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蛍は焦げる  作者: 愛璃
53/56

文学的な

【おわった】


【振られた】


最近はグループチャットにそんな言葉しかあがらなくなった。

まだ告白していないのは木原と山崎だけとなった。

皆口を揃えて言うのが、『奈美に好きな人がいるから振られた』というもので、木原は告白できないでいた。


と、偶然にも朝の新聞の中に紛れ込んでいた新しく出来たプラネタリウムの広告が目に止まった。

どうせなら……これを口実に奈美と出掛けてそのまま告白をしようと決心した。

しかし今日は部活動が休みの日で、奈美だってせっかくの休日を楽しみたいだろうという考えが過ぎったが、


【奈美ちゃん、今日時間ない?】


勢いのまま、送ってしまった。

すると、鳴る着信音。

高鳴る鼓動。


【ありますよ!どうかしましたか?】


私はすぐに返信する。


まさか、木原さんからデートのお誘いらしきものが送られてくるなんて。


【新しいプラネタリウムの広告見つけてさ、良かったら一緒にどう?】


私が行きたいと申し出ると迎えに行く、とのお返事が。


木原さんが迎えに来てくれるなんて……デートみたいじゃん、なんて1人で舞い上がってしまう。



ついに約束の時間。


ピーンポーン


ドアを開くと木原さんが立っていて


「行こっか」


私はその一言だけなのにキュンとしてしまった。


『プラネタリウムなんて来るの久しぶりだなあ』


「俺もや、楽しみだなあ」


失礼だけどプラネタリウムの解説よりも我が天文部部長の木原さんの解説の方がもちろん詳しかったり…


これ、なんかデジャヴだなあ……


やっぱりこういう感じだから天文部以外といいってことなのかと思ってしまったのを夕食の席で話すと木原さんは笑った。


夕食は近くのファミレスで食べたけど、プラネタリウムの話の延長線でつい盛り上がってしまい、私たちが帰る頃にはもう外は真っ暗だった。


木原さんが家まで危ないから、と言うので、お言葉に甘えて送ってもらうことに。









「月が綺麗ですね。」





木原さんが突然口を開いた。


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