ep2
まだ制服姿で、通学路を歩いていた頃。
風太は元々、芸能界に興味などなかった。だがどんなに鈍感な自分でも理解していた。
――自分の顔は、周囲と違う。
「風太先輩!好きです。付き合ってください!」
見知らぬ後輩女子が息を切らして駆け寄ってくる。
「いいよ。」
「本当ですか!?」
「うん。」
軽い返事に、後輩の目は一瞬で輝いた。
だがそれはただの気まぐれだった。
「風太、また告られたのか?あの子、ミス〇〇に選ばれた子だぞ?」
幼なじみのたけしが呆れたように言う。
「そうなんだ。」
「そうだよ、お前の彼女になった子だろ?」
「そうだよ。」
「お前ってやつは……」
――この頃の俺は、本当の愛なんて知らなかった。
名前すらろくに知らない相手の告白を受け入れるのは、ただ断るのが面倒だから。それだけだった。
やがて別の女子が現れ、同じように告白する。
「ごめん。俺、彼女いるから。」
そう言えば、角が立たずに断れる。だから付き合ったのだ。
ただそれだけ。
そして数日後、あっさり別れを告げられる。
「先輩、別れてください。」
「え?なんで?この間付き合ったばっかりじゃん。」
「なんか……思ってた感じと違いました。こんなに冷たいとは思ってなかったです。」
――みんな僕の顔にしか興味がない。
それも、うすうす気づいていた。