2.
「といわけ、あいつを連れてきたのはアランだったけ?」
あの後、男のやり取りを経て帰ってもらい男を紹介してきたアランに話を聞くことにした。
「悪かった。断りきれなくてね。」
アランは40〜50代ぐらいの中年だ。
年相応を容貌をしており、特に威厳があるわけでもないその辺いいるような男だ。
「どんな奴なのか聞いても。」
「実は私もどんな人か聞いてないんだ。」
「ハァ?」
アランは肩をすくめた。
「私にも勤め人なので柵がどうしてもあってしまってね。君にどうしても会いたいというから紹介してくれと上司に頼まれた。」
内心ため息をはいた。
アランの上司は、常連にはなれなかったのだ。
問題のある人物ではないが、どうしても他の常連が警戒したのだ。
アランが常連になっているため、上司もダメ元で常連になれるかやってみただけだろう。
パワーバランスが難しいのだ。
とはいえ人の心わからない。
ちょっとした、意趣返しをされたのかもしれない。
「上司からどのような身分かは聞いてなかったの?」
「やんごとなき身分しか聞いてないかな。上司でも、口に出したら立場的にも物理的にもクビがトブのかも。」
「上司はいっそチキンレースしてくれないかな。どこまで行けばトブかどうか?」
「負けレースには参加しないタイプだから。」
嫌味をとりあえず言っておいた。
「で、宝はどんなものかわかっているの?」
「聞いてみたらしいだけど、答えてくれなかったんだって。」
宝とえば財宝を思い浮かべるものだが、そんな単純なものではないだろう。
財宝だったら、答えてくれるだろうし。
「やっぱり、常連たちに頼らないといけないか・・・。」
「そうだねぇ。」
「どっかの中年の仕事の始末をつけなきゃいけなのか。。」
「そうだねぇ。」
「この仕事やめようかな。」
「やめても良いけど、後任者を見つけてからやめてくれ。いや、育ててからになるのかな。」
確かに。
「お宝って響きがいいよね~。」
ソフィアが声のほうに目を向けた。
ソフィアとアランだけではなくほかにも人はいたのだ。
そこに、数人の男女がいた。
この男女は、魔女と呼ばれている人たちだ。
魔女たちは、ひっそりと市井まぎれ一般の人たちと同じように生活しているのだ。
魔女と他の人たちを分けるものは、前世の記憶があるかどうか。
男女関係なく魔女と呼ばれる。
子どもの時に、前世の記憶がゆっくりと思い出すのだ。
魔女と自覚させるように。
そこから特殊な力が目覚めるのだが、とっても弱いものだ。
相手の心を読む魔女だと相手に触り短時間しか読み取れない上、相手の精神力が強いと読み取れない。
手を触らずに物を浮くことができる魔女だと短い距離しか動かせないなど。
力が弱いからこそ、市井に紛れて暮らしていけるのだが。
この占いの館はそんな魔女たちの情報交換の場であり、たまり場でもあるのだ。
来ている客が全員魔女ではなく、一般の人たちがただ占いを楽しむためにきたりもするのだが。
「宝は見つかりそう?」
ソフィアは周りにいる魔女たちに尋ねた。
「さあ?」
年若い魔女が肩をすくめながら答えた。
「良い男だったわね。」
妙齢の魔女が色気のある声でいった。
「情報は集めてみるが期限は1週間か。おそらく問題ないかとは思うがこちらとしては3日はほしい。」
男の魔女が考えながら言った。
「とりあえず、探ってみることとしよう。アレンの上司は答えないだろうし、アレン自身は役に立たない。」
占いの館では重鎮である老齢の魔女がアレンを睨みながら答えた。
いいように使われるのが気に食わないのだろう。
「申し訳ない。」
笑顔で答えるアレン。
「3日後の昼ごろにまた連絡してもらえる。依頼主にはその次の日に伝える予定だから。」
男の魔女はうなずいた。
市井や権力者などに潜り込み、情報を探り出す。
婆が魔女たちの管理のようなものをし、情報をまとめる。
今の自分がその役割だ
魔女たちは特殊な力と言っても大したものではない。
大勢に攻められれば一瞬で吹き飛ばされるような力だ。
そのため迫害され、隠れ住んだり人々に紛れて隠れて住むようになった。
そのなかで、たまに大きな力を持って生まれてくる魔女もいる。
遠見の力のイメージが魔女にあるのは、大きな力をもった魔女にたまたまその力があったからだろう。
魔女たちの団結力はたかく助け合い生き残ってきた。
この占いの館はそのためであり、時には小さな力をつかって集めた情報を権力者に流したりもした。
そうして、生き残ってきたのだ。
ソフィアは魔女がー時には一般の客もー訪れて話してくれる内容が好きだった。
自分には経験のない話を聞けるのだから。
それが、市井や権力者達の不倫や魔女たちの愚痴だろうとも。
「アレン。とりあえず4日後にここにまた来るよう伝えておいてくれる。」
「わかった。」
依頼をしてから4日後に男が来ることになった。




