表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/78

69

 月曜日の朝。

 私はいつものように、心春の家の前で彼女を待った。

 いつもの時間になって、いつもと違う髪の心春がやってきた。

「はよーっす。」

「おはよう、心春。」

「いやーそんなでもないって、照れちゃうなー!」

「早い早い早い。謙遜がはえーわよ。まだ何も言ってないわよ。」

「おっといけねー。ほんじゃー友香、よろしくどーぞ。」

「……まあ、いいけど。ねえ心春、その新しい髪型最高じゃない。とても素敵よ。」

「いやーそんなでもないって、照れちゃうなー!」

「おんなじテンションで二回やれるって、あんたすごくない?」

 いつも通りの無邪気な会話。

 いつも通りののどかな朝。

 私と心春は、きっとずっとこうなのだろう。

 二人の関係は、いつまでも変わらない。気のおけない一番の仲良し。これまでも、これからも。ずっと。

 それでいいんだと、私は思った。それでいいんだと思えるようになった。

「あ、そういや今日さー、へその穴からうどんがニュルニュル出てくるエロい夢見たんよ。それも讃岐うどん。なんなんだよなー。あたしゃ根っからのそば派だってーの。」

「私ちょっと今、心の中でいいこと言ってるんだから静かにしてくれない?」

「知らんがな。」

 やっぱり心春は私に一ミリも恋心を抱いていない。

 そのことを、朝一番からつくづく思い知らされた。好きな相手に、こんなバカなこと話せる女子高生はいないだろう。……まあ、心春ならひょっとして、って部分はあるけど。

 英子のおかげで、さすがにもうショックじゃない。

 だけどこんな感じの子でも、こんな心春でも、誰かに恋したりするんだな。そう考えると、ちょっと不思議な気持ちになった。

 土曜に見た窓ガラス越しの光景、顔を赤らめたりする心春の姿が、勘違いか何かのような気がしてきた。

 だから、確かめたくなった。

「心春。」

「あーでも、うどんの話してたら、なんかうどん食いたくなってきたなー。」

「心春ってば。」

「んー?」

「ちょっと聞きたいんだけど、あんた最近、好きな男の子できた?」

「はぁん?ねーですけど?急に何さ。」

「あ、そう。」

「そらそーよ。ん、あくび出るわ。ふあーあーあ……。」

「でも、好きな女の子はできたでしょ。」

「ぁぶっ!」

 あくび途中の心春が、図星を突かれてむせた。

「な、なぜそれを……。さては心を読んだ?マジシャン?」

「エスパーよ、エスパー。心を読むのはエスパー。マジシャンはタネも仕掛けもあるから。」

「そっか、友香はエスパーだったんか……。こりゃまったく、意外な展開だね。」

「いや、私はエスパーじゃなくて、そういうことじゃなくて……ああもう、話が進まない!」

 恋バナを始めようとしているのに、なぜエスパーの話になるのか。どうにも解せなかった。

 あと、うっかりスルーしちゃったけど、あれは決してうどんの話じゃない。アホな夢の話だ。うどんに失礼だよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ