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「別に。このままじゃいつもの場所にいられなくなる。そう気付いただけ。今の私のままじゃだめだって。」

 たいして仲良くないので、私は雑に答えた。この言い方じゃ、意味が伝わらないかもしれない。でも別にいい。そう思った。

「え、ああ……。前言ってた、大切な友達のそばにいるために、ってやつかよ。下手くそなまんまじゃ姫川に相手にされなくなる、ってことか?よくやるな。」

 意外にも、一発で意味が通じたようだ。青臭いセリフだったから、印象に残っていたのかもしれない。

「どうせ『涙ぐましい努力してんな』とか思って、ばかにしているんでしょ。」

「思ってねーし。よくやるなっての、そのまんまの意味だよ。頑張ってるなって感心してんだよ。」

「よしてよ、そういうの。」

 茶化されている。そう思い、私は再び本に目を落とした。

「だから、マジだっての。……ぶっちゃけ、わかるしよ。気持ち。」

 周野英子が、声のトーンを落とした。

 どうやら、本気で言っているらしかった。

 そういえばそうだ。彼女もまた、親分の八王子真冬と一緒にいたいから、この退屈な時間に耐えているのだ。私と同じように。

「……じゃ、もう一冊あるけど、読む?」

 教習本を一冊、周野英子に向かって差し出した。

 彼女は素直にそれを受け取り、黙って読み始めた。

 ジグソー劣等生が二人そろって、興味のない本を熱心に読みふけった。

 しばらくすると、何やら視線を感じた。

 外野姉妹。

 彼女達が、こちらを見てこそこそ内緒話をしていた。

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