「恋、ですか?」


 恋、と心のかなで呟いてみる。

 セシルは確かに特別な人だけれど、恋なのだろうか。


「牧師様といたらドキドキしたり、もっと一緒にいたいとか仲良くなりたいとか思わないんですか?」

「ドキドキ?はないですけど、恥ずかしくなります。もっと一緒にいたいとは思います」

「他の男の人の近くにいても牧師様と同じことが起こります?」


 起こらないと思う。というかセシル以外の男性の近くにはあまりいかない。だってセシルがいればいいから。

 私にとってセシルは他の人と違う存在になりつつあるのだろうか……?


 

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