性交の定義
まず一番初めに考えられる問題として「どこからがセ〇クスであるか」が挙げられる。
性交の定義は人によってさまざまな解釈に分かれると思うが、辞書で「性交」の欄をを引いてみると、
「性的まじわり。肉体のまじわり。交合。交接。」-デジタル大辞泉
「男女が性的交わりをすること。交合。交接。房事。」-精選版 日本国語大辞典
「成熟した男女が時を置いて性的な欲望を満たすために肉体的に結合すること。」-新明解国語辞典
と、読み手によって解釈がかなり大きく分かれるような書き方になっている。
しかし、全てにおいて「交わる」という部分は共通しているため、少なくとも「男性器を挿入すること」が定義には入りそうだ。
さらに、百科事典で「性交」の欄をを引いてみると、
「男女の心理的・肉体的交わりをいい,具体的には,精子と卵子の結合を図るために,陰茎を腟内に挿入することを指す。」-改訂新版 世界大百科事典
「男(雄)性性器を女(雌)性性器に挿入し,射精すること。」-百科事典マイペディア
「性交は生殖、すなわち精子と卵子が結合するために行われる交わりをいうが、ヒトでは陰茎を腟に挿入し精子を放出することをさす。」-日本大百科全書
と、辞書のあいまいな定義とは打って変わって「男性器を女性器に挿入し、膣内で射精すること」が条件となっていそうだ。さらに「生殖」を目的としているという解釈ができるので、おそらく避妊具の使用は認められないだろう。
また、法的な解釈も見ておこう。
日本の刑法では「性交等」という言葉を用いているが、これを刑法第百七十七条で
「(前略)性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であって(後略)」
とかなり大きな幅を持って定義している。
「性交」の法的な完璧な解釈はわからないが、「陰茎を除く」と別で定義していることから、性交は「膣若しくは肛門に陰茎を挿入する行為」であると言えるだろう。また、「等」の部分にはいわゆる前戯も含まれるようだ。
ここまでのことをまとめると、性交の定義は
1.男性器を女性器に挿入すること。
2.膣内で射精すること(避妊具の使用は認められない)
となる。
しかしよく考えてみると、現代において性交の形はさまざまで、1のように男性・女性と定義するのはいかがなものか。異性間の性交だけではなく、同性間の性交にも対応させるため、定義を拡張することにしよう。
まずは1について。
男性同士では女性器が、女性同士では男性器が存在しない。そのため、これを補うような定義にしなくてはならない。
男性同士の性交の場合、男性器を肛門に挿入する。(これは異性間の行為でもすることがあるが。)
そこで、挿入される対象を「女性器」から「女性器もしくは肛門」と定義することでこの問題を回避する。
さらに、女性同士の性交の場合、ペニスバンドを使用することがある。これが一般的かどうかはわからないが、異性同士の性交の再現であることを考慮すると極端に不適切な方法であるというわけではないだろう。
これらを踏まえ、1を
「男性器もしくはそれを模したものを女性器もしくは肛門に挿入すること」
と再定義することにしよう。
続いて2について。
同性間の性交では、2の理由となった「生殖」ができない(もちろん小説等は設定等で変化するが)。そのため、「避妊具を用いない」という定義が本来の意味をなさなくなる。よってこれを削除するとしよう。
まだ肛門の中を膣内と呼んでいいのかどうか微妙なので、「膣内」という表現ではなく「挿入した状態」という表現に置き換える。
よって2を
「挿入した状態で射精すること」
と再定義する。
しかし、女性同士では射精を行うことができない。2を削除することでこれを解決しても良いのだが、それでは面白くないので、女性同士の性交の終わりを定義することに挑戦しよう。
もちろん女性同士の行為の「終わり」は人それぞれの感覚や定義、行為の目的、またその関係性や状況に応じて異なるため、一概に「これが終わり」と言い切ることは難しい。
しかし、男性の射精は「オーガズム」であるため、女性の「オーガズム」を女性同士の性交の終わりとするのは不適切ではないだろう。
よって2の但し書きとして
「但し、女性同士の場合どちらかが性的絶頂を迎えること」
としておこう。
拡張した定義をまとめると、
1.男性器もしくはそれを模したものを女性器もしくは肛門に挿入すること
2.挿入した状態で射精すること。但し、女性同士の場合どちらかが性的絶頂を迎えること
となる。
これを本書における性交の定義とする。