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蛍は焦げる  作者: 愛璃
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格好つけたい

周りが次々と振られてしまっていく中で、たぶんそろそろ僕の番かと待ち構えている者がいた。

部室には今日も全員がいつものように集まっている。

何人かが来なくなるだろうと踏んでいたが、それだと奈美が責任を感じてしまうと思ったからだろうか。

そんな中、今日も誰かが奈美を誘う声がした。


「奈美ちゃーん、今日ご飯行かない?お寿司食べたい気分!」


『いいですね!私もちょうどその気分です!』


奈美も濱元も寿司好きで、2人でご飯を食べに行くとなるとだいたいお寿司。

彼らはそれで満足だけど周りからはそれで飽きないのかと言われる。


寿司を食べたい気分というのはもちろん本当だ。

しかし、そろそろ告ってしまおうかなと言う気持ちがあって誘っている。

一昨日、築田と山浦が同じ日に告ったというのを聞いて昨日誘うのはやめておいた。

日置いたところで何も変わらないだろうけど、少しはは気休めにと思ったゆえの行動だ。


寿司屋に着くといつも一番最初に2人で頼むものは共通していて、寿司ネタではなく茶碗蒸し。

こういう些細なところとか似ていて、そこでまた好きだと思ってしまう。

ご飯の前に告白してしまうときっとあとが気まずくなるだろうと考えだいたい食べ終わってからにすると決めた。


「あのね、実は話があって……奈美ちゃん、好きです……」


寿司屋で告白なんてネタだと思われたりしないよね?なんて、あとでおちゃらけてみたら今のような彼女の顔は見なくて済むだろうか。


『俊くん…』



会計の時、今日は頑なに財布を持つ手を下げない奈美。

濱元からすれば、最後くらいかっこつけさせてほしいものだ。


「いいの、いいの、奢らせて」


『でも……!』


これも思い出だから、と心の中に馳せた濱元。


「また来ようね。その時にご馳走してよ、ね?」


なんて言ってみたけど、木原と付き合ったら独占欲強そうだし2人でお寿司に来るなんて無いかもしれないなと彼は1人寂しく感じた。


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