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蛍は焦げる  作者: 愛璃
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宣戦布告

それからというもの私は毎日講義の合間や放課後に部室に行って寛ぐという習慣が出来上がっていた。


それくらいここの部室は居心地が良くて…ここに来ると必ず誰かが居る。


達斗と二人きりになることも当然あるけれど特に話すことも無く、かと言って気まずい雰囲気かというとそうでもない。


私が特に仲いいのはやっぱり爽ちゃんと俊くんで、私たちは木原さんたち年上組にちびトリオって呼ばれてるくらい、いつも一緒にいる。


今日の講義は5限までだったから2人より早く部室に着いた。


すでに築田さんと山浦さん、熊井さんが部室にいて、何か食べたいと言ったからクッキーを作ってあげた。


なぜか、この部室にはものすごく色んなものが揃っていて、キッチンや大きなソファ、スクリーンなんかもあったりする。


紅茶と一緒に3人の前に運ぶととても喜んで食べてくれて私まで嬉しくなった。


結構多めに作ったはずなのにもうほとんど残っていない。


「奈美ちゃんはきっといい奥さんになれるね」


築田さんがふわっと笑って言ってくれた。

いや、やめてください…イケメンの破壊力は半端ない。


「おつかれさまで〜す!奈美ちゃんいる〜?」


と元気よく入ってきたのは爽ちゃんと俊くん。


『おつかれさま!いるよ〜、なあに?』


「「パンケーキ食べいこう!」」


ということで、今は噂のパンケーキ屋さんの前に並んでいる。


2人がなぜそんなことを急に言い出したかというと、この前SNSを見ていた私がぽっと口に出していたから、らしい。


そんなことまで覚えてくれているのか…。

まだ会って2、3週間ほどしか経っていないのにずっと前からの友達のよう。


『ふわぁ〜!!美味しそう…』


2人によれば、私は憧れのパンケーキを目の前にして今までに見た事がないくらい目を輝かせていたらしい。


(のちに他部員に写真を見せられて恥ずかしい思いをした。)


「おつかれ〜!あれ、奈美ちゃんは?」


奈美と爽青と俊成が出ていって少ししてから木原が部室に現れた。

しかし、生憎奈美は部室にいないため明らかにしょげている木原。

達斗はまだ来ていないため、築田が達斗と奈美の話を切り出す。


「奈美ちゃん、ものすごく良い子だと思う。ほら、これさっき作ってくれたクッキー。」


「もうほとんど僕達が食べてしまったけどね」


築田の真剣な顔に木原は何かを察した。


「築田さん、何が言いたいんですか?」


「うん…山崎、まだ奈美ちゃんのこと好きだよ」


熊井は驚いた顔をして見せたが、木原の表情に変化はない。


「知ってます。けど、譲る気はないすよ。」


その話をした直後に達斗が部室に入ってきたものだから、その日の部室はいつもとは少し違い、何とも言えない微妙な雰囲気が漂った。


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