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「……?」
彼女の視線の先をさぐる。
(あ、なるほど。)
納得した。
視線の先に、真冬さんがいたのだ。
窓ガラス越しに、ほとんど目の前と言っていい距離で。
真冬さんの方からは、私達は見えてないようだった。ガラスに店のロゴが大きく描かれているので、外から中は見えにくいのだろう。こちらに気付かず、横にいる友達とおしゃべりしている。
真冬さんも、偶然この町に来ていたようだ。
と言っても、よく考えたら、彼女が今日ここにいるのは当たり前だ。
今日は、真冬さんが心春を美容院に連れていく日だ。自分のお気に入りの美容院に。そしてこの町は、この辺りで一番の繁華街。おしゃれな彼女いきつけの店があるのは、ごく自然なことだ。
ということはじゃあ、心春も一緒にいるのか。って、そうか、横にいる友達が心春……。
と思ったけど、真冬さんの隣にいるのは、全然知らない人だった。空色のワンピースを着た、ショートボブの美少女だった。
おかしいわね。お店を紹介しただけで、別行動したのかしら。
そう思った次の瞬間、私は気付いた。あっと声が出そうになった。
真冬さんの隣の、清涼感あふれるショートボブの美少女。
彼女こそが、髪を切った心春だということに。
ぼさぼさ髪を失った心春はもう、残念系隠れ美少女ではなくなっていた。
健康美に満ちた、爽やか美少女になっていた。
妖艶な真冬さんとは好対照で、二人並ぶと、すぐにでも物語が始まりそうな雰囲気があった。
でも、それよりも。そんなことよりも、私が気になっていることがあった。
「心春、あんな服持ってたんだ……。」
思わず口からこぼれた。
その自分の声が、震えていた。
胸が苦しい。嫌な予感がする。きっと私は今、知りたくない現実を半ば突きつけられている。
これ以上窓の外を見るなと、心の声がした。
でも私は、心春から目をそらすことができなかった。




