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 周野英子。

 もう少しクール&ワイルドなイメージというか、不貞腐れてるかオラついてるかどっちかな人という印象を持っていたけど、実は違うのかもしれない。

 単に、人見知りがすごいってだけなのかもしれない。

 ひょっとして、打ち解けたらけっこうおしゃべりになるタイプなのでは。すーっごいハッキリ言った周野を見て、私はそんな予感がした。そういう彼女を、ちょっと見てみたくもあった。

「うん、じゃあ、なろっか。友達。」

 率直に私は答えた。

 正直、彼女の言ったことは私が昨日思ったことだった。

 立場が似た者同士、もっと話せたりしないかな、と期待していたのだ。私も。まさかこんな、ど直球アプローチを受けるとは予想してなかったけれど。

「そ、そうか?よしっ……。」

 周野は握りこぶしを作り、小さく喝采を上げた。

「じゃあよ、さっそく相談なんだけど、いいか?」

「いや、『さっそく』過ぎない?別にいいけど……。」

 周野がずいっと前のめりになってきたので、その分私は後ろに引いた。

「でも申し訳ないけど、私に恋愛相談なんてしても無駄だと思う。成功体験が一回もないわけだし。」

「恋愛相談じゃねーし。別にあたしは、あの人と恋人になりてーだとか、んな身の程知らずなこと思っちゃいねーよ。」

「あ、そうなの?なんだ、それも私と一緒かぁ……。」

 思わずつぶやくと、周野は一瞬真顔になった。

 それから、寂しそうに苦笑した。

「ま、そうなんだよ。高望みしてもしょーがねーっつーかさ……。だからあたしが相談したいのは、もっと現実的なやつ。せめてお前とおんなじくらいの立ち位置になりてーって、そういうことだよ。姫川とお前くらいのよ。」

「私の、立ち位置……?」

「お前さ、よく姫川が試合やってるとき、わーわー言ってんじゃん。」

「は?……ああ、部活の話ね?」

 周野の言ったことに、やや遅れてピンときた。

 試合中のわーわー。部活初日に、彼女が「よくあんな真似できんな」とか言ったやつだ。

 ジグソーバトルをする心春の横で「そんな!」とか「いける!」とか言う係。盛り上げ役。ガヤ。

 私はあれを初日だけじゃなく、心春の練習試合の場ではしょっちゅうやっていたのだ。特に深い知識がなくてもできるのが、ガヤのいいところだった。

「あれさ……。その、混ざりてーなーって、あたしも……。」

 照れくさそうに頭をわしわし掻きながら、周野が言った。

 混ざりたい?真冬さんが試合しているとき、ガヤでわーわー言いたい。そういうことか。

「あ、そうなんだ。でも前、小馬鹿にするようなこと言ってなかったっけ。あれをやってる私のこと。」

 ちょっと意地悪したくてそう言うと、周野は露骨にシュンとなった。

「あれはやっかみだよ、あたしノリ悪くて、できねーからよ……。『よくあんな真似できんな』っての、すげーなって賞賛も込みのセリフだったんだ。ほんとは、楽しそうでいいな、うらやましいって気持ちも半分あったんだよ。わ、悪かったよ、あんときゃあさ……。」

「そ、そんなしょげ返らなくてもいいわよ。別に気にしてないし。心配しなくたって、ちゃんと相談に乗るわよ。」

「ほ、ほんとか。ありがとなっ。」

 取りなすように言うと、周野はパッと顔を輝かせた。

 思ってたより、ずっとシンプルな人なのかもしれない。これまでのローテンションな雰囲気とは違った側面を見せる周野に対し、私はそんなことを思った。いっつもむすーっとしているから、もうちょい偏屈なタイプかなと勝手にイメージしていたのだ。

 このわずか数分で、どんどん彼女に対する印象が変わっていった。

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