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「でも私、いつ告白しようか悩んでいるのよね。やっぱりきっかけがないと……。」
話の流れで、私は新たな悩みを打ち明けた。
告白するとは確かに決めた。
決めたけれど、じゃあ今日会ったらすぐ告るのかと言ったら、それは無理だった。臆病なので、何か背中を押してくれるきっかけがほしかったのだ。
「んー?じゃーさー、誕生日とかいんじゃね?ちょうど来週っしょ、友香の?別に相手にゃかんけーないけど、ファイト湧いてくるじゃんか。自分の誕生日って。」
「そっか、そうね……。」
誕生日。それは確かに、悪くないアイディアに思えた。
ちょうど一週間後、来週の月曜日は、私の十六才の誕生日だ。自己満足の告白には、一番ふさわしい日取りな気がした。
「お、あたしのアイディア採用?んじゃ、あたしゃどうしよっかなー。やっぱ初勝利んときかなー?」
「うん……あ、ねえ。そろそろ、あんたの意中のお相手がやってくる頃じゃない?」
「うぇっ、相手が誰かまでバレてんの?!すげー、さすがは初代エスパーだね。」
のけ反るようにして、心春が驚いた。初勝利とか、わかりやすいワードを自分で出してたくせに。
心春は真冬さんが好きだ。そう認識した上で彼女と接すると、確かにいろいろバレバレだった。
たぶんこれまで私は、無意識のうちに心にふたをしていたのだろう。
でも今なら、よくわかる。彼女の恋を応援している今なら。
「頑張りなさいよ、心春。あんたの告白がうまくいったら、こっちもいろいろ都合がいいんだから。」
「ふーん?なんかわからんけど、まー頑張るよ。」
片想い相手の好きな人がフリー、というのはやっぱり怖い。英子は「真冬さんには告白しない」って言っていたけど、先のことなんてわからないし。なので、心春にはぜひとも真冬さんを落としてもらいたい。根が卑怯な私は、そんなずるい計算をこっそりしていた。
そんな折、ちょっと行った先のT字路の角から、真冬さんが姿を現した。こちらを見て、手をひらひらと上品に振った。
心春が、よしっと小声で気合を入れた。
「ほんじゃーちょっくら、軽快な面白トークでハートをわしづかみにしますかね、っと。おーい、真冬ー!」
心春が大きく手を振って、小走りで彼女の方へ駆けていった。その小学生みたいな行動に、真冬さんが微笑した。
「うふふっ。おはよう、心春。朝から元気いっぱいなのね?」
「うん実はさー、今朝すげー夢見ちゃってさー。へその穴からうどんがニュルニュル」
「あんたすげーわね?!」
と叫んだのは、真冬さんじゃなくて私だ。
好きな子相手にいかれた話題ぶっこもうとする親友に、私は度肝を抜かれた。
となるとひょっとしたら、実は私も、一ミリくらいは可能性あったのかもしれない。今更別にいいけれど。




