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「なにあいつ、最悪。最悪兄妹だよマジで。キザにーちゃんと意地悪お嬢ちゃんかよ。すっげー不愉快。最初見惚れちゃった自分が恥ずかしーわ。あーもー、朝っぱらからなんだってのさ。」
自分の席に移動しながら、心春がぶつくさ言った。
「ご愁傷様。でもね、心春。あの人がいなかったら、あんたわりと大変なことになってたと思うわよ。」
「へ?」
私は、心春が来る前の教室の様子を伝えた。
それと、おそらくは八王子真冬が、助け舟を出すためにからんできたことも。
「あ、そうなん……?どうしようあたし、性悪女とか言っちゃったよ……。」
「まあ、実際のところはわからないけどね。あくまで私の推測。」
「うん……。あーでも、どのみち助かったのは事実だしなー。言わなきゃよかったーあんなこと。」
やれやれ、と私は思った。
たいした悪態でもないし、八王子真冬が感じ悪かったのは確かだし、気に病む必要もないでしょ。そう私なんかは思うのだけど、彼女は違った。基本的に悪口を好まない性格なのだ。そこが面倒くさくもあり、でもそんなところが好きだった。
「あーでも、今更謝りにいくのもちょっと癪だなー。どうしよ。」
「別に、どうもしなくていいんじゃない。あっちもたいして気にしていないみたいだったし。」
「んん……。しゃーない。謝る代わりに、ジグソー部に入部してみっかなー。お嬢ちゃんのご希望通りにさ?」
「えっ。」
意外な展開に、私はとまどった。
「本気で言ってる?あれ単に、社交辞令みたいなやつなんじゃないの?」
「かもしんないけど。まーどのみち、高校ではなんか部活やろうって思ってたしねー。かといって、特にやりたいのあったわけじゃないし。ちょうどいいよ。きっとこれも縁だよ、縁。大事にせんとね、そーゆーの。」
「そう……。」
私の気持ちは沈んだ。
もしかしてそれって、八王子先輩がいるから?
そう聞きたかったけど、聞けなかった。聞いたって、きっと笑って否定されるだけだ。
それに……。YESと答えられたとしても、私にはどうにもできない。
にしても、兄妹そろって競技ジグソーパズルなんて妙なものにハマってるって、ちょっとどうかと思う。




