焦げた蛍
木原さんと奈美が付き合うことになった。
「この度、奈美ちゃんとお付き合いすることになりました。皆さんの気持ちは存じ上げてます。でも、俺が奈美ちゃんを必ず幸せにするから…暖かい目で見守ってください」
あんなに堂々と宣言されてしまったら奈美を任せるしかない。
俺はあの時、奈美を幸せにできる気がしなくて途中で投げてしまった。
俺と奈美は釣り合わない。
「ごめん、奈美にはきっと、もっといい人が沢山いるから。
だから……別れよう。」
そう言って別れを告げたのは俺だ。
けれど、まだこうやって木原さんの隣で笑う彼女を愛おしく思ってしまう。
他メンバーは想いを伝えて、でも叶わなくて、今ここで祝福をあげている。
けど、俺はどうだろう。
今もこうやって胸の内で炎を燃やしているではないか。
これからもきっと、奈美のことを忘れられる自信はない。
ずっと見えないように、隠し通さなければいけない。
俺がもっと早く出会っていれば?奈美が木原さんと出会っていなかったら?
……なんて考えるのはやめよう。
早かれ、遅かれ2人は惹かれあっているんだろうから。
ほら、あの時言った通り、奈美には俺じゃなかったんだよ。
悲しいけど、それだけ。
俺の隣にいる時よりも、木原さんの隣にいる時の方がいい顔してる。
悔しいけど、すごく綺麗だ。
奈美が好きだ。
それでも、2人の祝福をあげるために、
俺は笑った。
[完]
ご愛読ありがとうございました。
どなたでも、どんな感想でもいただけたら幸いです。
こんなお話を書いて欲しいなど、設定を書いてくだされば次はそれで書いてみたいと思います。
ありがとうございました。




