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 英子は私に希望をくれた。

 ネガティブな固定観念を打ち砕いてくれた。

 性欲むき出しにして迫ってくる女友達を、嫌がらない女の子もいる。そう教えてくれた。

 私は今まで、一人で勝手に絶望していただけじゃないのか。勇気を出して一歩踏み出せば、道は開けるんじゃないか。そんな希望をくれたのだ。

 私はずっと、心春に告白しちゃだめだと思っていた。する資格なんてないし、だいいち成功するわけがない。ずっとそう信じ込んでいた。

 でも、違うかもしれない。

 隠してきた私の汚い部分を、心春も許容してくれるかもしれない。私の好意を受け入れてくれるかもしれない。そう思ったのだ。

 そんな現実はあり得ない。都合のいい妄想だ。と、とがめる心の声もする。だけど、確かめてみなくちゃわからない。

 勝手に自己完結して、悲劇のヒロインぶるのはやめにしよう。そんな気持ちが心の中に芽生えたのだ。

 今度は私が、自分の殻を破る番だ。


 だから、心春に告白しようと決意した。


 と言っても、決意してすぐ行動できるほど私は勇敢じゃない。

 決意はしたけど、本当に告白するのはいったん保留にしよう。とりあえず様子を見よう。気持ちがそんなふうに流れていってしまうのは、致し方のないところだった。

 でも自己弁護するわけじゃないけれど、懸命な判断じゃないだろうか。

 だって英子が私をうんと甘やかしてくれたのは、きっと「自分も真冬さんに性欲を抱いている」という前提があったからだ。

 普通の女の子だったら、友達が自分を見てムラムラしていると知ったら、びっくりするだろう。たぶん。

 その「普通」に、自称平凡な女の子の心春が該当するかどうか。その見極めをするべきなのだ、私は。無策で突撃して無残に玉砕じゃ、誰も幸せにならない。様子見こそが最善手なのだ。

 そして好都合なことに、様子見にうってつけのイベントが、隣町でおこなわれていた。同性愛をテーマにした映画が、映画館でやっているのだ。

 次の土曜が、ちょうど上映期間の最終日。

 もう前売り券は購入してある。まずはこれに心春を誘って、リアクションをうかがおう。最初の様子見イベントにしよう。

 そんなことを考えていた。

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