お腹空いたせい
アパートに着いて自分の部屋まで上がる。
フラフラと寝室まで歩き、ベットに倒れ込む。
「どーしたの、おねーさん」
「いや、疲れた」
「生きてる証拠だね」
「生きてるか」
ベットの上で座る。すると少年は床に胡座をかいた。
「おねーさん、お腹すいたよ。ご飯にしよーよ」
たかる気満々か。て言うか、
「雪、ご飯いるんだ……」
「失敬な」
「いやだって妖精?なんでしょ?」
「うん。そーなんだけどね、顕現したからにはお腹もすくよ」
「うん?妖精の事はよくわかんないけどとにかくご飯作ろっか」
私も体力をやたら使った気がする。
結局、飛び降りなかったけどどっちにしろ無理だったと思う。
私には死ぬことすら出来ない。
「また暗い顔してー、考え過ぎるんだね。おねーさんは」
「あ、おねーさん呼びどうにかならない?私は武田幸」
「じゃあ、幸ねーだね」
そんなに変わっとらんけど、私にしか分かんないならそれでもいいや。
冷蔵庫の中は2日分位の食料があった。
私は思わず鼻で笑ってしまった。
死ぬ気なんて毛頭無いくせに……
「生姜焼きでいい?」
「幸ねーが作るものならなんでも」
雪は嬉しそうにしている。雪の為に頑張ろうと思った。