頭痛の描写は省きました
テンプレはよく使われるのでテンプレなのだ。ゆえにテンプレには確実に需要がある。よってテンプレを使うのは合理的だ(屋根裏のG)。
その日、テンプル男爵家次男テンプリは思い出した。自分の前世が日本人であったことを。天ぷら店「プロ」でバイト中に死んだことを。
「これがテンプレってやつかぁ。」
「何よ急に。」
「いや、なんでもない。今日もアルベルトが居眠りしてたろ。それでベンノに叱られてたんだがその時の言い訳がまた面白かったなあと。」
「そろそろ言い訳もなくなるだろうに。」
「俺は居眠りしてないぞ。ただノートの上にいたアリと格闘していただけだ。あの野郎なかなかすばしっこくて捕まらないから吹き飛ばそうとしたところを、たまたま、あいつ勘違いしただけだ。」
「はいはい、そういうことにしとくわ。」
「おい絶対信じてないだろドミニク。」
「当たり前だろアルベルト、お前居眠りだけで今年何回叱られたんだよ。」
「だから俺は一回も居眠りしてねえって。」
「「はいはい」」
「次は…王国史かよ…。」
我らが家庭教師ベンノはたまに突飛なことをする。いわゆる変人である。例えばまだ三か月残しているのに昨日現在までの王国史について学び終わってしまった。
「さて、前回どこまで話したかな、テンプリ。」
「はい。現在まで学び終わりました。」
「じゃな。というわけでじゃ。今からテストをしようと思う。」
「あのー。前回そのようなことおっしゃいましたか。ベンノ先生。」
「言ってないの。ではアルベルト、初代ブランドル国王陛下は誰かの。」
「はい。オットー陛下です。」
「ではドミニク。現国王陛下は何代目かの。」
「はい。シャルル陛下は3代目です。」
「ではテンプリ。隣国をすべて述べなさい。」
「はい。東をマインヅ王国、西をコルン王国、南をトライア王国と接しています。北には海を挟んでホルシュ王国があります。」
「上出来じゃ。このうち戦になったことがないのはどこかな。アルベルト。」
「ええと。ホルシュ王国から独立したときに独立戦争をしたのでホルシュ王国でなくて…。そのときにマインヅ王国も参戦してきたから違って…。トライア王国とは20年前にポメル征服戦争で戦っているので、コルン王国です。」
「そうじゃな。ポメル征服戦争で金山を獲得したからこの国は今豊かなのじゃな。ではドミニク、ポメル金山で得た金は何に使われたかな。」
「はい。アルデンの開拓とラナウ川の整備に使われています。アルデンの森を開拓することで木材と農地を獲得できています。また、ラナウ川の整備によって交易が盛んにおこなわれるようになりました。」
「みな上出来じゃ。ではそうじゃのう。明日からはこの時間も魔法の講義としようかのう。」
そうしてベンノ先生の授業は続くのであった。