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白い羽

   ◇◇◇


「あなた、一体何なの?」


 教会に入った途端セシリアは長椅子に堂々と座り、ノエルを睨んだ。


「あのセシルが誰かと一緒に過ごすことを許すわけ無い!しかも女性なんて」

「え、えっと」


 あまりの態度の変わりようにノエルはこれは本当にセシリアなのだろうかと疑問に思う。でもどこから見ても先程まで輝きを放っていた聖女のセシリアで間違いない。


「一体セシルをどうやって騙したの?」

「騙してなんかいません!」

「セレスティア様に誓える?」

「もちろんです!」


 それでも信じてもらえないのか、セシリアはノエルを舐めるように見る。


「セシルは昔のことがあるから人と関わりを持ちたがらないの。幼馴染の私だって、セシルのお兄さんだって牧師館には入れたがらないんだから。だからあなたなんかがセシルと一緒にいられるわけない!」

「セシルってお兄様がいたんですか?」

「なに、そんなことも知らなかったの?」


 セシリアの刺々しい言葉にノエルはうっと顔をしかめる。

 かれこれ半年以上一緒に過ごしてきていたのにセシルの家族のことも知らないなんて。自分が嫌になる。


「私はセシルのことが好きなの」


 え、とセシリアを見る。

 顔を真っ赤に染め、セシリアはノエルをまっすぐに見つめた。


「好きな人に傷ついてほしくない。何も知らないあなたにセシルのそばにいる資格なんて無い!」


 セシリアの言葉がノエルの心に突き刺さる。


 確かに自分は何も知らない。踏み込んでいいのかわからなかったからセシルに家族のことも聞けなかった。いつ自分の記憶が蘇るのかもわからない。そんなあやふやな状態でセシルのことに踏み込みたくなかった。でも今の私はセシルのことが特別で。

 

 きっと記憶が蘇ったとしてもここにい続けたいと願うと思う。


「私もセシルのことが好きです」


 そう一言いうと背中が少し軽くなった気がした。

 はらりと足元に何かが舞う。


「……羽根?いったいどこから」

「え」


 ノエルは足元に視線を向ける。

 そこには純白に輝く一つの羽があった。自分の羽だ。するともう一つ白い羽根が舞い落ちてくる。


「ちょっと待って。今あなたから羽が出てこなかった?」

「え、そ、そんなことー」


 やばい。冷や汗が止まらない。

 じとーとセシリアに見られ、もう駄目だと腹をくくった。


「内緒にしてくださいね」


 ベールをそっと頭から取る。

 背中に現れた大きな羽にセシリアはあんぐり口を開ける。


「あ、あなた、天使様!?」



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