ラブコメか!? byノエル様ファンクラブ
ノエルが地上にやってきてからしばらく経った。
ノエルはすぐに街に溶け込み、教会の看板娘として知らない人はいない街の人気者になってしまった。本人が嬉しそうなのでいいが、街の人たちがノエルのことを自分の娘のように甘やかしている。
「ノエル様!こちらをどうぞ!」
「わー、これはなんですか?」
「ノエル様、クッキーも見たことないの?とっても美味しんですよ、ぜひ食べてみてください!」
ノエルはもらったクッキーをまじまじと見つめ、かわいらしく包装された袋からクッキーを一枚取り出し一口かじる。
その瞬間、ぱーっとノエルが眩い笑顔になる。
「美味しいです!」
「そうでしょう!ふふ、ノエル様は本当に天使みたいね」
まあ本物の天使だし、とセシルは思いながら楽しそうに話すノエルを見守る。
「ノエル様!こちらのお菓子も!」
「ちょっとあなた私のお菓子が先よ!」
「いえ、私の!」
穏やかな雰囲気が一変してノエルの取り合いが始まってしまった。ノエルはいつも通りセシルに助けを求めるように目線を向ける。これが教会の日常になりつつあることにセシルは苦笑いしながら仕事を中断し、仲介に入る。
「こら、ノエル様が困っているでしょう」
「で、でも牧師様」
「でもじゃないでしょう。ノエル様は人間なんだからそんなに一気にもらっても食べれませんよ」
ね、とノエル様を見ると、セシルから顔をそらしながらコクコクと頷いている。
最近のノエルはどこかおかしい。セシルに助けを求めるのに、近づくと顔を見せようとしないのだ。
「それなら順番を決めましょうか」
「ええ、私たちノエル様のファンクラブはみんな仲間ですもの、貢ぐのは義務ですからね」
ノエルのファンクラブがあるのは初耳だが、女性陣が話し合いを始めてしまった。小さくため息をついて、ノエルをもう一度見た。
やはり顔を見せようとしない。
「ノエル様」
「は、はい!」
セシルが声をかけただけで、ノエルは飛び上がる。ノエルは耳を真っ赤にさせて少し汗もかいているみたいだ。
どこか体調が悪いのかもとノエルにもう一度問いかける。
「体調が悪いのですか?無理しないでくださいね?」
「い、いいえ!違います!すこぶる元気です!」
「ならなぜ……」
もう一度聞こうとして、セシルは鋭い視線に気付いた。
女性陣はいつのまにか話し合いをやめ、こちらをじっと見ていた。セシルに対して、なにかを訴えているみたいだ。
「や、やっぱり熱があるのでは!?」
こちらを向かないノエルを無理やり自分の方に向かせる。ノエルは茹でダコになっている。
「失礼します」
ノエルのおでこに手を当てる。温かい。いや、正常の体温の範囲ではないことがすぐわかるぐらいには熱い。
「やはり熱があります。ノエル様、今すぐ休みましょう!」
「え、ち、違います!」
「何が違うんですか!」
モニョモニョ何かを言っているノエルをセシルは抱き上げた。
「え、ええ!」
「すみません。ベットにいくまでに倒れては大変なので」
ノエルはその場で溶けてしまった。




