障害
僕はまた、悪口を言われた。今日は誰にも何にも言われないのかと思ったのだが、言われたしまった。
悪口を言われたのは、四時間目の体育のときだ。今日は選択だったので、好きなスポーツをやっていいらしい。僕は、特にやることがなかった。友達がバスケットボールをやっていたので、僕もバスケットボールをした。バスケをやる人が僕を含めて九人もいた。チーム分けということなので、四対五にしなければならなくなった。
チームのリーダがとりこをして、チーム分けをする。僕は五のほうに入ることになった。人数が多いためか圧倒的にこっちのチームが得点を取っていた。
そこに、バスケ部の二年でいちばん強い奴が来た。それで、数の問題で、僕のチームじゃないほうに入った。それで、点の差がだいぶ縮まるのかと思えば、その人はやる気がないのか僕たちのほうばっかにボールをパスをする。
これは、味方からすればちょっと最悪だが、こっちとしては嬉しい。それから、どちらともなかなか点が入らなかった。
そこで、また人が来た。その人は小さいが、とても運動神経はいい。その人は誰かが決めるのではなく自分から僕たちのチームに入っていた。その人が来てから、相手は僕たちの点を越えてしまった。
ここまでは、ゲームだからあっても可笑しくなく、腹が立つわけでもない。その後がクソ腹が立った。
敵が味方と間違えて僕にパスをした。それで、僕はそのボールを取ろうとしたが、失敗してしまった。
そしたら、さっき入ったばかりの奴が「・・・・・・臭いゴリラ」(臭いゴリラと言う前に何かを言っていたが、忘れてしまった。たぶん、「なにをしてるんだ」だったかな。)と言ってきたのだ。
僕はむかついた。「この野郎。僕が少しキャッチミスをしたくらいで、なに悪口言ってんの。これは、遊びなんだよ。君は本気のこの試合で勝とうとしているの。君は幼稚なんだね。あっ、そうか。だから、君はまだこんなにしか成長していないだね。これで、分かったよ。・・・・・・って言うか、君のせいだよね。君が来てからこのチームは負けたんだよね。本当に勝ちたかったら、君は見物することにしたらいいじゃないかな。」とは言えなかった。僕はぐっと拳を握り締めて、笑顔で立ち上がった。
その後、あのチビは「ちょっと、疲れたからはずれるは。」とか言ってどこかに行った。試合が終わって、僕たちのチームはあのチビが来たせいで負けてしまった。
別に僕は遊びだったので、悔しがることはなかったが、あのチビの発言でさらに機嫌が悪くなった。(実は今日の僕は少し機嫌が悪かった。朝に僕は今日の日程を書いてあった、紙を誰かが触って、何処かにおいていて、僕はずっと探していた。大体は想像がつく、たぶん、僕の姉だと思う。あの人は、少し邪魔になったものをすぐに何処かに入れてしまうのだ。僕は頭に切れて、姉の悪口を散々言った。幸いにそのときには姉は学校に行くため、家を出ていた。探しても見つからなかったので、僕は仕方なく、全教科を鞄の中に入れた。登校していくときは重くて、肩が壊れるんじゃないかと思った。そのせいで、遅刻してしまった。)
なんで、あのチビはなぜに僕を臭いゴリラなどと言ったのだ? 別に僕はゴリラという言葉に腹が立ったのではなく、臭いというのが気に食わなかった。臭いという言葉は、学校に来るなとか気持ちが悪いとかよりも腹が立った。それは、人間自体がそういうものだからだ。人間は外に生きているもので、野生動物みたいなものだ。好き勝手に行動して、生活をしている。だから、そのせいで人間には汚い汗が流れて、臭くなったりするのだ。なのに、臭いとか意味が分からぬ。お前はそれを言う資格など一つもない。というかお前は僕よりも臭い人間だ。自分が楽しくなるように好き勝手に動いたり、黙想時間が過ぎているのに、まだ廊下にいて走り回ったり、しゃべったりして、他人に迷惑を掛けたりして、相当の汚い汗が流れているのもかかわらず、なぜに僕を臭いと言うのだ? あっでも、お前は臭いと言うよりも腐っていると言うのがいいかもしれない。腐っているという表現は臭いとか最悪な奴として使われているから、丁度いい言葉だ。よしっ、今日からお前は「腐ったチビ」という名をあげよう。と思いながらも、教室に戻った。あのチビが違うクラスだということが幸せだ。(体育は二つの組が一緒にやるようだ。ちなみに僕は五組だ。)
僕はそれから、とても気分が悪くなりながらも、仕方なく給食の準備をした。毎月給食を準備する人が変わる。今月は僕たちのグループがやることになっている。
僕はめんどくさいと思いながら、食器の数を数えた後、その食器をそろえたり、おかずを入れた食器を配ったりしていた。給食の準備が終わった後、合掌して給食を食べた。今回も美味しく頂きました。
皿を片付けた後、僕は本を読んだ。「ひぐらしのなく頃に」という本だ。この本を簡潔に言うと、綿流しという祭りの夜に誰か一人が死ぬ。そして、のちに誰かが失踪する。僕はこの本はとてもお気に入りの本なのです。編が色々あるので、少し読むのがめんどくさいですけど。たぶん、これを読んだら、誰でも面白いと思ってくれると思います。
その本を閉じた後、みんなで合掌し、「ご馳走様でした。」と食べ物に感謝という思いを持ちながらした。
その後は昼休みなので僕は何もすることがないので、また本を読むことにした。
僕が今読んでいるところは、主人公が主人公の友人を虐めている叔父を殺しているシーンだった。僕はあのチビをこの物語のように死ぬまでバットで頭を叩き割って、その後、土に埋めたろうかと思った。でも、僕にはそんなことが出来る勇気など一つもないので、あのチビを殺しているのを想像するだけで、あのチビに対する怒りを静めようとした。
結局、それではどうにもならなかった。でも、それしかやる方法がないので、仕方なくそれで今日は我慢をすることにした。
その後は眠たいような顔をして授業を受けていた。中学校の授業というものは、とても面白くなくて、ロクでもねえことしか教えない。僕はこんな糞学校なんぞとはやくおさらばしたかった。
そんなことを考えていたら、いつの間にか放課後になっていた。僕は放課後になったということで、部活に行こうとしたが、先生がそれを呼び止めた。
「宿題を忘れているはよ。」
ちなみにこの人は女の先生。結構、色々な生徒から嫌われている。僕ははっきり言って、この人は興味はないが、めんどくさい先生だから嫌いとか、この人の担任にならなければ良かったとか、どうかと僕は思うのだが。まっ、どうでもいいか。
仕方なく、今日の授業で出された宿題をやることにした。この宿題は文化祭で歌う自由曲の歌詞を書いて、この歌詞を読んで、イメージしたものを絵に描くというものだ。僕たちのクラスの自由曲はCOSMOSだった。
僕はこの歌詞を書いて、適当に両親と親が抱いている赤ちゃんの絵を描いた。
僕が宿題を終わっていたら、もう先生はいなくなっていた。
なんで、いなくなるやねん。お前が宿題を忘れているとかいったんじゃないのかよ。そしたら、僕の宿題が終わるまで待つのが普通じゃないのかね。それじゃ、職員室に行かないといけなくなるじゃないのか。めんどくせえ、職員室に行くの。いちいち、クラスと名前を名乗ってから入らないといけないから。もういいや、明日の朝、出そうっと。
そう思い、部活に行くため、机にある教科書やプリント類を荷物に整理して鞄を背負って、部活に向かった。
部活に行く途中に僕は嫌なやつに出会ってしまった。それはあのチビだった。僕は今日のことがあるので、睨みながらあのチビと通り過ぎた。なぜかあのチビも睨んでいた。
なんで、お前が睨む必要があるのかね。僕は今日のことがあるので、お前に殺意という意味を込めて、睨んでいるのに、なぜにおまえはにらむのだ? まさか、お前はまだあの僕のキャッチミスのせいで負けたんだとか思っているわけ? もしも、ほんとうにそうだったのなら、お前は「腐ったチビ」じゃなくて、「幼稚レベル以下の腐ったチビ」に改名するぞ。あれは、単なる遊びなのに。
苛立ちながらも、部活に向かった。部活に向かったら、いつもの部活のメンバーがいた。(と言っても、幽霊部員が二年に四人、三年に一人がいる。そいつらは、ほっといておこう。)僕は着いて、パソコンOKという文字が書いてあったので、パソコンの電源をつけた。
僕はいつも、パソコンで絵を描いている。絵が上手いのか下手なのかは自分では分からないのだが、同じ部活の友達は上手いほうかなと言うので上手いのだろう。絵を描いても僕は全然楽しくないので、ほとんど、眠りながらもマウスをイジって適当に絵を描いていた。
それでも、楽しくなかった。なぜにコンピュータ部はこんなにやることがないのだろうか。インターネットが使えればたぶんこんなことになることはなかっただろうに。っていうか、僕はてっきり、インターネットが使えるのかと思って入ったのに、これでは僕がコンピュータ部に入った意味がなくなる。もうやめようかな、この部活。
そう思いながらも、マウスを動かして適当に絵を描き続けた。そうこうしているうちに、もう部活の時間が終わっていた。僕は部の友達と一緒に鞄を背負って、コンピュータ室に出た。
その人は唯一僕といまでも遊ぶ友達である。決して嫌いというわけではなくて、むしろ、他の友達よりもマシなのだけれども、(もっと、いい奴はいるよ。)その人は僕をいじるのだ。例えば、「まっつーは異常が正常」と言われたり、「七十くらいのおっさん」とか言ったりする。僕はそこまで、異常ではないとか、なぜに僕は学校に来ているとか、色々反応してみた。まっ、それも意外にも結構面白いので許しているが、もし「臭い」とか言ったら、僕は腹が立つだろう。まっ、そんときはそんときだ。(僕の本音はさっきのいじる言葉も心に傷つく。)
あっ、そういえば、あのチビ遠くから臭いゴリラとか言ったよな。近くから臭いというのは腹が立つが本当に臭いのだろう。でも、遠くから言うということはそれ以前からそういう、イメージを持ったのだろう。絶対のそうだ。あのチビとは近くでしゃべったことがないからな。もっとあのチビは腐ってやがった。
僕はさらに殺意が湧いてきた。でも、いまアイツは家に帰っているのだろう。だから、僕は殺すことが出来なかった。殺したい。あのチビだけは。お前は腐ってやがる。人間のなかで一番腐ってやがる。この僕がお前を排除してやるよ。お前の人生はたったの明日という一日しかないのだ。それでも、ありがたく思われて欲しいね。僕は君を殺したくて仕方が無いのだよ。僕は部の友達と別れの挨拶をして、ずっとそう叫んでいた。
僕は家に帰って、早速金属バットが家にあるかを探してみた。まず最初に倉庫の中を見た。このなかには、昔使っていたものやこんなもの使ったけ? というものが入っていた。もしかすると、金属バットが入っているかもしれないと思い、探したがなかった。
次に店に入った。僕の父は電化製品を売っている人で、自営業している。ほとんどは電化製品が入っていたダンボールや壊れた電化製品ばっかなのだが、昔、使っていたものや明らかに新しく買ったものだろうというのがあるので、一応調べてみた。探したが金属バットは見つからなかった。
たぶん、この二つのところにないということはないのだろうと判断して諦めた。仕方なく僕は放課後と朝に野球部が使っている金属バットが入った倉庫が学校にあるのでそこから取りに行くことにした。取りに行くのは明日の朝にする。眠くならないように今日ははやく寝ることにした。はやく、明日が来ないかなあ。人が殺すのが楽しみだなあ。どんな感じなんだろう。人を殺すのって。と思いながら、深い眠りについた。
起きたら、朝の五時になっていた。僕は昨日晩飯を食べるのを忘れていたので、いまから食べることにした。晩飯はだいぶ冷えていた。
そりゃ、そうだ。たぶん、あれから十時間以上は寝ているはずだ。それで、冷蔵庫に入れて冷えていなかったら、その冷蔵庫は絶対に壊れているはずだ。
僕は温かくするために電子レンジのなかに晩飯を入れ、あたためスタートのボタンを押した。あたためスタートはだいぶ時間がかかるが丁度いいくらいの温度くらいになるので、僕はいつもこのボタンを使っている。
僕はラップを外して、いただきますと言って、頂いたが、さっきまで、食欲があった僕は一口食べた瞬間、食欲がなくなった。僕は仕方なくご馳走様と申し訳ないという気持ちを込めて言って、新しくラップをした。
誰か食べてもらうため、ラップの上に紙を貼り付けた。「僕は食べれません。変わりに誰かたべてください。」僕はそれを冷蔵庫に入れ、学校に行く準備をした。
僕の体が異常に臭うなと思いながらやっていた。僕は昨日風呂入っていないことに気づき、朝から風呂に入ることにした。
まず、僕は最初に風呂場を掃除し、風呂に湯を溜めた。湯がある程度溜まったら、湯を止め、服を脱ぎ、風呂場に入った。僕はいつも、先に頭を洗い、その次に顔を洗い、その次に体を洗い、最後にまた頭を洗った。
その後、風呂に入る。朝から風呂に入るのは気持ちが良かった。何でこのことにはやく僕は気がつかなかったのだろうと思いながら、湯に浸かっていた。一生湯に浸かってもいいぐらいだ。でも、僕がそんなことをしていたら、あのチビを排除することが出来なくなる。
僕は仕方なく湯から出て、体を拭いて、服に着替えた。勿論、服装は制服だ。それから、僕は黒いジャンバーを取り出し、それを鞄の中に入れて、外に出た。
ドアを開けるとまぶしい光を僕に襲い掛かってきた。僕は顔を手で覆って守った。それをしたら、手が少し熱くなった。僕は仕方なく手をどけることにした。それにしてもこの暑さは異常すぎるだろう。昨日の倍の温度があるんじゃないか。暑すぎる。今日は学校に行くのをやめようかな。・・・・・・やっぱり学校に行こう。たったの一日だけではないか。今日は行く、いや行かなければならないのだ。あいつを排除できるのはこの僕しかいないのだから。あいつに恨みを持っている奴、それは今日のうちに消されるんだよ。皆、その間の辛抱だ。
僕は暑い中でも歩いていった。歩くたびに僕の体はボロボロになり、汚い汗がたらたらと流れていく。それは、僕が動くせいだと思ったが、違う。太陽の温度がだんだん上昇しているのだと思う。まるで、その行為は僕に殺すのをやめろという暗示だったのではないのかと思った。だが、お前がそういったとしても僕は殺すことをやめない。あのチビに対する怒りは相当なものだから。お前は僕がどんなにひどく傷ついたのか分からないだろう。だから、お前がとめる資格などひとつもない。僕は必ずなし遂げるのだ。
僕は暑い中、三十分間も歩いてやっと学校に着いた。僕は始めに運動場で、野球部がいるところに行った。野球部に入っている人が気持ち悪いほどいた。僕が紛れていても見つかる可能性は低いと思うので、今、学校に着いてきた野球部のバックと僕があらかじめ持っていたバックを素早く取り替えた。盗ったバックから野球のユニホームを取り、何もなかったのようにバックを戻した。その後、僕は金属バットとグローブを忘れてしまったことを部活の顧問に言い、野球部の倉庫からグローブと金属バットを二つとボールを三個取った。なぜ、僕がボールを取ることにしたのかというと金属バットを探している途中にあのチビの殺した方を色々考えていて、僕は普通に迫ってきたら相手は逃げてしまうと気づいた。そこで、ボールを見つけた。僕はこれは使えると思った。要するにこういう殺し方にするのだ。
まず、最初に僕はわざと遠くからあのチビに目掛けて投げる。そしたら、チビは何事だと思い、辺りを見回す。そこで、僕が登場し、「すいません、おもいっきり振ったら、ボールに見事に当たって、あなたに直撃してしまいました。」と近づいて、金属バットで野球の打つホームで振る。そしたら、チビは野球部の人かと思い、ボールを拾う。そこで、僕は金属バットを振っていたのを手に離し、チビに直撃させる。そしたら、チビは地面に倒れる。金属バットを拾い、僕は「大丈夫ですか。」とチビを立たせる。直撃したところを見て、「これはひどい。・・・・・・あっそうだ。いいところがある。あそこの病院だったら、この程度の怪我、治してくれる。」と言ったら、たぶんあのチビはこういう反応する、「ここの近くに病院なんてあったけ? 」と言う。その場合は、「そうだよね。だって、僕が言っている病院って普段は開いていないだもん。」とか言ったら、納得するだろう。納得したら、チビと一緒に人が少ないところへ行く。あのチビが、「ここは何処?」とか聞いてきたら、金属バットを握り締めて、おもいっきりアイツの頭を叩き割る。死んだとしても容赦なく何回も金属バットで叩き割って、正気に戻ったら、その死体を誰にも分からないところに土を掘って、死体を埋める。
これで、あいつを殺すことが出来ると思いながらも、道具を取って野球部のところへ戻ろうとした。・・・・・・あっ、忘れていた。土を掘るときに使う道具だ。これは、シャベルを使って、掘るか。たしか、学校にあったような気がする。昼休みに探すことにするか。
結局、朝殺すことが出来ずに、僕は仕方なく野球部に戻って、練習に励んだ。全然楽しくなかった。コンピュータ部はとくに動かずに疲れることがないのだが、運動部は異常なほどに疲れてしまう。たぶん、これで僕は一年分の体力を使ってしまっただろう。僕はずっと、筋肉痛で本気で走ることは無理になった。くそ、すべてはあのチビのせいなんだ。あいつさえいなければ、僕はどれほど幸せだったのだか。でも、その幸せは明日に来る。
僕は足をひきづりながらも、教室に辿りついた。教室に辿りついた僕を見かけて、朝の挨拶をする。僕はその後自分の席に着いた。僕の席は一番前の窓際だった。この席は光が当たって、眩しいし、暑い。しかも、扇風機の風すら当たることもない席だった。これでは、もう僕の汚い汗が止まらなくなってしまうではないか。それで、僕はまた「臭いゴリラ」と言われてしまうではないかと思いながら、タオルで顔を拭いた。それでも、僕の汗は止まることが出来ない。
汗を流しながら、本を読んでいた。僕の学校では朝の時にいつもRTタイムというものがあって、その時間は本を読むことになっている。ちなみに僕が今読んでいるものは中島らもの「アマニタ・パンセリナ」という本だ。僕はその本を存分に味わって、朝のRTタイムが終わった。それが終わったあとは、先生が長々くと話していた。先生が話している間、歯をきりきりさせながら話が終わるのを待っていた。
・・・・・・やっと先生の話が終わった。長かったなこの時間。もったいない。この時間が無ければ本を読む時間が増えていたのに。なんで、朝なのにこんなに長く言うのだろう。朝はまだ脳が活性化されていないから長く言うと全然耳に入らないし、聞く耳が持てない。だから、朝に話すときには要点だけを言って短時間で話を終わらせるほうが言いと僕は思う。
そんなことはどうだっていいだったんだ。僕が考えることはあいつを殺すことを考えろ。さっき僕が考えていた殺し方ではダメだ。まず、最初にあのチビにボールを当てる時点でダメだ。たぶん、僕が登場した瞬間にチビは僕に目掛けて投げ返していく。もし、あのチビが素直に僕にボールを渡したとしてもダメだ。バットを振り回して当てるとしたら、とてつもないコントロールと力加減に必要になる。奇跡的に当てたとしてもあのチビはすぐにきれて、僕に色々と文句を言ってくるだろう。
考えれば考えるほど、僕の殺し方に欠点ばかり出てきた。これではダメだ。もっといい方法は無いのだろうか。どうすれば、あのチビを確実に殺すことが出来るのだろうか。気づかれずに殺すことにしようか。でも、どうやって気づかれずに殺せるのだ。じゃあ、後ろからバットで叩き殺すのはどうだろう。いや、それではダメかもしれない。そこに人が来てしまうかもしれない。そう考えれば、殺し方が思いつかなくなってしまう。深く考えることを一回止めることにしよう。
シューー、僕の頭は紐を引っ張ると温かくなる奴との反対で紐を引っ張った瞬間、冷却をされていて、普通の状態よりもさらに冷静になった。
よく考えろ僕の頭よ。何も考えなくても良い。ただ、思いついたものだけで言って、その殺し方をすればいい。もし、失敗したら挫けなくったっていいんだ。もう一回殺せばいいだけのことだ。だから、普通に殺せばいい。バットで叩き殺せばいい。誰かが警察に通報する奴がいれば、そいつも殺せばいい。もし警察がきて、僕を止めることが出来たなら、もうそれでいいのだ。とにかく、僕は捕まらないように殺すのではなく、あのチビをこの世から排除できればそれでいいのだ。
こうやって考えれば、何にも恐れなくてもよくなる。しかも、あのチビを殺せるのがいかにも簡単に思える。はっ、はっ、ははあははあはっははははははっははっははははっははあ・・・・・・・はあー、はあー、はあー。何だか疲れてきた。なんかこの世が本当に腐ってやがると思った。人間はどいつもこいつもいい奴なんか一人もいないような気がした。僕がいままでいい奴だと思ってた奴も腐ってやがる。皆、僕をバカにする。「まっつー、バカじゃないの。」「お前、気持ち悪い。」「なんで、学校にきたん? 」「まっつー、気持ち悪いから近寄らないで。」「まっつー、汚い。」「まっつーは単細胞。」「まっつーは猿人。」「まっつーは蛆虫。」「まっつーはおっさんだよな。」「まっつー、もう帰っていいよ。」「まっつーの笑い方ってめちゃ気持ち悪い。」「まっつーは異常が正常だよね。」「まっつーはこっちだよね。」「まっつーは走り方が気持ち悪いよね。」「まっつーはいじられるじゃなくて、いじめられるって書いたほうがいいじゃないのかな。くっくっ。」「まっつー、三度も死んだよね。」「まっつーは何をしてもイケメンになるはずがないよね。」「まっつーの眉毛が太い。」「まっつー、じゃあね。地獄に。」「まっつー逝って。」「まっつーはおだぶつ。」「まっつーは障害者みたいだね。」」と僕に対する悪口がこんなにも言われてきた。僕はこの言葉を笑いながら我慢をし続けてきた。僕は今あのチビの対する怒りで他の奴らのことを忘れていた。いや、忘れようとしてたんだ。あのチビ対する怒りで他の奴らを忘れようとしたなんて、僕はこんなにも衰退してしまったのだろう。いや、待てよ。いっそのことなら、この学校に火をつけてみるというのはどうだろうか。そしたら、僕はいつも毎日楽しく生きることが出来たのだろうか。それとも、何か僕に罪悪感とか生まれるのだろうか。まっ、はっきり言うとそんなことがあるはずがないだ。というかその前に僕は全然違う話をしていなかったのではないか。今はあのチビのことだけを考えろ。というか、それしか考えれるな。
そんなことを思っていたら、いつのまにか先生の話が終わっていた。皆の顔を見ていたら、どうやら今日の先生の話はだいぶ長かったみたいだった。僕にとって、もう一日の授業が終わっていた感覚だった。でも、まだ先生の話から二十分くらいしかたっていなかった。あれっ、僕の体内時計は壊れてしまったのだろうか。そうか、そういえば、今はまだ朝だし、朝ごはん食べてなかったのか。だから、体とか脳とか眠っているような状態なのかな。それなら、納得できる。よしっ、今日も頑張って行こう。
「宿題の奴持ってきたか。」
先生はそう訊いてきた。あっ、そういえば、昨日やっていたCOSMOSの宿題朝に出そうと考えていたんだ。よし、仕方がない。めんどくさいが鞄を探るか。
・・・・・・見つからない。鞄の中の教科書とかを取り出して、中に挟まっていないかペラペラとめくったりしていたのだが、見つからぬ。たしか、昨日ちゃんと宿題やって、しかも、鞄はあまり昨日と教科は変わらないから、鞄とかほとんど触ったりしていないはずだ。昨日のことをよーく思い出せ。僕は必ず、鞄を入れて何かを鞄から取り外したはずだ。えっと、たしか取り出したのは、音楽の教科書だったかな。あっ、思い出したぞ。僕は無くならないようにCOSMOSの宿題を音楽の教科書に挟んでいたんだ。くそっ、なんでいつも大切なときに忘れてしまうのだ。僕のバカ野郎ーーーーーー。
僕は仕方なく先生に忘れてしまったことを言った。
「じゃあ、もう一枚あげるから、今日中に書きなさい。」
先生は紙を渡しながら確かに言った。な、なにーーーー。せっかく昨日学校に残って、頑張って書いたはずなのに。そしたら、僕のあの時間は無駄だったのか。COSMOSの宿題を忘れてしまった僕を恨むぞ。嗚呼、めんどくさい。どうでもよくなってしまった。今なら死んでも大丈夫かもしれない。
そう思いながら窓の外から落ちようとしたら、窓からあのチビの姿が見えていた。職員室の廊下でぺちゃくちゃと誰かと話しやがっている。他の人が通れないように横に広がっている。やはり、あいつは殺すべきだ。そして、殺せるのは僕だけなんだ。だから、あいつを殺すまでは僕は死ぬことが出来ないのだ。でも、どうせ、今日があいつの命日だから僕は明日からだったらいつ死んでもいいのだから。今思ったけど、僕が窓から落ちたとしても死ぬはずがない。だって、僕の教室は学校の一階だから、落ちても死ぬことが出来ないのだった。それよりも宿題めんどくさいな。朝のうちぱっぱと終わらせよう。
僕は昨日、書いた内容を思い出しながら書いていた。そしたら、なんと、一時限目が始まる前に終わったのだ。僕ってすげーー。やれば出来る奴だったんだ。僕は自分に感激しながら、一時限目の用意をしていた。ちなみに一時限目は英語だった。英語の担当は担任の先生が教えるので、職員室に行かずにCOSMOSの宿題を渡すことが出来た。
今日の授業も全然楽しくなかった。ていうか勉強自体面白いはずがないではないか。なんで、勉強をしなくてはならないのだろう。別に僕は早い時期に死にたいので、勉強する必要がない。だから、学校というところに行く自体が僕の人生にとって無意味なのだ。やはり、明日には死ぬことにしようかな。そしたら、遺書とか必要になるのだろうかな。でも、書くのとかめんどくさそうだな。あっ、そうだ。こう書けば、一分すらかけないで書ける。「僕はこの世の中を見て失望しました。」と書けば簡単だ。よしっ、今から書くことにしよう。適当にノートのページを一枚分破って、でっかく書いた。
僕はそれから色々とどうやって自殺するかを考えていた。それはとても楽しく、ハイになった気分でいた。
やっぱり、ここは定番の首を吊って死ぬことにするか。どんな感じなのだろうかな。首を吊って死ぬ間際は。何かが見えるのかな。いままで、見たことないような素晴らしい世界が見えてしまうのか。なんか、楽しくなってきたぞ。ぐへへへ。でも、海に飛び込むのどうだ。高い崖から落ちて、海にばしゃーん。うわ、やばい。めちゃ気持ちよさそう。くっくっくっ、凄い面白そうじゃないか。落ちる瞬間、僕はどんなことを思うのだろう。
僕、今空を飛んでいるんだ。僕はついに鳥になってしまったのか。じゃあ、こうやって手をぱたぱたやったら、もっと遠くのほうへ行けるのだろうか。それはそれで、いいな。めっちゃよさそうじゃん。空を飛ぶということはどんな様子なのだろうか。地上と空では視点が変わるのだろうか。空はとても綺麗な風景になるのだろうか。分からないけど、それがまた良い。よしっ、次はどんな死に方を考えようかな。包丁で自分の手を傷つけてみるのはどうだろうか。手首を切ったら勿論、痛いし大量の血が噴出してしまう。でも、それはとても綺麗な血の噴水になっていくのだ。僕はその血の噴水を眺めながら、にこにこと笑いながら、あの世に行くために目をつぶって、それから動けなくなると思う。それはとても気持ちのいい死に方ではないか。やばい、これもめちゃ面白そうだな。でも、待てよ。手首少しきったくらいで人間ってすぐに死ぬものなのか。そんなに簡単に死ねるのなら、僕はもう既に死んでいるはずだ。僕は何度も手首が切ったり、頭から血が出たことだって意外にも結構ある。だから、手首を深く切ったとしても、死ぬことはない。では、心臓をそのまま突き刺すというのはどうだろう。それはやだ。心臓を突き刺すというのはすぐ死んでしまうではないか。僕は首を吊ったり、海に飛び込んだりしたいのはすぐには死なないからだ。すぐに死んでしまったら、僕が見たい風景がとっても短いし、下手したら見れなくなるかもしれない。それは断じてやだ。絶対にそれだけは避けたい。いや、心臓を突き刺してもそんなにすぐに死んだりしないかもしれない。そこはよく知らないので、やってみないと分からないかも。もし、そんなにすぐに死ぬもんじゃないということが分かったなら、それはとても素晴らしいものになる。そうだったら、僕は心臓を突き刺すことに価値はあるということになる。死にがいがあるのはいいものだ。でも、今考えている奴よりももっといいものはあるはずだ。・・・・・・うーん、あっ、毒というのはどうだろうか。毒だったら、そんなに早く死ぬことはないだろう。苦しくなるのはちょっとたったくらいで、苦しくなってから死ぬまでの時間は結構あるのではないだろうか。そう考えると毒で死ぬのは今考えていた中で一番いいかもしれない。素晴らしい。でも、どこで毒というものは手に入れることが出来るのだろうか。もし、毒が見つかったりしたら、どうなるのだろう。警察に捕まってしまうのだろうか。警察に捕まるのだけはやだ。どうせ、法に触れるものを手に入れたぐらいではすぐにいつか牢獄から開放することになる。そしたら、僕は世間から非難を浴びることになってしまう。そして、学校ではそれがきっかけになり、僕を虐めてくる奴が増えてくるはずだ。そしたら、僕の体や心がすべてぼろぼろになり、死ぬ気も薄れてしまうかもしれない。いつか僕は虐められるということが日常になっていくかもしれない。そんなのは絶対に嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌ーーーーーーーだーーーーーーーー。
・・・・・・毒か。毒が見つかったとしてもいいじゃないか。警察に見つかったら、その場で毒を飲み込めばいい。毒は常に持ち歩いていれば、何処でも死ぬことができる
、簡単に死ぬことが出来る。ただ、どうやって手に入れるかが問題だ。薬局とかに売っていないのか。理科の実験室なら確実にあるけど、授業中以外は入るのが難しいだろう。だが、授業中に毒を取ることに成功しても、すぐに先生にばれてしまうだろう。ばれても毒を飲めば死ねることは出来るのだが、皆の前で死ぬのは断じて嫌だ。警察は僕を捕まえることになってしまう。さっきも言ったとおり、警察に捕まることなど糞めんどくさいし、死にたいのに死ねない。牢獄に出た後の僕の苦しみがじわじわとやってきて、僕を破滅という方向に進んでしまう。だから、仕方なくその場で死ぬしかないのだ。だが、生徒や先生の前で死ぬなんて嫌だ。僕がもし、毒を飲んでしまったら、僕は倒れる。しかも、いきなりだ。生徒は僕が倒れるのを見て、最初は笑うだろうが、いつ時間が経っても立ち上がらない。おかしいとやっと気づく、(たぶん、その時には僕は死んでいる。)それはそれでいいのだがこの場合もある。先生はすぐに僕のところに駆けつけて僕の体を揺すって「大丈夫か。」と言ってくるだろう。そして、先生は生徒に「誰か保健室に連れって。」それで、生徒の誰かが僕を抱えてきて、保健室までに連れって行くだろう。僕はまだ、そのときは息があるから、誰かの体に触れてしまう。それはとても気持ち悪くて死ぬときのあの快感を感じることができなくなってしまう。それだけは勘弁してもらいたい。だから、こう考えるのはどうだろうか。あらかじめ、スポイトと小さなふた付きのビンを用意しておく。理科室での授業のときに用意していたものを取り出し、先生が見ていない隙に毒が入っているビンを開け、素早くスポイトで吸って小さなビンに入れてふたをしたら成功。これで、わりと簡単に毒を手に入れることができる。これはいい。とてつもなくにいい。素晴らしい。この僕でも出来る。くっくっくっくっくっくくっくっくっくくっくくっく。
おっと、違う世界に逝っちまうところだった。でも、楽しい。なんか、気持ちがすかっーとなった。世界がどうでもよくなったし、あのチビを殺しても無意味だと思うようになっている。僕が自分をこの世界から排除すればいいことだったんだ。
「自殺」。いままで、僕はそんなことを考えたことが一度もなかった。僕は自殺というものに恐れて、実行したくても実行できなかった。自殺する決心ができたのもあのチビのおかげかもしれない。あいつが僕にはじめての殺意を感じてくれさせた。あのチビに感謝すべきだろう。別にあのチビを殺さなくていいや。
・・・・・・いや、違う。僕はあのチビに対する殺意が今もある。あいつに感謝など必要も無い。それに、自殺をするのなら、あのチビを殺した後でもできるじゃないか。あいつだけは許さない。もし、僕が死んじまっても、てめぇだけは許さないから。だから、今は自殺のことを考えるのをやめとこう。
僕はやっと冷静になることができた。僕の殺意は前よりも遥かにある。これで、あいつを殺すことができる。あいつを確実に仕留めてこの世界から排除してやる。必ず・・・
僕の意識は前よりも遥かに殺意が強く生まれたことによって戻っていた。
・・・・・・今何時だ。僕はいつまでの時間まで考え事をしていたんだろう。たぶん、僕の体内時計は日が暮れているはずだ。僕は学校の時計を確認した。そしたら、1時20分だった。その時間は学校では昼休みだった。なぜだ。おかしい。この世界の時計は狂っているではないのか。いや、違うか。狂っているのは僕だ。僕の体内時計はすでに壊れてしまっているのだ。糞ッたれ、僕の体内時計が狂っちまったのもすべてあのチビのせいなんだ。あのチビさえいなければこんなことになるはずがなかったのに。このままでは僕のすべてが壊れてしまう。そしたら、障がい者の仲間入りだ。それは嫌だね。あの気持ち悪い障がい者なんかになりたくもない。もし、障がい者になんかなっちまったら、僕は即に自殺してやるよ。嫌だ嫌々嫌々嫌だ嫌々嫌々嫌々嫌ああ嫌々嫌ああ嫌々嫌あああああああだ。気違いなんか嫌だ。皆、僕を気違い扱いするけど、僕はあの障がい者のような気違いではない。あんな奴と一緒にするなんて人間腐ってやがる。障がい者はなにをやっても障がい者だ。だから、一回でも障がい者になれば、僕はもう二度と普通の人間には戻ることができない。
・・・・・・僕は何を考えているのだ。僕はこんなに卑劣野郎だっただろうか。あれっ、僕というのが分からなくなってしまっている。僕は何がしたかったんだろう。何を言ったかったのだろうか。あっ、そうか。昼休みにシャベルを取りに行くか。めんどくさいな。でも、これもあいつを殺すためだから仕方ないことか。
僕は誰もいない教室から出て行った。えっ、誰もいない。後ろを振り返った。矢張り、誰もいなかった。珍しいものだな。いつも、教室にはバカ騒ぎをするやつが一人くらいいて、あとは僕みたいな地味な奴らが残っているはずなのに。でも、人間はいきなり気が変わるって奴は多いからな。たぶん、こいつらもそうなのだろう。
僕は外に向かうため走った。外に出たら、太陽が僕を襲ってきやがった。眩しい。今日は何の意味があってこんなに暑いのだろう。この暑さでは僕はここから動くことは難しくなるのではないか。暑い。汚い汗がだらだらと出てきそうだ。早く動かなければならない。僕は昼休みが終わりそうなので、全速力で走った。だが、前よりも早く走ることができなかった。野球部の朝の練習のせいだ。それで、足が筋肉痛になって本気で走ることができない。走ろうと思えば走れるのだが、それだと足が痛めるので避けておきたい。
シャベルのところまでやっと着いた。僕は早速シャベルが入っている倉庫を開けた。空けた瞬間、異臭が僕を襲ってきた。これは動物みたいな臭いだと分かった。僕は鼻を押さえながら、シャベルを取った。冷たい。この冷たさは水かなにかの液体だと思って、シャベルを一旦置いて自分の手を見た。真っ赤かだった。はっはっはっはああははあああはあ冗談だろう。なんでシャベル血がついているんだ。意味が分からぬ。まさか、ほ、本当にこの中に死体があるんじゃないだろうか。僕はそっと倉庫の戸をゆっくりと開けた。そこには、なんと僕の思った通り死体がそこにあった。だが、一つ違ったのは死んでいる奴が違った。僕は野生の動物がたまたまこの倉庫に入って物が倒れたりして尖がったものに刺さったのかと思っていた。だが、僕が見た死体は人間だった。もしかすると、友達が僕を驚かすためにこうやって死体のフリをしているのかと思い、倉庫の中に入った。僕はその死体を揺さぶって大丈夫ですかと言ったが、全くもって反応しようとはしなかった。おい、ふざけんじゃねえよ。なんで、この倉庫で人が死んでるんだよ。誰だ、誰が殺されたんだ。まさか、あいつじゃねだろうか。あいつはこの僕が殺すんだ。他の奴によって殺されるなんて、そんなの嫌だ。この僕が殺すことであいつを殺す価値が出るってもんだ。あいつじゃないように祈っとこう。僕は祈りながら、その死体の顔を見た。なんと、びっくりだ。その顔はあのガミガミとうるさい先生だった。僕はそれを見て、笑ってしまった。やっと死にやがったか。先生は皆から嫌われてるだもんだな。殺されても当然の奴だ。いつも、理不尽に怒ってから、それが自分の勘違いで怒ったのに自分のせいにしようともせずに人のせいにしようとする。腹が立つ。いつも、人のせいにすんなとか他人事にするなとか言ってるくせに自分はどうなんだろうと思う。そんな奴が誰かに恨まれたりするのは当たり前だ。こいつがいつ殺されても誰も不思議には思わない。でも、一体誰が殺したんだろう。気になるなあ。まっ、いつか分かるよな。それより、あいつの殺す準備をしないと。僕はシャベルを持って倉庫の戸を閉めた。この先生の死体が見つかってしまったら、僕が犯人にされる可能性が高い。この戸には僕の指紋がある。その指紋が見つかったら、皆は不思議がるだろう。だって、掃除にあれを使う機会もないし、外庭の掃除など一度もない。
だから、確実に僕が犯人に仕立てあげるだろう。・・・・・・今そんなことを考えている暇がない。一刻もはやくシャベルを金属バットの場所に隠さないといけない。そういえば、僕は金属バットをどこに隠していたけ? 最近、僕は物忘れが激しくなっているような気がする。昨日の晩飯を忘れていたり、友達と話しかけようとすると僕は何を話そうとしていたっけとかなったり、昨日僕は何をしようとしていたっけなど、僕は色々なことを忘れていている。そういえば、時間が経つほど過去の記憶がなくなっている。それより、金属バットの場所だ。どこだっけ。あっ、そうだ。自分の教室の掃除道具入れの裏に隠したんだ。早速、教室に行くか。
僕は急いで走っていた。っていうか、僕はさっきから走り回っているような気がする。疲れてしまう。このままでは、足が使い物にならなくなるかもしれない。でも、これもあいつを殺すためのことなんだ。足が使えなくてもこの手でいつか殺してやる。僕はそう考えているといつのまにか教室に着いていた。
僕は掃除道具入れの裏から金属バットを取り出した。金属バットがあるかチェックするためだ。僕は掃除道具入れの裏にシャベルを置いて、金属バットを持ったまま外に向かった。僕は殺されていた先生の倉庫に向かっている。倉庫に着いた瞬間、戸を開けバットで死体を叩きつけた。何回も何回も。顔を金属バットで叩かれる度に顔の形が変わってきている。僕は顔を変わるのを見て、爆笑をした。
なんだ、この顔は。先生の顔が滑稽な顔になっちゃてるじゃん。いや、元々滑稽な顔をしているじゃないの。もっと、もっと、叩け。こいつの顔がなくなっちまえ。あいつも僕に殺されるときもこんな感じになるのかな。ぐへへへへっへっへ。楽しくなってきたぞ。
僕はそれからというものも止めずに何度も金属バットで死体の顔を叩きつけていた。そのうちに死体の顔は大変なことになっていた。肉が剥げて、骨が丸出しになっている。歯もほとんど抜けていて、ジジィやババァの歯になってしまった。ときどき、知が飛び散って僕の顔につくときがある。そのときは汚いと思い、前よりも思いっきり力を込めて叩きつけてやった。
顔を叩きつけるのは飽きた。次は体にしよう。金属バットを思いっきりと振ってと。体をぐちゃぐちゃになるように力を込めて。・・・・・・やっぱ、楽しい。叩く度に体が変形するのだ。笑えるね。バカみたいに笑えるよ。殺すのってこんな感じなんだね。ぐふふふふうふふふふふっふ。素晴らしい。美しい。こんな人間でも美しい形になるんだね。なんだろう。この気持ち。叩きつける度に薬を飲んだときの気持ちになっちゃうね。(それより、僕は薬など一度も飲んだことがないのにそんなことよく言えるね。僕は腐っているんだろうね。それとも、狂っているのかな。まっ、どっちでもいいか自分のことだし。)とにかく、僕は気持ちがいいのだよ。なんかね、清々しい気持ちなんだろうかな。でも、それよりもなんか気持ちがスカッーとなってるんだよ。たぶん、僕が何を言ってもこの気持ちは伝われないだろうな。まっ、この気持ちは僕の中だけで感じとれるから最高なのかもしれないけどね。とにかく、僕は気持ちがいいのだ。ただ、それだけは分かって欲しい。 おーおぅ。すごいなあ。あの先生の体がとてつもないことになってしまっているじゃないか。胃やら腸やら心臓までもが体内から出てきた。(他にも色んなものが出てきたが、そこまではめんどくさいので省略する。)僕はその体内から出てきたものを顔を近づけた。近づけた瞬間、鼻から強烈な異臭が僕を襲ってきた。僕は反射的に鼻を押さえた。押さえら、異臭は前よりは和らげられたが、やはり臭いのは変わらない。それより、鼻の中に何か硬いものが入ってるような気がする。ふん、ふん。僕は片方の鼻の穴を押さえて、ふんと押さえていない方の鼻から思い切り息を吐いた。そしたら、肉の塊が出てきた。しかも、その周りは赤い血がついていた。どうやら、あの死体を何度も痛めつけていたら、奇跡的に鼻の中に入ってしまったのだろう。僕は少しその肉の塊を観察してみた。
うーん。なんか気持ちが悪いな。スーパーの生肉をよく見るが、死んで当分経つ死体と死んで間もない死体とでは全く違うものだ。まず、見た目だ。スーパーの生肉は食用だから、生肉だとしても美味しそうに見えてしまう。対照的に死んで間もない生肉はとても食べ物とは思いがたい。しかも、全体的にほとんどが血だらけだ。次に、臭いもある。どちらも生肉だから、とてもじゃないほど臭くて誰でも瞬間的に鼻を押さえてしまうだろう。だが、スーパーの生肉と死んで間もない生肉の違いは臭いの強さである。スーパーの生肉もある程度は臭うが、顔を近づかないとそこまで臭いはしない。死んで間もない生肉は顔を近づかなくても異様な臭いが漂っているのが分かる。だから、こちらの方がわりと速い段階で鼻を押さえてしまうだろう。僕はこの死んで間もない生肉の二つの欠点から気持ち悪いと結論をつけたわけだ。それにしても気持ち悪いな。これが、僕の鼻の中に入っていたから、余計に気持ち悪く思ってしまう。というか、気持ち悪いよりもゾッとする感じだ。
でも、待てよ。これを臭うと気持ち悪くはなるが、なぜか時折気持ちよくなったり、酒を飲んだように酔ってしまうような感じがするのはなんだ。これが、本当に薬を飲んでいる感覚になのかな。
僕は死んで間もない生肉が気になり、顔を近づけてクンクンと何度も匂ってみた。うわーーー。やっぱり、おかしい。なんで、こんなに僕はすっきりとした感じになってしまうのだろうか。臭いと自分では思っているはずなのに、なぜ、このような気持ちになってしまうのだろう。もう一回だけ匂ってみるか。クンクン。なんだ、野生の感じの匂いがしてきたぞ。あっ、そうか。人間って野性みたいなものか。だって、僕はどこかの動物に飼われているわけじゃないし。外で過ごす日々も決して短いというほどではないからな。野生と言えば野生なのだろう。
ハ、ハクション。あれ、風邪なのかな。いや、そんなわけないか。まっ、一応確かめてくか。
僕は何が鼻に付いているか確かめるために鼻を擦った。そしたら、手には毛が付いていた。たぶん、あの死体の毛も飛び散って、鼻の周りに付いたのだろう。だが、金属バットで叩くだけで、色んな物が飛び散るのだろうか。
汚いはやっぱり。人間の毛が僕の鼻に付くなんて、僕は汚れてしまった。この鼻はたぶん使い物にはなれなくなるのだろう。あーあ、僕の鼻が可哀想だね。まあ、どうでもいいか。この鼻が使い物になれなくなっても、別に生活に困るわけじゃない。ただ、匂いを感知するものに鼻は使われるから、別になくたって生活には支障しない。逆に僕は良くなるような気がする。だって、鼻が使えなければ、食べ物の匂いとか全く分からない。臭いけど味はいいと言われている食べ物がたくさんあるだろ。そんなときに、鼻が機能しなければにおいを嗅げなくて、何のにおいがするのか分からなくて、美味しく頂くことが出来るのだ。それは超ラッキーじゃないか。だから、見た目が異常に気持ち悪い奴以外はほとんど食べれるようになる。
そういえば、今の周りの状況はどうなっているのだろうか。僕は辺りを見回した。誰もいなかった。昼休みにはバカ騒ぎをする奴いるはずなのに。なにかがおかしい。まさか、ここにいた中学校にいる全員どっかに消えてしまったとか。それだったら、僕はあいつを殺さずに済む。でも、やっぱりあいつを殺すのは僕の楽しみにしている一つのような気がする。学校には行きたくないな。消えたら、学校に来なくても良くなるのはいいと思うのだけど。
・・・・・・そんなことあるわけがないか。だって、中学校の奴らが消えてしまったら、この先生も消えているはずだ。おかしいだろう。たぶん、それよりも今の状況だったら、人間がいない方が助かるではないか。今の僕の姿を見た人がいるなら、サイレンの音が聞こえて、僕は逃亡しなくてはいけない。たぶん、どうせ逃げてもすぐに捕まるだろう。それだけは断じて嫌だから、今はいない方がいいだろう。しかも、僕はこの先生を殺していないのに有罪にされて少年院に入れられてしまうのは確実だ。
そんなことを気にしてもしょうがない。今はこの先生を叩きまくることだけに集中しておこう。えっと、金属バットを持って、思いっきり振りかぶって、どーんと叩き降ろす。
ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ。すげー楽しいな。ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ。なんのこの音。めちゃいい音がする。ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ。すげぇ、気持ちがいいだけど。ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ(本の2ページ分ぐらい書く。)いやあ、ははははははははははっははははっはははっははっははっははははははははっはは。楽しくて楽しくてやめられない。あれから、何時まで叩きつけていたのだろうか。
僕は時計を見るため、運動場に向かった。時計は運動場側の校舎の上に大きな時計がある。時計を確認した後、まだ昼休みが終わってないことが分かって、あの倉庫に又戻った。
もちろん、足を引きづりながら。
僕は先生の死体を見てあることに気がついた。彼の体は意外にも体中に毛だらけだったことに。これは意外な発見だった。これを生徒たちが知れば大騒ぎするだろうな。
それにしても、大変なことになった。さっき、気が狂って先生の体を滅茶苦茶に体を痛めつけていた。そのせいで、先生の前の面影が完全に分からなくなってしまった。さすがにここまでやると僕は少し殺りすぎたと思ってしまう。もう、そろそろ昼休みが終わるみたいだから、この辺にしておいたほうがいいだろう。
僕は早速、先生の死体が入っていた倉庫に前と同じ場所に入れた。そのせいで、手が血だらけになり、体内に入っていたものも付いてしまった。要するにゲロというものだ。これで、僕の手が使えなくなってしまった。でも、手がつかえなくなるといいことがある。
一つは、食べ物を食べなくていいことだ。僕は毎回思う。なんで、食べるときに手を使って食べないといけないんだ。それだと、飯を食べるたびに茶碗とか持たないといけない。それだと、手が痛くなってしまうじゃないか。でも、もし手が使えなくなったら、こんな悩みなど解決する。
二つは、ノートに文字を書かなくて済むことだ。僕は毎回思う。なんで、授業で書かれた黒板をノートに書き写さなければいけないだ。それだと、授業するたびにノートを書き写すために鉛筆を持たないといけない。それだと、手が痛くなってしまうじゃないか。でも、もし手が使えなくなったら、こんな悩みなど解決する。
このことにより、僕にとって手は必要ない。というか、手なんていらない。
僕はどうせ手なんかいらないから、先生の体内のものが付いても平気だ。
先生にはもう用はない。僕は倉庫の戸を閉めた。それよりも、あいつを殺すための準備をしなければならない。殺すのは簡単としても、やはり死体処理は大切な作業だ。ここで、失敗したら少年院に一直線だ。金属バットは血だらけになっているから、水道水で洗わないといけない。
僕はすぐ隣にあった水道水の蛇口をひねった。そしたら、どばーとおもいっきり水が出てきた。まるで、僕が先生を金属バットで振った勢いと似ていると感じた。気持ちいい。冷たい水が僕を急激に冷やしてくれる。それは、太陽よりも急激だ。冷たくてこの真夏の太陽には丁度いい。
僕は早速血だらけの金属バット擦りながら洗った。赤い血は何とか落ちたが、黒い血は何度擦って洗っても落ちなかった。僕はそこら辺にあったブラシを使って擦ったら少しだけは落ちた。僕はこれ以上は落ちないと判断し、仕方なく蛇口を閉め、教室に戻ることにした。
教室に戻ったとき、やはり僕以外の生徒は誰もいなかった。気になってしまう。なぜ、生徒が一人いないのを。僕は教室の後ろにある黒板を見ることにした。後ろの黒板にはその日の日課が書いてある。えっと、今日は一時間目から・・・・・・えっ、今日ってまさか広島学習だったのか。ということは、今日は誰もいない。一年生は宿泊学習で三年は修学旅行で二年はただの学習だ。だが、今日一日は帰ってこない。帰ってきたとしても夕方の六時くらいだ。帰るのは学校ではない。そう、家なのだ。だから、あのチビもここに来ることはない。
僕は膝から崩れ落ちた。僕の計画が全て台無しになってしまった。これで僕はあいつをこの世から排除することができない。僕は死のうと思った。教室の窓から飛び降りた。
・・・・・・死ななかった。そのかわりに固い石に当たって頭から血が出た。そういえば、この教室は一階だったのか。これじゃ、死にたくても死ねないや。はははあっはハッははあははぐははっはあっはははっはっはぐははっはあっはっはははっは。なんかどうでもいいや。人生がめんどくさくなった。誰か僕を殺してくれ。誰か僕を殺してくれ。誰か僕を殺してくれ。誰か僕を殺してくれ。誰か僕を殺してくれ。誰か僕を殺してくれ。誰か、誰か、誰か、僕を殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
殺せ。殺してくれーーーーーーーーーーーー。
・・・・・・あーあ。誰もいない。誰も僕を殺してくれる人がいない。だれか殺してくれ。
僕は胸の中にある騒がしいものを取り除こうとするために仕方なくいままで手に持っていた金属バットを振り回すことにした。振り回すことにより、騒がしいものがどっかに行ってしまった。
これからも校庭を何度も走り回っていた。金属バットを振り回すと危ないと思い、さすがに、金属バットを振り回しながら、走りはしなかった。くそ、くそ。なんでだ。僕はあいつを殺すために野球部の朝の練習したり、シャベルを取るために校庭を走り回っていた僕は一体なんだったのだうか。まるで、僕はバカ騒ぎする奴の一人と思われてしまうじゃないか。
気がついたら、僕は校門の前にいた。僕は学校の外を見て、家に帰ろうと思い、校門を潜ろうとしたら、遠くのほうからある一人の男の影が見えた。僕は咄嗟に校門にある物陰に隠れた。物陰から男の影を追うと、その影は校門のほうに近づいてきている。僕は極限までに自分の姿が見られないように物陰から観察していた。
・・・・・・数十分後にはその男は校門の前に辿りついた。だから、顔もくっきりと浮かび上がっている。その顔はあのチビだった。僕は嬉しくてその物影から飛び上がった。そしたら、あのチビは僕の姿に気づいてしまった。しまったと思ったときは既に遅かった。僕は仕方ないと思い、あのチビの前に姿を現した。
そして、その瞬間に僕はあいつに襲い掛かったのだ。そう、金属バットを思いっきり頭に叩き付けた。あいつは痛そうな顔をしたが、抵抗した。僕は落ち着くことが出来ず、興奮したままあいつを叩きつけようとした。そしたら、あいつと間違えて地面を叩きつけてしまった。地面を叩きつけた反動で手を傷めてしまう。僕はやばいと思い、金属バットを慌てて取ろうとしたが、既に遅かったのだ。しかも、取るの失敗して、転げて落ちたのだ。
あいつは金属バットを持った瞬間、さっきまで震えた体も余裕な感じで、僕を上から見やがった。そして、あいつは僕の頭に目掛けて、思いっきり叩き付けた。僕は頭をかばうために手で頭を覆ったのだが、あいつの金属バットで叩く力は相当なものである。だから、手はボロボロになって、本当に使い物にならなくなった。
痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、(本の半ページ文)
僕はなんでこんな目に遭わないといけないんだ。どれもこれもあのチビのせいなんだ。僕は何もしていない。何もしていないはずなんだ。できるだけ、人に対して優しく接していたはずだ。僕は賛美される人間なんだ。こんな、人に傷つけられることはしていない。だが、あいつは傷つけられることをいままでしていた。だから、あいつには傷つけれる義務がある。僕はそんな義務などない。なんで、僕が。なんで・・・・・・
・・・・・・それからも何度も叩きつけられた。そのせいで、鼻は完全に使い物にならなくなった。まさか、本当に使い物にならなくなったとは。僕はこのまま死んでしまうのだろうか。嫌だ。あいつだけに殺されるのは嫌だ。死にたくない。
僕はそんなことを思い、必死な気持ちで立ち上がった。立ち上がった僕を見たあいつは驚いた顔をしていた。その顔はとても滑稽だ。僕は立ち上がって、今の状況では勝てる気がしないので、逃げるために正門のほうに向かった。正門を抜けた瞬間、車が通る音が聞こえた。どうやら、車が来てしまったようだ。このままだと轢かれてしまうのだが、今の僕の体では方向転換などできない。だから、前にしか歩かなかった。そうすると、車が来て僕の体に思いっきり激突した。そのせいで、足は完全に使い物にならなくなった。まさか、本当に使い物にならなくなったとは。
痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ(本の一ページ分)
なんで、僕が車に惹かれないといけないんだ。僕はどんだけ運がないんだ。このままだと僕は死んでしまうじゃないか。体中から出血している。僕の血が全部なくなってしまうかと思うぐらい出血している。たぶん、今、貧血かもしれない。だって、寝ているのにクラッとなるんだよ。今の体では、動くことなど到底無理だろう。何度も立ち上がろうとしてもできない。僕のこのままあいつに金属バットで叩かれ続けるのだろうか。僕はなんでこんなにも叩かれているのかな。僕はあいつに何もしていないはず。あいつは僕を傷つけたから、別に金属バットで叩かれても問題はない。もう、こんな状態だから、いつか死ぬだろう。
だから、遺書を書いて正解だっだかもしれない。「僕はこの世の中を見て失望しました。」これは本当にそうかもしれない。あいつに失望したから、こうやって殺人計画を考えたんだ。あいつが僕をこんな風にさせたんだ。絶対に許すことはできない。殺してやるんだ。必ず・・・・・・
・・・・・・僕を轢いた車は何処かに行ってしまった。要するに轢き逃げだ。たぶん、僕が車で人を轢いてしまったら、僕もコイツと同じで轢き逃げするだろう。僕は車で轢かれてしまったせいで、全く体が動かなくなった。なのに、あいつはまた僕に近づいてきて、金属バットで叩き付けた。
ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ(本の一ページ分)
あいつは本当に僕を殺す気でいる。なんで、人間は武器を持ったら、そんなにも余裕な顔ができるのだろう。さっきの僕もそうだった。武器を持っていたから、あいつを普通に殺せるだろうと考えていた。だが、武器を失った僕はただ、怖くて震えることしかできない。そんな自分がダサくて笑えてしまう。くっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっ・・・・・・
・・・・・・笑ったら、人生がどうでもよくなった。今の僕だったら、死んでも何の後悔もしない。どうせ、人間に生きてる価値なんてないのだから。僕も含めてそうだ。だから、死んでも後悔なんかするもんか。だって、生きている実感を感じたことは一度もない。これから、それを感じる予定もない。早く、僕を殺してくれ。誰に殺されてもいいんだ。あいつでもいいんだ。とにかく、僕を殺してくれ。もう疲れたんだ。
そんなことを云っている間、あいつは僕を金属バットで痛め続けている。僕はもう既に死ぬ覚悟はできている。早く、僕を殺してくれ。早く、殺してくれ・・・・・・
・・・・・・あいつは金属バットで僕を叩きつけることを止めた。なぜ、あいつは止めるのだ。このまま殺してくれ。お願いだから、殺してくれ。そう云ったってあいつは金属バットで叩き殺さなかった。なぜだ。あいつはなんで僕を殺そうとしないんだ。このままにするとかはないだろうな。早く、殺せ。
それでも、あいつは金属バットで叩き殺さない。仕舞いにあいつは金属バットを手から離した。そして、僕に近づいた。気づいたときにはあいつが僕の目の前にいる。僕はその顔を見て醜いと思った。その醜さはとても滑稽で、僕は笑ってしまった。
ははっははあっははははっはははっははははっはははっははっははっはははっははははっははっははっははっははっはははっははっはははっはははっはっはははははっははっははっははっははっははっははっははっはははっははっははっははっははっはははっははははははははっははっははっはははっはっははははっははっははっははっははっははははははっはははっははっははっはっははっははっは(本の二ページ分)・・・・・・
・・・・・・殺してくれないのか。もう一回、金属バットを持ってくれないかな。そして、僕を痛めつけてくれないかな。殺してくれないかな。殺してくれ。なぜ、金属バットを持ってくれないんだ。なぜ、僕を痛めつけてくれないんだ。殺してくれよ。殺せ。殺せよ。殺す気がないんなら、なぜ僕をあんなに痛めつけたんだ。そっちが殺す気がないなら、僕がお前を殺してやる。
僕は立ち上がることはできなかった。だが、金属バットを銜えれる距離にあった。僕は金属バットを銜えた、あいつの脚に目掛けて、横に振った。そしたら、あいつの脚に直撃した。僕はあいつを脚に直撃して笑う。
ひっひひひひひひっひひひいひひひひひひひひひひっひっひいひっひひひひひひひひひひっひいひひひひっひひひひいひひひひひいひひいひひひいひひひひひいひひいひひひひいひひひひひいひひひひいひひひひひひいひひひひひひっひひひいひひひひいひひひいひひひいひひひひひひひひひひいひひひ(本の一ページ)・・・・・・
・・・・・・僕は金属バットを銜えたせいで、歯が何本か欠けてしまった。その欠けた歯を見て、歯を少し観察してみたら、新たな発見した。取れた歯に肉みたいなものがあったのだ。僕はそれをみて、死ぬ覚悟ができた。
あいつは僕の口に向けて金属バットで叩いた。そのせいで、口は使い物にならなくなった。でも、口が使えなくてもいいことはたくさんある。口が使えなくなれば、人と話さずにすむ、要するに傷つく必要もない。そしたら、こんなことにもならなくなったはずだ。死ぬことなんてない。死ぬ前に言いたいことを言おう。人間なんていらない死ね。それだけだ。
・・・・・・視界に見覚えのない風景が現れた。天上や壁は全て真っ白であった。もしかして、ここは天国なのではないか。天国はこんなに真っ白だっただな。でも、良かった。僕は地獄に逝くのかと思っていたが、いいことをしてきた僕は矢張り天国なんだな。死んだら、あいつに会えなくて済む。そして、他人と話すことなく人生を過ごせるんだ。これが、僕の本当の天国なんだ。
そんなことを思っていたのだが、自分の寝ているところを見たら、何処にいるのか理解できた。
僕は病室にいるのだ。病室は真っ白な空間にある。だから、病室は天国を表しているのではないか。そしたら、患者の心が癒されて生きやすくなるのではないか。それより、もっと重要なことがあるのではないか。なんだっけ・・・・・・
・・・・・・そうだ。僕がなんでこんな世界に生きているのかだった。すっかり忘れていたな。なんで、生きているんだろうな。僕はあいつに排除されたんじゃないのか。僕はこの世界から存在していないのではないか。それなのに、なんで僕は此処の世界にいるのか。
まさか、「ひぐらしのなく頃に~崇殺し編~」みたいに違う世界に入ったみたいな。それだったら、僕の存在はいままで住んでいた世界とは違うのか。皆に好かれている僕なのか。皆、「気持ち悪い」とか言葉の虐めとかなかったのか。
もし、そうだったらそれがどうしたんだ。それが分かったとしても、体が変わることはない。何回、動かそうとしても体が拒絶して、動かないんだ。僕は「障がい者」になったということは今は変わりはない。どうせ、この体だからどんな治療をしたって、体を動かすことは不可能だろう。僕は死ぬ間際に言ったことが本当になるとは思わなかった。死ぬ間際じゃなかったか。僕は現に生きているんだった。どの世界かは分からないけど、生きているんだよな。
なんで、あいつはこんな体にしてまで、僕を生かしたんだ。こんな体だったら、あいつは生かしても何の利益にもならない。まさか、ただの僕に対する虐めだったとか。僕が苦しんで死ねということなのか。あいつは相当な最悪やろうだっただな。たしかに僕はあいつを殺そうとした。だが、金属バットで一撃与えただけで、もう一回は興奮して地面に叩きつけて、その反動で金属バットが手から離れてしまい、それがあいつの手のほうに行った。
だから、僕はあいつを金属バットで一回しか攻撃しかしていないはずだ。あいつを僕がこんな体にするまで攻撃したつもりはない。待てよ、よく考えたら僕って一回だけじゃなかった。気絶する前に金属バットを銜えてあいつの脚に攻撃したっけ。そのせいで、口も使えなくなったんだよな。
そうか。僕はほとんど何も使えなくなったのか。でも、もしかしたら、寝ている間に治ったりして。
僕は最初に手を動かすことにした。グーパーとやろうとしたが、全然体は言うことを聞いてくれなかった。
次は脚を動かすことにした。脚を上下に動かそうとしたが、これも全く動かなかった。
次に鼻でクンクンにおった。普通は花瓶にある花の匂いは分かるはずなのに、今の僕には何のにおいか分からなくなった。
最後に口を動かすことにした。口は僅かに開いたのだが、声を出そうとしても、喉が拒絶して出なかった。
目と耳は使えることは分かる。目は周りの風景が見えるから使えるだろう。耳はさっきから看護士の雑談が聞こえるので使えるだろう。
僕が使えなくなったものは、「手」「脚」「鼻」「口」だ。殆どの人が当たり前に使えることができるのが、僕にはできなくなった。僕は昨日と今日は別人に思われた。
まるで、「ひぐらしのなく頃に~祟殺し編~」ではないか。僕の昨日は普通の世界だった。だが、今日の僕は何処かの世界からやってきたのか、それとも僕は何処かの世界に入ってきたのか。でも、それが分かって何になるのだろう。僕は何も出来ない。死ぬこともできない。この事実から逃れられることは出来ないのだから。
こんなことになるんだったら、殺人計画を考えなければ良かった。というより、もう少し考えるべきだった。僕はあいつだから、簡単に殺せると思っていた。適当に金属バットを振っていたら、死ぬだろうと思い、そこまで深く考えなかった。人間というのはそう簡単には死ぬことは出来ぬ。僕は頭がおかしかったのだろうか。狂っていたのだろうか。僕はいつから狂ってしまったのだろうか。
・・・・・・そうか。冷めた部屋のドアを開いてからだ。僕はあそこで冷静になって、「ひぐらしのなく頃に」の圭一みたいに人を簡単に殺せると思っていた。でも、僕は弱くて、皆からひょろいと言われていった僕だったから、あいつを殺すことが出来なったたんだ。僕は冷静になっていなかったんだ。あいつを殺したいという強い殺意が頭の中に充満していて、僕は狂っていたんだ。
・・・・・・そう考えていたら、看護士の声が聞こえた。「〇〇さん、食事の時間ですよ。」と大きな声で叫んだ。その大きな声は久しぶりに聞こえて、懐かしいと思った。そして、看護士は僕の姿を見て、驚愕な顔をしていた。僕は不思議そうに看護士の顔を覗き込んだが、(目しか動かすことが出来ないが)なぜそんな顔をしたのか分からない。そしたら、看護士は食事を置いて、何処かに行ってしまった。僕は仕方なく看護士が戻って来るだろうと思い、待つことにした。
数十分後。やっとさっきの看護士が来たが、その隣には白衣を着た男の医師が居た。僕はその光景を見てすぐに理解した。たぶん、僕が目覚めていることがありえないのだろう。
僕が推測したことは当たっていた。
医師は「君が一日で目覚めることは凄い。普通の場合だったら、一ヶ月以上は目覚めないだろう。たぶん、君が生きたいという気持ちが強かったからこんなに早く目覚めることが出来たんだ。そういう人はだいたい大切な人がいるから、死んでたまるかと思うのだよ。」と言った。僕は「何を勝手なことを言っているんだ。僕は一日で目覚めたくなかったんだ。僕はこのまま一生目覚めなかったら良かったんだ。医師よ。何を勝手なことを言ってやがる。僕は生きたいと思ったことなど一度もない。僕は常に死にたいと思っているのだ。しかも、生きたいと強く思っている奴は大切な人がいる。本当にそう思っているのか。強く生きたいと思っている奴は本当に大切な人がいるのかと聞いているんだ。なぜ、そうだと断言ができる。確かに大切な人がいるから生きるという人もいるかもしれない。だがな、こういう人もいるんだよ。何かが起こって欲しい。生きていたら何かが起こるかもしれないという人もいるんだよ。実際に僕がその一人なんだ。いままで、生きたのは死ぬのが怖いというのもあるが、何かがあるかもしれないというのあったからなんだ。そのことを医師が偉そうに言うじゃない。」とは言えなかった。僅かに口が開いても、声にすることは無理だった。
僕の怒りが頂点になったが、それを発散するための体が使えなくなった。表情に出すことすら出来なかった。暴れることも出来ずにただ、医師の顔を見つめることにする。医師の顔は素晴らしく整っていた。目は二重でまつげも長い。眉毛は薄すぎず、濃く過ぎずに丁度いいぐらいの感じになったいる。唇は薄くて、カラカラに乾いていなかった。鼻は高くて小さかった。髪型は茶髪で俳優のように整っている。要するに完璧な顔だった。たぶん、女でも男でもすれ違ったら、振り向くような美しい顔だった。輪郭もキリッと整っている。
僕は自分の顔を思い出しながら、医師の顔と見比べた。圧倒的に医師のほうがカッコいい。たぶん、僕がどんなに整形手術をしてもあんな顔に近づくことは到底無理だろう。僕もあんな顔で生まれていたら苦労はしなかっただろう。僕の人生は薔薇色だったに違いない。
僕は医師の美しい顔を見て、怒りの頂点を通り越してしまったが、矢張りそれを発散するための体を動かすことは不可能だった。だが、医師を目で睨みつけることを知って、医師を睨みつけた。たぶん、その目はいままでになく、恐ろしく、違う見方をすれば醜い目になっている。とにかく、僕は医師を殺意の目で見た。
医師を僕のそんな目を見て、「なんちゅう目をしているんだね。そんなに僕を睨まなくてもいいじゃないか。君に気を触るようなことをしていたら、謝るよ。ゴメンネ。だから、僕を睨まなくてくれ。そんな目で見られると僕は気が弱くて、精神的にまいちゃうよ。」
と言った。
あの医師の精神がおかしくなったら、こっちにとっては好都合なので、さっきもよりも強く医師を睨みつけた。「本当に止めてくれないか。困るんだよね、そんなことをされたら。君は僕が悪いと思っているのかね。僕が君の体を治せなかったことを。そんなの無理だね。たぶん、どんな医師に相談したって、治すことは不可能だって言うさ。君の体は一生治すことは出来ない。それは僕が保障するよ。」どうやら、医師は怒っているようだ。
僕はその言葉にさらに怒りを覚えた。怒りを感じていると隣に居た看護士が「それは言い過ぎです。この方が睨みつけたってなんなんですか。怒ることはないです。この人だって色々な事情があるんです。たぶん、あの方は怒りを感じているんです。でも、その怒りを発散するには睨むしか出来ないのです。だから、どうか怒りを抑えてください。」と医師に言った。
だが、医師はとんでもないこと口に出した。「それがどうしたんだ。お前がどうこう言う資格もないのだろう。どうせ、てめぇは俺の体にしか興味ないだろう。いつも、やりたそうな顔で俺に近づきやがって。俺はな、てめぇみたいなブスに興味はないんだよ。それが分かっているから、そんな糞みたいな口答えをしたんだな。そして、てめぇはこのブス患者みたいなブスだから味方についたんだな。」看護士も医師を睨みつけて「何てことを言うのですか。私のことを言ってもいいですけど、患者のことをブスとか言うのは止めてください。この方も聞こえているんですよ。どんなことがあっても暴言を吐くのはいけません。患者様に心地よく過ごせるようにすること。それが病院に勤めている私たちの定めです。」と言った。
その言葉を聞いた瞬間、医師は看護士の頬を叩いた。そのせいで、看護士の真っ白な肌に叩かれた所が真っ赤になった。「患者に心地よく過ごせるようにするだと。患者はな、ただの金を払ってくれる客なんだよ。病院はただの商売なんだ。金があれば、体を治してやる。はっきり言って、ミスとかどうだっていいんだよ。俺に金があればそれでいいんだ。患者が死ぬとかはどうだっていんだ。大事なのは金しかないんだ。そういえば、こんな暴言を吐いてしまったのや君を殴ってしまったのもこの患者のせいなんだよな。こいつを殴ればそれで済むじゃないか。」そう言って、医師は僕に近づいた。
その光景を見た瞬間、僕があいつを殺そうと決めたときのことを思い出した。僕はあのチビに悪口を言われて、あいつを殺せばこの怒りはなくなると思った。それで、あいつを殺そうとしたが、結局殺せずにこんな風になってしまった。要するに僕はあの医師と同じことをしたのだった。
僕はこの医師に殴られる覚悟が出来た。これで、医師の怒りが収まれば。そうしたら、看護士が必死に医師が殴ろうとしていた手を押さえた。「止めてください。この人は体が目と耳しか使えないのですよ。殴ったせいで目が使えなくなったらどうするのですか。医師が我慢しなくてどうするのですか。あなたが言っている金は客が来ないと意味がないのですよ。もし、この患者を殴ればあなたの名誉や信頼はすべて失うのです。金も失ってしまうのです。だから、患者を殴るのは止めてくください。」
僕は看護士に医師を殴るのを止めないでほしいと言いたかったのだが、声に出すことは無理だった。僕は医師に殴られてしまうような行為をしてしまった。だから、僕は殴られて当然の人間だ。止めないで欲しい。
そう思っても看護士が医師の手を止めた。「なぜ、君は殴るのを止める。俺はこの患者という奴が嫌いなんだ。なんで、この俺が睨まなければならないのか。俺はこいつになんか言ったのか。俺はそんなこと一つも言っていないはずだ。それはそうだ。俺はこいつに気遣いしたからな。なのにこいつは俺を睨んだ。ふざけんじゃねえ。なんで俺がこんなに非難されなければならないのか。非難されるべきなのはこの患者じゃないのか。なぜ、いつも俺が悪者にならないといけないのだ・・・・・・」
その言葉を聞いて、僕は反省するべきだった。僕はまた人を悪者にしてしまった。「それでも、患者を殴るのは良くないです。ダメなんです。」看護士は今も医師の殴る手を止めていた。
そうすると、医師は看護士を殴った。「いい加減にしろ。なぜ、君は止めようとする。止めたら、こうなることは分かっていたはずだ。こんな患者を守る必要はないだろう。君の中では患者が第一なのか。その考えはおかしいだろう。」
医師は看護士を殴った後、何処かに行ってしまう。看護士はその場に倒れて、動かなくなっている。僕は仕方なく看護士に声を掛けられずにただ見つめていた。そうしたら、看護士は「大丈夫ですよ。心配しなくても・・・・・・」と言いながら僕に近づいていた。
看護士の顔は決してブスではなかった。しかも、モデルみたいな綺麗な顔立ちだった。そんな顔に医師が痣をつけた医師は最悪だと思う。そして、医師が看護士に殴るきっかけをつくった僕はもっと最悪だ。
僕は目を下に向けた。そんな僕の顔を見ていた看護士は声を掛けた。「どうしたんですか。なんで、そんなに落ち込んでいるですか。まさか、私が殴られたのは自分のせいだと思っているんですか。もし、そう思っていたんなら、それは勘違いです。私はただ、医師の患者に対する愛情というものがなかったから、怒っただけです。殴られたのは私の発言だからです。患者様には責任はありません。」
この看護士は何を言っているのかと思う。何故、自分が傷ついたにも関わらず、しかも、その原因はこの僕なのにそんなに僕を庇ってくれるのだろう。こんな人を見たのは僕の人生で初めてだ。この人は天然なのか正義主義者なのかよく分からない。だが、僕はこの人に感謝しなければならない。僕は殴られれば良かったのにと思っていても、看護士は医師が殴るのを止めて、僕を救ったことには変わりはない。
僕は感謝の言葉を伝えるために看護士の顔をずっと見つめることにした。それにしても可愛いらしいなと思う。目がクリッとしてでかく、まつげが長い。唇は薄く、ひよこ唇が似合うものである。耳は小さく、簡単に手で捥ぎ取りそうなくらいだ。髪型は長めで、ポニテールが絶対に似合う。
僕はこの人のことに惚れていると気づいた。たぶん、人間で惚れたのはこれが人生で初めてかもしれない。いままでの僕は二次元というアニメにしか興味が湧かなかった。だから、友達に好きな人はいると言われたら、「この世界には居ない人ならいるけど」としか答えることは出来なかった。そんな僕が普通の人間に惚れるなんてありえない。まさか、僕は金属バットで何回も叩かれたせいでおかしくなっているじゃないか。
そんなことを考えていたら、看護士がまた声を掛けた。「如何したんですか。さっきから私の顔を見つめていて。私の顔に何かついていますか。・・・・・・まさか」
まさか、僕が看護士の惚れたことがばれたんじゃないのか。もし、ばれてしまったらこの看護士に笑われてしまう。それだけは何があっても嫌だ。僕はやっと生きる道が見つかりそうなんだけど・・・・・・
「まさか、お腹が空いたのですか。」がたっ。体が動いていたらそうなっていただろう。でも、良かった。どうやら、僕が看護士に惚れていることはばれていなかった。というか、なんで看護士の顔を見ていただけで、お腹が空いたということになるんだろう。僕は別にお腹がぎゅうーと鳴っている訳じゃないのに。
ぎゅうー。「やっぱり、お腹が空いているじゃないですか。じゃあ、今からお食事を用意させていただきますね。」そう言って、看護士はステップを刻みながら、何処かに行ってしまった。
僕は恥ずかしくて、顔が真っ赤になっていた。なんでこういうときにいつもお腹がなってしまうのだろう。普段はそこまで鳴らないのに、大事な場面でいつもお腹がなってしまう。もしかしたら、今の腹の音で嫌われてしまったんじゃないのか。あの看護士はお食事を用意すると言っているけど、本当は僕から避けるために何処かに行ってしまったじゃないのか。だったら、ここにはもう二度と帰ってくれないじゃないか。それだけは嫌だ。僕はやっと生きる道が見つかりそうになったのに・・・・・・
そんな不安を抱いて数時間後に看護士は戻って来てくれた。「患者様、お食事の用意が出来ました。今日のご飯は手間を掛けてみました。患者様の好き嫌いはご存知ないのですが、すべて嫌いな人にも食べられるように美味しくさせていただきました。どうぞ、召し上がりください。」そう言って、次々と食事の皿をベッドについたあるテーブルの上に載せた。体を起き上がれることができないので、なにがあるのかよく見えない。
それを察したのか、看護士は食事の説明を始めた。「患者様は口が僅かにしか開くことが出来ず、歯で噛むことが出来ないので、食べ物を液体状にしました。・・・・・・。」
そう言って、ジュースを入れる容器にストローがついたものを僕の口に近づけた。僕は僅かに開く口でストローを銜える。
ずぅー。ずぅーとはなったが、吸い込む力も弱っているので、ほんの少ししか食べることが出来なかった。だが、空腹な僕にはほんの少しな量の食べ物でも美味しいく満足感を感じることが出来た。僕は少しずつ、食べ物を食べ、何とか完食できた。
「凄いわね。こんなによく食べてくださるなんて。作った人としてはこれはとても嬉しいことだわ」
看護士は嬉しそうに空になった容器を片付けた。そんな顔を見た僕も少し嬉しい。
それからというとも、その看護士と一緒に過ごす時間が日課になっていた。彼女と他愛のない話をしていたが、僕にとって楽しく貴重な時間だった。
ある日、彼女が僕を文化祭に誘った。その文化祭は僕の通っていた学校でやる。僕は断ることが出来ないので、仕方なく文化祭に行くことにした。看護士は車の後部座席に僕を乗せて、僕の後ろに車椅子を乗せた。そして、学校に着いたとき、車の後ろのほうに行き、車椅子を取り、僕の座っているほうの扉を開き、僕を抱えて車椅子に乗せた。
僕はこの学校を久しぶりに見た。矢張り、この学校は嫌いだ。そして、あのチビがいるこの学校は嫌いだ。僕は帰りたいのだが、帰りたいと言えない僕は自分から帰れない。だから、僕は彼女と付き合うしか他ないのだ。僕が体育に入ったときには既に文化祭は始まっていた。
矢張り、文化祭は面白くなかった。僕の嫌いな奴等が前に出て唄ってたり、自分の特技をやったりして、面白くなかった。そんなことをする奴は馬鹿しかいない。僕はそんな奴等を見たくないので、目を瞑っていた。
「次は、〇〇学級がシンベルで使ったメドレーです」
そこで、僕は目を開いた。ただ、気になったのだ。今は僕と一緒の障がい者がどんなことをするのか。僕は感動してしまった。障がい者は何も出来ないわけじゃなかった。障がい者は素敵なメロディーを流すことができる。それは、普通の人間以上に遥かな力があり、少なくとも僕は心を動かされていた。障がい者は無力ではなかった。無力なのは僕のような人間と馬鹿なことしかできない人間だ。僕は恥ずかしかった。障がい者を馬鹿にした自分が。
だから、僕は自然と涙が出た。その涙は普通の涙ではない。障がい者に対しての謝罪としての涙だ。僕は〇〇学級のメドレーが終わるまで、ずっと泣きつづけた。端から見て、僕のことを障がい者と思っただろう。だが、僕はそんな奴のことなんか気にしない。これを見て、何も感じない奴は馬鹿だから。
隣に居た彼女も僕に連れられて、泣いていた。
僕たちは〇〇学級の出し物を見終えた後、すぐに病院に帰ることにした。看護士は運転中「今日は来て良かったでしょ。あんなに感動したのは初めてだよ」と言っていた。僕も同感だった。そして、彼女は付け加えに、否、愚痴みたいに言った。
「あの、眼鏡をかけた肌が黒くて怖そうな先生は最悪だったね。あの人が叫んでいたせいで、あの文化祭台無しだったよ」
えっ、おかしい。確か、その先生は死体になって倉庫の中に入っているはずだ。なぜ、彼が生きている。あ、そうか。ここは前、住んでいた世界とは違うんだ。そうに違いない。だが、なぜ僕は体動かせないのだ。たぶん、他の理由で怪我をしたに違いない。そう思いたい。
病室に戻って、すぐに寝た。今日の布団は心地悪かった。矢張り、あのことが気になる。先生の死体のことが気になる。否、看護士があの先生を見たのだから、生きているのだろう。今、考えても仕方がない。僕は体を自分で動かすことが出来ないのだから、あの先生が生きていることなんて確かめようがない。
僕が起きたら、ベットの横に一冊の本があった。それは「アマニタ・パンセリナ」だった。たぶん、僕の鞄の中に入った本だろう。最近の若い人たちは中島らもという作家は知らないだろう。僕も兄に教えてもらうまで分からなかった。そんな懐かしい思い出を思い浮かべていたら、僕が睨み続けたあの医師がやってきた。
「おい、お前を連れて行かなければならない場所がある。だから、付いて来い」
そう言って、医師は僕を抱えて、自分の車に乗せた。車椅子はどうするのだろうと思っていたが、僕を降ろすときに車の後ろから車椅子を取り出した。僕が連れて行かれた場所はよく分からない森だった。僕は困惑したが、医師は僕を乗せた車椅子を押しながら、森の奥に入る。森の奥のほうに入ると、誰かが森の中に横たわっていた。なぜ、そんなことをしているのだろうと思う。確かに、外は暑いからなのかもしれないけど、それならば普通に病院に居たほうがいいじゃないか。病院に居たほうがいいと思ったのは、その横たわっているのは、あの看護士だからである。
そして、医師は僕に罵倒した。
「お前のせいで彼女は死んだんだ。お前が持っていたあの「アマニタ・パンセリナ」だっけ、あれを読んだ翌日に死んでしまったんだ。お前がこの本を持っていなかったら、彼女は死ぬことはなかったはずだ」
僕はやっとあの看護士が死んでいることに理解する。否、ただ認めたくなかっただけなのかもしれない。死んでいることに。
「アマニタ・セリパリナ」は狂った小説だ。薬物について詳しく書かれている。矢張り、それは狂っている。そして、「ひぐらしのなく頃に」も狂っている小説だ。主人公達が狂う前の話と狂った後の話を書いている。矢張り、それも狂っている。そして、僕も今それらの小説と同じ分類となっている。否、そうあればいいと思っている。僕は矢張り、どこかが狂っている。あいつを殺そうと考えたり、自殺しようと考えたり、死体を何度も痛めつけたり、その死体をあの先生と間違えたり、僕は矢張り狂っている。それでも、僕が読んでいる本は僕よりも狂っている。僕は憧れているのだろうか。憧れるはずがない。僕が憧れているのは今は障がい者だけだ。
僕はある夢を見た。その夢は真っ暗だった。僕は闇雲に歩くのだったが、途中に何処に行けばいいのか分からない。だから、僕はそこに立ち止まった。そうすると、小さな光が見えた気がした。僕は行く場所が決まったと思い、その光の方へ行く。そうすると、薄暗いが二つのものが見えてきた。片方は黒い机の上に銃が置いてあり、もう片方には怪しい抜け穴があった。僕はその空洞は何か分かった。それはこの夢という空間から逃げ出すものだ。要するに現実に戻るということだ。私は躊躇せずに銃を持った。そして、自分の頭に向けようとしたが、ある人の顔が思い浮かんだ。それは、いままで会ってきた奴らの顔だった。それで、銃を降ろした。だが、最初は優しかった彼らは最終的に冷たくしている。だから、僕はまた、銃を頭に向けていた。そしたら、またある人の顔が浮かんできた。今度は自分だ。僕はそれで銃を頭に向けるのを止めた。そして、銃を持ったまま抜け穴の中に入った。僕はそれで目が覚めた。目を覚ました場所はいつもと変わらない病院だった。見かけたことのあるカレンダー、誰かが置いてくれた花瓶、全体が真っ白の病室、そして、何ひとつも動かない僕の体。何も変わらないこの世界。たしかに僕が暮らした現実と言われている世界だ。痛っ。僕は痛い場所を触った。確認すると髪がついていた。もうそろそろ髪を切らないといけないなと思う。・・・・・・あれっ、なんで僕は髪を持つことが出来るのか。僕は手を動かすことは出来ないはずなのに。僕は不思議だと思い、もう一回手を動かす挑戦をしたみた。そしたら、すらすらと簡単に動かすことが出来た。なんで、動かすことが出来るのだ。僕は完璧に体を動かすはでないはずだ。でも、どうでもいいか。そんなことを考えても答えは出ない。今は素直に喜ぶべきだ。・・・・・・良かった。 やっと、動かすことが出来た。僕はいつのまにか、透明な水を出していた。その水はただの水ではない。いままで、僕を冷たくしてきた奴らを流した涙だから、透明なのだが、途轍もない重みがあり、美しく輝いているのだ。僕はこの生活から少しだけ解放されることが出来た。これで、体を治す努力が出来る。そうだ、久しぶりにポケットに手を入れてみよう。僕は早速、ポケットに手を入れることにした。そしたら、手が硬いものとぶつかった。なんだと思い、その硬いものを引っ張り出すと銃が出て来た。僕は驚いて、銃を落としそうになったが、なんとか手を使って、キャッチすることが出来た。これはたぶん神様のプレゼントだと思う。僕が苦しくなったときは治った手を使って銃で撃つために。僕はその銃を元の場所のポケットに入れた。