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答えたくない事のせい
誰かの為に料理をする。私にははるか遠くの出来事になってしまった。
毎日料理をするわけじゃない。私一人だめんどくさくなってコンビニで弁当を買って済ます時もある。
独りで言葉も喋らず終わる1日だってある。
そんな私が成り行きとはいえ少年にご飯を振舞おうとしている。
「雪はさ、どうして私の前に来たの?」
料理をテーブルに置きながら尋ねる。
雪は何も言わずにお茶碗と味噌汁を運んでくれた。
「言えない。ごめんね」
「別にいいよ。私もそーゆ時多いもん」
「そーゆーとき?」
「言いたくないとか、答えたくない事を尋ねられる時。私は嫌だ。だからもう聞かないね」
「幸ねーって大人だね」
「……子供でも大人でもないよ。さっ、いただきます」
私はちょっと強引に話を終わらせた。
雪の言葉に対して私の心がざわついた。
雪は「いただきます」と手を合わせ味噌汁を1口啜った。
今日の味噌汁は何だか出来が良かった。