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 下校時刻になった。

 部室に鍵をかけ、ジグソー部そろって家路についた。こうして全員で行動すると、さすがに一体感があった。と言っても、八人一緒なのは校門までのわずかな距離だ。

 昇降口を出ると、なっちゃん先輩の姿を目にした多数の女子が、「八王子せんぱーい!」と黄色い声を上げた。部室の外では相変わらずの人気だった。先輩は、笑顔で手を振ってそれに応えた。

「サンキューサンキュー子猫ちゃん達!グッパーイ!グッパーイ!」

「なんか雑じゃね?対応が。テキトー感すごいっつーか。王子様キャラ、もうしんどくなってるんじゃないすか?」

「やめなさいよ心春。」

「ぐ……。」

「心春も戸成さんも、大目に見てあげて。一年以上こんなことを続けていては、姉さんといえどもネタは尽きるのよ。」

「うぐぐ……。」

「もーみんな、上級生をいじめちゃいけませーん!大丈夫よなっちゃーん?セシル様のモノマネ、とーってもかっこよかったわよー?」

「えっ、あっ、そ、そう……?うふっ!いやぁマネっていうか、単にソウル的なものが一緒だから似てくるっていうかサー?ぼくがセシル様でセシル様がぼくで、みたいな?くふ、ぐふふ……おい、姫川心春。なぜぼくの顔をカバンで隠す。」

「や、ほら。ぐふぐふ笑ってるだらしない顔を、ファンにお見せしちゃなんねーやーって。」

「ぐふぐふ笑ってなんかない!」

「笑ってたよーなっちゃん先輩!幸せそーに!」

「ねー!見てるこっちも幸せになっちゃう!」

「いい話みたいになっちゃったよ。」

 みんなでたわいもないことを話しながら歩いた。

 さすがにさんざん部活をやったあとだと、話題はパズル以外のことになった。それが嬉しかった。

 目立つ人たちの輪の中に混ざっていると、自分もなんだか少し特別な存在になった気がした。

 でもそれが錯覚だっていうことは、誰かに言われなくたって知っていた。


 不意に、強い風が吹いた。

 桜の枝が揺れて、緋色の花びらが舞った。

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