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乱暴者が書きあぐねる学生日誌  作者: 二十四時間稼働
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 ここに一人の若い男がいました。その人はとても貧乏で、いつも公園で暮らしています。この人が、イケメンだったら、皆は救いの手を差し出していたでしょう。ですが、彼は醜い顔をしております。例えるならば、ボコボコにされた豚が泥水で顔を洗っているような顔でしょうか。それは、悲惨で誰もが見た瞬間、避けれるでしょう。可哀想な御方です。この人を助けたいのですが、私の金はすべて生活費なので、他人のためにどうこうは出来ないのです。仕方がありません。現実は厳しいのです。一人で生きるしか方法が無いのでしょうか? 醜い人はそういう風に生きなければならないのでしょうか? それは、仕方がないことで済むのでしょうか? 皆で助け合って生きることは出来ないのでしょうか? 誰もが幸せに生きることが出来ないのでしょうか? 皆、平等に生きることは出来ないのでしょか? 私たちに出来ることは無いのでしょか? 私たちは無力なのでしょか? やろうと思えば出来るのではないのでしょか? 

 現実は本当に厳しいんですね。一人でもいたっていいじゃありませんか。私たちは人間なのですよ。皆で救いあうべきだと私は思います。ですが、私の思い通りにはなれそうにないです。彼は五年間も見捨てられているのです。皆は酷い人たちです。何かを与えたっていいじゃないですか。彼を可哀想だと思わないのですか。醜いからですか? イケメンじゃないからですか? 汚らわしいからですか? 関わりたくないからですか? 面倒だからですか? 死んでもいいんですか? 彼は人間ですよ。助けていいじゃないですか?  

何でなのですか? 自分だけよければそれでいいですか? 自分だけ幸せになればいいと思っているんですか? 助けたら嫌なことでもあるんですか? 皆の視線がきついからですか? 他人が嫌いなんですか? 助けたら虐めにあうからですか? 

 皆は本当に酷い人たちです。彼を見捨てるなんて。少しだけでもいいんですよ。救いの手を差し伸べるたけでいいんですよ。何でそれをしないんですか。じゃあ、あなたがやればいいじゃないかですって? もちろん、やりますよ。私は自分の全財産を彼にあげますよ。彼が好きなのですって? そんなわけないじゃないですか。私は好きじゃありません。私はこの世界に住む人間は嫌いです。じゃあ、なんで彼を助けようとしたいのかですって? 私は差別が嫌いだからです。この世に住む人間全員嫌いですけど、差別をする人間はもっと嫌いです。だから、差別される人間を助けたい。そう感じてしまうんです。


 私は公園に行った。彼がいる公園に。そして、私は彼に全財産を渡した。彼は嬉しそうにした。彼は私に抱きついてきた。

「これで、普通の生活が出来る。見てみろよ、この世の奴等。俺が頂点に立ったとき、てめえらを見下してやる」

 私はナイフを取り出し、それを彼の腹に突き出した。彼は驚いたが、私は気にしない。

「調子に乗るな。私は差別が一番嫌いなのである。それが、上でも下でも」

 傍から見れば、これは差別じゃないのかもしれない。だが、私はそう感じてしまった。私は差別と認識した。これは仕方がないことである。私はそういう性格なのだから。


 私は血だらけのナイフを持ちながら、街をぶらぶらと歩いた。

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