表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/17

3

「ベリー、今日はね!リスティア様をお茶会に誘おうと思うの!」


「まあ、良い案でございますね」


「そうでしょう!」



 目をキラキラと輝かせて言う。



「それでは、茶会の準備をさせましょう。ユイリル様は招待状をお書きになられたらどうでしょう」


「うん!そうする。ベリーも手伝って!」


「勿論でございます」




「ユイリル様、他にどなたか呼ばれますか?」


「うーん....大丈夫!僕一人で戦えるよ」



どこか誇らしげに言うその様子はやはりしまりない。



「でしたらそのように手配しますね。レターセットに指定はございますか?」


「一番お気に入りのやつ!インクもペンも、僕のお気に入りを持ってきて!」


「かしこまりました」



 そうして運ばれてきた便箋に熟考ののち招待状を書き綴る。



========================================


ステラ・リスティア男爵令嬢へ


僕の家の薔薇園で、ローズティーパーティーを開くから、ぜひ来てね!

~~の午前中に迎えにいくから、待ってて!

ドレスコードは薔薇のようなドレス!


楽しみにしてるね!


ユイリル


========================================



「ふんっ!どう?ベリー」



 自信満々な様子で今しがた書いた招待状見せつけていく。ベリーはベリーで侍女馬鹿であるため、ひとつ微笑んでユイリルを褒めちぎる。



「大変素敵な招待状でございます。ユイリル様もご上達なさいましたね。ただ...」


「?駄目なところある?」



 ベリーは顎に手を当てて少し考え、それから優しくユイリルに向かう。



「いえ、ドレスコードをお決めになるのも宜しいのですが、ユイリル様はリスティア様に着て頂きたいドレスがあるのではないのですか?」


「!っすごいっ!よくわかったね!そうなんだ~!来て欲しいのあるの!でも、ドレス送るのも、なぁって」



 主人の葛藤は至極真っ当なものだ。しかし──。



「お送りしましょう。きっとリスティア様も喜ばれると思います。」


「そうかな?じゃあそうする!仕立て屋さんいつ呼べる?」


「30分以内に」



 ありがとう、よろしくね!

無邪気に笑う主人は本当に天使がすぎる。

 そんなことを内心に隠すベリーのこの行動には意味があった。


 普通、上位貴族が下位貴族をお茶会に招待する場合、下位貴族には相当な負担になる。


 手土産、ドレス、教養、そのすべてがワンランクどころでない程のグレードアップをしなければならないからだ。

 その金額が馬鹿にならないのである。


 ユイリルに悪気はない。ドレスコードを設定したのも綺麗な格好をして欲しかっただけ。それでも、下位貴族にとってはなかなかにハードルの高いことで、同時に圧力にもなる。

 上のものからきた茶会には、暗黙の了解的に参加義務があり、それがたとえ恥をかかせるための場だとしても行かなければならない。


 ユイリルの送ろうとした招待状は意図せずそれを示唆させるようなものであった。

 そのためにドレスを送付することを提案したのだ。下位貴族にとっては大金でも、上位貴族、それも公爵家にとってしてみれば、端金も同然である。


 互いに楽しめる茶会にするための必要経費だと言えるだろう。



「ベリー!!これ可愛いっ!絶対似合うよ、リスティア様に!」



 どうやら、気にいるドレスが見つかったようです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ