死なない王様のいる国
ほぼ初投稿に近いので、誤字脱字、矛盾などがあると思いますが、大目に見ていただけると幸いです。
大陸の端の端、その崖の上には大森林がある。
その大森林の真ん中にある石の壁に覆われた国。
この国には、死なない王様がいるんだよ。
王様は、国民を愛し、国民の為に尽くされている。
国民もまた王様を愛し、国の為に様々な人が働く。
そんな素晴らしい国なんだよ。
って噂を聞いて訪れてみました!
場所が場所だからすんごく苦労したけど!
他の国から、崖登って大森林越えるまで2ヶ月かかった
けど!
この国から他の国まで村一つも無かったし、
そもそも誰とも会わなかったけど!!
そしてこの国の感想なんだけど……
いやぁ、苦労した甲斐があった!
本当に凄くいい国だよー!
真昼間で喉が乾いてたから、飲み物を
買いたいなぁって思って市場っぽい所に行ってみたん
だけど、
そこの店員さんがすっごくいい人だった!
「旅人さんかい?遠くから来てくれたのかい?
それはそれは嬉しいねぇ。
これは特別サービスすべきだねぇ。」
って言って、アイスコーヒーだけを頼んだはずなん
だけど、そこにアイスクリームと、きれいなすみれの
花をのっけてくれたの!
お陰で豪華なコーヒーフロートになったんだよねー!
コーヒーも凄く美味しかったなぁ……。
それで、飲み終わった後にお礼を言ってお店を出よう
としたら、不思議なすみれの花について話してくれた
の!
この国の至る所に植えてあるすみれの花は、国民
が王様に抱いてる印象によって色が変化するらしい
んだよね。コーヒーフロートにのっていたすみれの
花は、黄色になってたなぁ。
黄色のすみれの花言葉は、つつましい喜び、
なんだって。
つまり王様に対して、穏やかな気持ちを抱いてるっ
て事らしいんだよー。
王様は決して国民に顔を見せない。王様は、国民を
支える人だから。国民より目立つのはだめだろうとの
考えらしいの。国の代表だから、寧ろ顔見せてもいい
と思うんだけど、この国ではそれを良しとしてないみ
たい。
とにかく、そんな王様の国民に対する謙虚な気持ち
を、国民は花によって反映しているらしいんだよね。
この話を聞いてすみれの花欲しいなーって気持ちにな
ってきて、コーヒーフロートにのってた見つめまくっ
てたら、そのすみれの花をくれたの!
そして、その花を持ったら、
見事に無色になったなぁ。
流石、国王に対する気持ちを表す花。
実は、街が凄く綺麗で夢中になってたから、
国王に特に印象が無かったんだよねー。
街の凄さを感じたのなら、国王にも何か期待を抱いて
いるんじゃないのって?
ぜんぜーん!直接会って話をして印象を決めるように
してるから、今のところ特に思う事ないんだよ。
後はやる事なかったから、街をぶらぶらしてたら、
丁度お城っぽい所に着いたんだよね。そこで扉の前
にいた兵士の人とお話ししてみたんだけど、そしたら
王様が是非お会いしたいって事で、会う事ができるよ
うになったの!
なんでも、旅人さんがこの国に来た時には、必ず会
うようにしているんだって!この国を訪れて不自
由な思いをしていないかとか、何かやって欲しい事と
とかはないかとか、色々親切にしてくれるみたい!
そして、とんとん拍子で王様とお会いする事になった
んだけど、もうね、すんごくいい人だった!
国民の事を一番に考えてる人で、まさしく絵に描いた
ような人だった!これは確かに国民から慕われるのも
納得いったよー。
それに、夕飯を用意してくれる上にこのお城の客室を
貸してくれるんだって!
本当にありがたいよー!旅人にとって、宿代とか食費
とかがどれだけ経済的にきついか……。野宿すれば良
いって考えてる人は、布団の有り難さとか食料の手に
入れ方とか虫の存在とか調べてみるといいと思う。
まぁ、そんな感じで、色々お話ししまくったんだよ!
王様からは、国のどこそこが有名なお店だとか、
どこそこに住んでるあの人は和菓子が好きで手作り
してるとか、あの人が今この植物育ててるとか、
国民の事をよく見ていないと知らないような情報を
たっくさん聞いた!しかも国民の名前、全員言えるん
だよ!凄すぎるよ、本当。
こっちからはどこそこが有名だとか、寝てたら有り金
なくなってたとか、旅してきた経験を話したんだ。
これまた凄く聞き上手で、よく笑ってくれるんだよ
ー!だから、色々な話をしまくったと思う!
こんなにお話を聞いてくれる人初めてだったもんだか
ら、凄く舞い上がってたなぁ。
その後、こっちから写真を撮りませんか?って提案し
てみたんだ。この国には、王様の写真が一枚なかった
から、記念がほしいなぁって思ったの!
他の誰にも見せないって条件で応じてくれたんだー!
最初は条件を不思議に思ってたんだけど、この国では
、王様が国民に顔を見せる事を良しとしてないって、
理由だったから納得したんだよね。
笑顔が本当に可愛かった!
そして、写真を撮った後も様々な話
をしたんだけど、その時にすみれの花と
国民の話になったんだよ。
「この国のすみれの花は、王様に対する気持ちを
反映しているんですよね!本当に綺麗だし、とっても
不思議ですよ、花の色が変わるなんて!
しかもすみれの花は黄色!
本当に国民から慕われているんですね!」
こんな調子で話してたらさ、
王様が少し無言になっちゃったんだよね。
顔を少ししかめて。
あれって思ったんだけど、
王様は直ぐに笑顔に戻ったんだ!
その後も色んなお話をしたよ!
沢山たっくさんの話した!
そして窓の外が暗くなってきた頃かな。
王様がお庭の方に行って
様々なお花が咲いている中から、ラベンダーの花
を一つ摘んだ後、この部屋に戻ってきたんだ。
そしてこう言ったの、この花は、貴方に対する僕の気
持ちです。
どうか、受け取って欲しいって。
いきなりこの一連の行動取られて固まっちゃってさ。
気づいた時には、ラベンダーの花持ってたんだよね。
そして、この場は解散!みたいな雰囲気になっちゃっ
たから、何も考えず慌てて自分が持ってたすみれの花
を渡したの。
お花、ありがとうございます!これが私の気持ち
です!ってね。
だから、その時王様が見せた泣き笑いの顔は凄く
印象に残ったよ。泣くほど嬉しかったんだなぁって。
その後、続きは夕飯でって
話になって、その場は解散しちゃったんだ。
けど、夕飯の時には王様いなかったんだよなぁ。近く
にいた兵士に聞いても、「王様はお忙しいお方ですの
で。」
としか、答えてくれず….。
もっとお話したかったんだけどなぁ……。
仕方なく、明日また会えるだろうって気持ち
を切り替える事にしたんだよ。王様を困らせたくはな
かったし!
夕飯はとても美味しかった!しかも、布団は凄く寝心
地が良かったよー!久しぶりの熟睡でした!
そして次の日!
用意してくれたお部屋で、昨日くれたラベンダーを眺
めながら、のんびりダラダラしてたんだよね。ラベン
ダーの花言葉はなんだろなぁって思いながら。
そしたら、昨日お城の扉で話していた兵士の人が、王
様が呼んでいますって伝言を伝えてくれた!という事
で、早速王様のお部屋に行ったの!そしたら………
全くの別人がいたの。昨日の王様じゃ無かったんだ
よ。
もう本当にびっくりした!貴方は誰ですか状態!
それで質問してみたんだよ、貴方は誰ですかって。
そしたらさ、僕は王様です。って答えたんだよ。
そこから、色んな人に聞きまくったよ。昨日撮った顔
写真を持って。街の至る所を巡って。
王様変わっていませんか!?あの王様は偽物ですよ
ね!?って。
でも聞いた人みんなが言ってた。王様は変わったり
していません。死なないのですから。って。
理由は簡単だった。この国の人、誰も王様の顔なんて
知らなかったんだよ。
そりゃそうだよね、顔写真ひとつもないから。
しかも王様は一度も顔を見せてないから、尚更分かる
わけがない。
王様が変わったなんて、一切思うわけないんだよね。
でもじゃあ、昨日の王様は一体どこに行ったの?
街のどこを探してもいないってどういう事??
今朝見た王様は??
もう一度今朝会った王様に会いたくて、城を訪ねたん
だけど、入る事は出来なかった。
「王様はお忙しいお方ですので。」って。
その時失敗したと思ったよ。昨日の王様の泣き笑いの
顔の理由を尋ねておくべきだったし、今朝だって、今
朝の王様を問い詰めておくべきだった。
でも、そんな事考えられなかったんだよね。
会いたいのは、今朝の王様じゃなくて、昨日の王様
だったから。今朝の王様になんて興味なかった。
とにかく、ひたすら昨日の王様を探そう。
そして、全部教えてもらおう!
そう思って、街の外、大森林の方まで探したんだ。
大森林の端の端の方、つまりは崖になっている
場所まで。
そして、その崖の下の方を見てみたんだ。
たっくさんの人の死体が山積みになってるのを。
そしてその山積みになった死体の一番上には、
昨日の王様がいたんだよ……
崖の上から見た光景だから、誰だ誰だか分からない
だろうって?
分かるよ、だって昨日渡した紫色のすみれを持って
いたから。
そこから、1ヶ月くらいその国に滞在してみたんだよ
ね。
そして王様に会いまくってきた。
この国には必ず旅人と会う必要性があったからか、
必ず会わせてくれた。
1ヶ月の間に15人の王様に会ったよ。
15人の王様は、どの人も素晴らしい人達だった。
そして、15人とも崖の下で死んでいった。
どうやって死んで、どうやって別の王様に変わ
るのかは分からない。
ただ、王様が変わるタイミングは一緒。
王様が国民に対して不満を少しでも覚えた時。
ほんの僅かな不満だったとしても、王様は変わった。
王様と一緒にいようとしても、王様に全てを話そう
としても、
「王様はお忙しい方ですので。」って言って、
王様と離されるからさ。
抵抗しようにも国中の兵士相手じゃどうにもならなか
った。
街の色んな人にこの話をしても全く信用して貰えな
い。
だって王様が変わっているだなんで、沢山死んでいる
だなんて、考えてもいないから。
顔すら見た事がないのだから。
そして見た事がない事に対して
一切疑問に思っていないのだから。
1ヶ月経つ頃には、
この旅人はおかしくなってしまったんだ
って言われて……
とうとう、混乱している旅人の為に、やむを得ない。
記憶処理を施そう。って話になっちゃった。
国中の兵士相手に抵抗できるはずもなく、
この国の今までの記憶、全部全部忘れて、
そのまま、この国を離れる事となったんだよね。
兵士は一連の出来事を知っている人もいた筈だから、
その人を問い詰めたりとか、そもそも王様を
どこから見つけてくるんだろうとか。
他にも沢山の疑問があって尽きなかったけど、
たった1ヶ月、
一人で調べ尽くすなんて、出来なかった………。
この国を出て、他の旅人に話をして、この国に来ても
らう手もあったんだけどね……
この計画を思いついたのは、
最初の王様の死体を見た時から2週間後だった。その時
点で、王様は7人死んでいた。
しかも、この国から他の国まで2ヶ月かかる。
往復すれば4ヶ月なんだよ…
しかもこの話を信じてもらう必要がある。
もっともっと時間を必要とするはずなんだよね…
また、他の国に行く途中で他の人に話す事は不可能。
道中誰もいないのは来た時に分かっていたから。
他の人を連れてくるまでに死んでしまう王様の人数が
あまりにも多すぎるので、この計画は諦めた。
とっても悔しい。本当に悔しい。
この国の現状を、この国に来た旅人に伝えたかった。
おかしいって言って、
王様を一緒に救って欲しかったよ。
でもこの国があるのは崖の上。しかも大森林の中。
そう簡単に旅人が来るはずもない。
珍しい噂があるって言っても、挑戦するのは
ほんの僅かでしかない。
ああ………。
せめて次の王様が死ぬ事がないようにして
あげたかった。
真実を知ってたんだから。
ああ、 忘れたくないよ………
ラベンダーの花言葉は、一番最初に会った王様の死体
を見た時に思い出していた。
だから尚更忘れたくない。この思いをなかった事に
なんてしたくない………
最初会った王様と両思いだったかも
しれないのだから。
ラベンダーの花言葉 「私に答えてください」
紫色のすみれの花言葉 「愛」
今後は気まぐれに書いていく予定です。