薬草採取
ギルドを出て、森へ行くために街の入口に向かって歩きながら話す。
「それで、お前ら名前は」
「わ、わたしは、リファ・アインハルト。し、白魔導士です」
「だからなんで勝手に話進んでるのって」
「うるせえな、で、お前は?」
「まずは、人に聞く前に自分から名乗るもんじゃない?」
それもそうだな。
「俺はジンだ。ジン・ギレイチカだ。それで、お前は?」
「私はルリア・ラングブレア。騎士よ。私、アンタ知ってるわ。銀翼ってパーティーの人でしょ?」
「銀翼ってSランクの……」
「ああ、ついさっきクビになったがな」
「はんっどうせ実力がしょぼくて追い出されたんでしょ。貴族御用達の銀翼にこんな奴ふさわしくないもの」
「………」
「あの、ジンさん……。悪く思わないでください……悪気はないんです。ルリアちゃん、こんな性格でも、さっきのこと、感謝してるんで……」
「ちょっと、感謝なんかしてないわよ」
悪い事が無ければいいって訳ではないんだがな……。
こいつのいう通り、俺の性格が噛んでいるのだから何も言い返しようもないが。
「おら、出発するわけだが、忘れもんはねえか」
街の入口へとついていた。そこで最後の確認をする。
「ないわよ。遠足じゃないのよ?」
「わ、わたしも大丈夫です」
「なら行くぞ」
三人で街の門を潜る。
「そういえば、なんでジンさんは引き受けてくれんですか?」
不意にリファがそんなことを訊いてきた。
「あ? 別に、クビになって仕事が無かったからだ。深い理由なんてねえよ。それがどうした」
「あっ、いえ。なんというかとても……」
「ハッキリ言ってやんなさい、こんなのがまともに務まるのかって」
「ルリアちゃん、そんないいかたダメだよ」
まあ、不安になる気持ちもわかるがな。こんな奴に護衛なんてつとまるかって。
「こっちは森で襲われないか警戒してるんだから。魔物よりもコイツのほうが怖いわ」
「心配しなくてもガキには興味ねぇから大丈夫だ。それにしてもお前口悪いな。俺も大概だが、もう少しどうにかした方がいいぞ」
「別に、アンタだからよ。アンタみたいな奴、私は嫌いなの! ほっといてちょうだい」
「ルリアちゃん」
「フンッ」
そうして、森へとついた。
「で、どこに行けば薬草があるの?」
「こっちだ」
「あれ、でもそっちは地図と違いますよ」
「こっちのほうが近くて安全だ」
「そうなんですか」
二人を誘導して進む。
事前にギルド側から、薬草が生えている場所までの地図をもらってきているようだが、その地図にない道を俺は進む。
理由としては、さっき言った通り、近いということと、余分なことをしなければ安全だということだ。べつにギルドの道が悪いという訳ではないが、たまに魔物と遭遇することがある。
事故はなるべく減らした方がいい。
「あっ、ほんとね!」
「待て」
何かを見つけたルリアが、見つけた草に手をかけようとしたところを俺は腕を掴み止めた。
「な、なに!? 離してよっ」
暴れるのではなしてやる。
「よく見ろ。薬草じゃない。薬草に似てるが、毒焼き草だ」
「毒焼き草?」
「触るなよ。薬草に似てるが、草から出る液体は触ると火傷する。」