これも必要な焦燥
今日は講義後、いつもは部室に直行するところを図書館で勉強してから部室に向かうことにした。
たまにはこうやって1人で勉強する時間を作っておかないと、ね。
部室に行けば基本的に先輩ばかりだし一見いいように見えるけど私以外英語が得意な人は少なく、むしろ英語が苦手な人しかいない。
英語でレポートを書かないといけない時は外国語学部である私に先輩方が尋ねてくるくらいだ。
だから天体の勉強は部室で、自分の勉強は図書館でするっていうメリハリをつけることによって今の成績上位を保っている。
いつも私が使っている場所は一番端の窓側の席。
…しかし、今日は先客がいるみたい。
「あれ、奈美?」
その先客とは達斗で、(どうりで見たことのある筆箱だった)どうせなら場所を移動して一緒に勉強することになった。
一緒に勉強……といっても同じテーブルでそれぞれの勉強を淡々とこなしていくだけなのだけどね。
しばらく集中していると
コトン
と目の前に置かれた缶コーヒー。
「休憩もしなよ。」
ああ、私は達斗のこういう優しいところに惚れたんだよなと改めて感じる。
休憩がてら趣味の話に落ち、私と同じく読書が好きだということが判明した。
互いの好きな本について熱く語りそれぞれ気になった本を借りて部室へ向かう。
『お疲れさまで〜す』
私はいつも通りドアを元気よく開けた。
ドアを開けて元気よく登場した奈美だが、今日はいつもよりもより遅く達斗と一緒に部室に入ってきたことで室内の雰囲気が少し変わった。
いつもより遅かったことは今の今まで達斗と一緒にいたということは容易に想像できる。お互い顔に出すことは無かったが、達斗と木原の2人は、その胸の内に大きな炎を燃やしていた。