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新しい仲間が増えた!

街に行く前に水浴びがしたい。と妻がいうので荷物を整理している間湖で水浴びをしてもらうことにした。

国境の街まで半日、そこを過ぎて次の街までまた半日。

野生に近い生活をした時期もあったとはいえ女性が体を洗えないのは辛いのだろう。


本当ならば馬のような動物を捕まえて馬車のようにしたかったが今回は時間もない。それに国境を越えるまでは身軽で行きたいので大きなリュックは妻が背負うことになる。

それも思うと多少のわがままは聞いてやりたい。


夜のうちに捕まえて捌いた獣を、妻が塩と蜂蜜につけて「エイジング」魔法を施してくれた。


身体強化の応用らしいが俺と違って汎用性があって羨ましい。

いや、それだけ努力したのか。

本当に頭が下がる。

それを油紙で包みリュックに入れる。石油製品がない世界だからジッパー付きの密封できる袋がないのが心許ないが仕方ない。

水筒も詰め、箱に入れた調味料と、妻が夜鍋して作ってくれた木の実を粉にしたものをつめた。

あとはなるべく早く妻がリュックから解放させるよう早く走るだけだ。


『きゃぁぁぁぁぁ!!!!』


妻の悲鳴が聞こえて俺は弾けるように走った。


「リン!!どうした?!!!リン!!!」


妻の姿が見えない。

夫婦といえどプライベートは大事だと1人にするのではなかった!これなら一緒に入れば…いやいや!!


「リン!リン!!鈴音!!!」


思わず日本にいた時の名前を呼ぶ。

ぽるぅ…と水の中から弱々しい声がした。


「どうしよう…なんか沈んでっちゃった…」

「大丈夫か?どこか怪我したのか?!」


私じゃなくて…とよく見ると水の中で何かを掴んでいる。

潜ってみると人だった。


「なんか落ちてきて笑いながらこっちに来るから、そこにあった石投げたらあたっちゃった。」


うーん、衣服のない状態での女性の反応としては正しいために責められない…。とにかく死んだら夢見が悪いな、と急いで引き上げる。自分たちと同じ日本人のようだ。

はだけた胸に宝石が埋まっている。


「おもっ…」

「リン、ここは俺がやるから君は服を着ておいで。」


そこで初めて自分が裸だったことを思い出したようだ。

妻は真っ赤になって手を離した。

俺ともう1人はもう一度湖に落ちかけた。




重たい体をなんとか引き上げて洞窟に運んだ。濡れているのはこの際気にしないことにしよう。自分も全身ずぶ濡れだ。

そして妻はご機嫌斜めだ。


「だからごめんって。」


自分が悪くないのは妻も俺も分かってはいるが、矛先が収まらないのだろう。

こちらをみない妻に俺は声をかけた。


「と、とりあえず回復してあげてよ。せっかく同郷っぽい人だし。」

「でも…見られたし…」

p

わお、それはお気の毒。相手は男性だ。夫としては許したくないけど


「まぁ、事故だったんだし。許してあげて。」

「ですよねー。」


はぁ、と妻はため息をついて男の胸に手を当てた。

ぱぁっと胸の辺りが光ったかと思うとごほっごほっ!と男がむせた。


「わぁ、裸の女の子に助けられるなんて夢みたいだ。」

「もう服きてますけど。」


妻がぶっきらぼうに答えて私の隣に座った。警戒しているようだ。


「それで、ここはどこです?もしかして異世界転生?!」


飲み込みが早いな。妻と同類か。


「そんなようなものだ。君、名前は?どこからきたの?」

「うおおおぉ!まじか!まじなのか!!すごいなぁ異世界って言ったらあれでしょ、たまたまチートスキルゲットできて無双できるやつでしょ!ラッキー!!あ、それであんたらなに?」


命の恩人に割と失礼な奴である。

もっとも、殺しかけたのもこちらなのだが。


「君と同じ日本人だよ。俺は水谷瑞稀。地方の大学で准教授やってる。「こちら」では先日までパン屋をやってた。なくなったけどな。一応ポルコって名前で通してる。彼女は妻の鈴音。「こちら」ではリンという名前だ。」


人妻かぁ。とため息をついた。

妻がイラッとしたのがわかる。


「てか准教授は盛りすぎでしょ。どうみても俺より年上じゃん。こんなところで見栄張らなくても。」


ぐふふ。と慎司は笑った。まぁいい、どうせもう前の職業なんてなんの意味もないしな。

一応30は超えてるよ、とこちらはひぇっと変な声を出された。

そこからペラペラ話し始めたところによると

彼の名前は「斉藤慎司」。(この名前の後にエヴァのシンジと同じ名前で…からしばらくエヴァというとものを語り始めたので…まぁオタクらしい。)

27歳らしいが会社のいじめに嫌気がさして会社の屋上から飛び降り、気がついたら裸の女の子(俺の妻)がいたと。


「で、俺はなんの能力なんです?!やっぱ炎かなぁー鉄板でしょ主人公の!あーでもクール系の氷属性も捨てがたいなぁ」


自分もゲームやってたからここらへんの妄想はすごくわかる…。


「どうだろうな。俺たちも生活してて発生したけど何が要因でっていうのはわからないんだ。ただ異世界から来た人間は胸に宝石があってそれが触媒になってる…と思う。」

「あ!これがですね!なんかかっこいいですねぇ。色がついてたらもっと胸熱だったなぁ。能力も色で決まってたりね。まぁ最初に女神様が与えてくれる系じゃない場合は主人公がピンチになるまで出なかったりするからそれ待ちかな。」


異世界物とはそうなのか。妻がスマホで見ているのは知っていたが、漫画はそこまで食指が動かず俺自身はみたことがなかった。食わず嫌いせず、みておけばよかったかもしれない。

要の妻は、裸を見られた弊害からか未だ警戒を解こうとせず口を聞こうとしない。


「あとは見た目だよね。そのまんまかよー。いやそのまんまのもあるけど見た目イマイチだった場合絶世の美男子とかになるはずなのに…」


そ、そうなのか。

俺がだんだんついていけなくなっていると、慎司に変化が現れた。

みるみる体が細く長くなり、頭は黒髪から金髪へ。

そうこうしているうちに全く別の容姿になってしまった。

本人は気付いていないようだ。

自分たちも少し若くなっているので、異世界の人間は容姿の変更が可能らしい。


「あー…慎司くん。もしよければ湖で自分の姿見てこないか?なんていうか、俺たちも今あんまり物がなくて鏡とか持ってないんだよね。」


怪訝な顔でこちらをみたが、素直に外に出た。そして


うひょー!!!


と謎の歓声が上がったのはそれから間を空かずしてだった。




さて、困った。

妻と2人ならば背負って国境までダッシュできるところなのだが、1人増えるとなればそうもいかない。

しかしだからといって置いていくのも酷な気もする。なんといっても一番近い街には勇者がいる。


「悩ましいな。すぐにでも出発したいんだが。」

「置いてこうよ。ピンチになりたいみたいだし勇者と鉢合わせしても平気でしょ。」


珍しく塩対応の妻。

ツンデレーと慎司は喜んでいる。


「仕方ない。遅くはなるが森の馬を捕まえよう。簡易で車輪を木箱に付けて引きずらせればなんとかなるだろう。」


正直生きた馬が言うことを聞くかは賭けだが妻に2人分身体強化をかけて走ったとしても妻が持つかはわからない。

なんと言っても無理はさせたくない。



馬は狩りの要領で、車輪は丸太を切って簡易で作った。

汎用性がないと少し落ち込んだ硬化能力だが、鉈、金槌、やすりとわりと汎用性があって少し自尊心が満たされた。

だがすかさず慎司に「なんか地味な能力ですねw」と言われて内心落ち込んだ。


「かっこいいじゃない!しかもこの能力誰にも破られたことないんだから!」


まぁむやみやたら使いませんでしたしね。


「それにポルはチートに頼らず日々体鍛えたり硬化を調整する努力したり能力と向き合おうとしてるの!あなたみたいにチートラッキーとはおもってないんだから!」


ありがとう妻よ。そしてバレてたんだね。寝た後にこっそりやってたのに。


「あーいいっすよそう言うの。結局そういう人ほど序盤でいなくなるんすから。回想シーンでたらもうフラグっすね。君も早めに俺に乗り換えといたほうがいいよ。」


本気で妻が殴りかかろうとしたので止めに入った。

しかし、その若さなのかそういうのからくる自信は純粋に羨ましいな。

殴るのを諦めてスネ始めたリンの頭を、俺はポンポンと軽く叩いた。


「リンを置いては死なないよ。な。大体リンの方が先に死にかけたんだから、俺はリンの方が心配だよ。」

「ポルぅぅ。」


泣きそうになりながら妻が抱きついてくる。かわいい。


「と、とにかく早く出発しよう。もうだいぶロスしてるからいつ追いつかれるかわからないよ!」


俺は慎司の痛い視線を感じながらとりあえず準備することにした。

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